大河ドラマ光る君へ・[新] (01)約束の月 ~大石 静が描く壮大な平安絵巻~
貞元2(977)年・大内裏陰陽寮──。陰陽師・安倍晴明は夜空を見上げながら「紫微垣の天蓬の星が強い光を放っている」と占います。これは今宵を始まりとして都に凶事が起きることを意味しています。やがて晴明が予言した通り、満天の星空から土砂降りとなり、その雨は下級貴族の娘・まひろの家にも降り注ぎます。まひろの家では雨漏りがはじまり、真夜中だというのに家族総出でその対応に追われます。
朝になるとすっかり晴れ上がり、まひろは床を拭き上げています。父の藤原為時は息子の太郎に『蒙求(もうぎゅう)』を読み聞かせますが、太郎には難しすぎて逃げ出したくなるほどです。母のちやはは下男下女に年末の手当てを配りますが、家が貧乏すぎて満足なほど出してあげられません。親が高齢で実家に戻って来いと言われていた下女はちやはに暇乞いをし、ちやはもしぶしぶ承諾します。
まひろはちやはが着物を食べ物に換えていたことを知っていて、屋根を直す貯えもないのかと心配しますが、ちやはは自分に言い聞かせるように大丈夫大丈夫と唱えます。為時のような博識の学者を帝が放っておくはずがなく、年が明ければ為時の役目が決まるのです。
まひろという名のこの少女が、後々の世までも名をはせる作家・紫 式部となる。
作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
テーマ音楽演奏:NHK交響楽団
テーマ音楽指揮:広上 淳一
テーマハーブ演奏:朝川 朋之
テーマピアノ演奏:反田 恭平
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
タイトルバック映像:市耒 健太郎
題字・書道指導:根本 知
時代考証:倉本一宏
風俗考証:佐多 芳彦
芸能考証:友吉 鶴心
建築考証:三浦 正幸
平安料理考証:井関 脩智
所作指導:花柳 寿楽
衣装デザイン:諌山 恵実
殺陣指導:鎌田 栄治
馬術指導:田中 光法
雅楽指導:稲葉 明徳
陰陽師指導:高橋 圭也
アクロバット指導:加藤 学
資料提供:新井 重行
:山科 言親
[出演]
落井 実結子 (まひろ)
岸谷 五朗 (藤原為時)
国仲 涼子 (ちやは)
井浦 新 (藤原道隆)
吉田 羊 (藤原詮子)
玉置 玲央 (藤原道兼)
板谷 由夏 (高階貴子)
木村 皐誠 (三郎)
宮川 一朗太 (藤原顕光)
信川 清順 (いと)
矢部 太郎 (乙丸)
本多 力 (百舌彦)
阪田 マサノブ (藤原為光)
中村 静香 (藤原遵子)
栗田 芳宏 (藤原文範)
佐古井 隆之 (平 惟仲)
野呂 佳代 (ぬい)
ユースケ・サンタマリア (安倍晴明)
三石 琴乃 (時姫)
坂東 巳之助 (円融天皇)
橋爪 淳 (藤原頼忠)
益岡 徹 (源 雅信)
DAIKI (須磨流)
島田 桃依 (はる)
志村 光貴 (熊丸)
湯田 幸希 (太郎)
伊藤 駿太 (師貞親王)
堂前 直希
佐藤 伸之
金澤 慎治
長谷場 俊紀
松岡 歩武
千葉 雅大
福本 鴻介
手塚 祐介
佐藤 睦
村木 エリ
太田 いず帆
八幡 夏美
黒岩 よし
鈴木 隆仁
山本 雅幸
佐渡山 順久
小山 ガオ
細見 良行
汐満 猛
伴 元晴
青山 義典
小西 敏之
安田 仁
松井 祐二
劇団東俳
テアトルアカデミー
宝映テレビプロダクション
Yプロダクション
キャンパスシネマ
つくばみらいエキストラの会
麗タレントプロモーション
劇団ひまわり
舞夢プロ
リバティー
クロキプロ
ピカロ
グローバルアニマルアクト
湘南動物プロダクション
石森 裕也
藤舎 幸丸
藤舎 呂近
撮影協力:宮内庁 京都事務所
:岩手県 奥州市
:栃木県
:栃木県 真岡市
: 小山市
:茨城県 石岡市
: 常陸大宮市
: つくばみらい市
CGアセット素材撮影協力:京都市
佐々木 蔵之介 (藤原宣孝)
段田 安則 (藤原兼家)
制作統括:内田 ゆき
:松園 武大
プロデューサー:大越 大士
:川口 俊介
美術:山内 浩幹
技術:武田 篤史
音響効果:柴田 なつみ
撮影:村田 旭
照明:内藤 宏
音声:和田 厚
音楽録音:伊藤 文王
映像技術:仲間 祐華子
カラーグレーディング:釣木沢 淳
VFXコーディネーター:西垣 友貴
VFXディレクター:深瀬 雄介
VFXプロデューサー:結城 崇史
編集:石川 真紀子
記録:江川 雅美
助監督:渡辺 昭寛
制作担当:宮田 亮
美術進行:西本 幸司
装置:飯野 正哉
装飾:大角 啓太郎
衣装:竹林 正人
メイク:永冨 美穂
かつら:宇津木 恵
演出:中島 由貴
天皇を頂(いただき)とした京の都では、上級貴族たちの出世争いが熾烈を極めていた。大納言・藤原兼家もそのひとり。妻・時姫との間にもうけた子どもは、長男道隆、次男道兼、娘の詮子(あきこ)。兼家は娘を天皇の妻にすることで、更なる力を得ようとしていた。
東三条殿にはその一家が集まります。道隆が恭しく挨拶をするのもそこそこに、道隆と高階貴子の姫を抱く兼家は、いずれこの姫も入内させるつもりで道隆と貴子に養育を頼みます。
遅れて現れた三郎を厳しく叱責する道兼ですが、道隆は成長著しい三郎に目を細めます。詮子が入内すれば兼家の力は絶大となり、道隆は三郎にも気を引き締めるよう諭します。道兼は、自分も妻を娶り姫を成して入内させたいと意気込みますが、そっけない態度の兼家と、考えておこうととりなす道隆の物言いに不満顔の道兼です。
このボーッとした三男の三郎が、後に貴族の頂点に立つ藤原道長である。
まひろの父・下級貴族の藤原為時は、5年間官職を得られなかった。次こそは任官をと願いながら、貧しい生活を送っていたのである。
積み上げられた書物を前に、浮かない表情の為時です。その為時の前に出された夕餉(ゆうげ)は兼家の屋敷で出されたものとは雲泥の差で、非常に質素なものでした。
この男は藤原宣孝、為時の親戚である。宣孝は正月用の酒を差し入れ、任官について“大納言”に話をしたのかと気遣います。大納言とは兼家のことで、為時が式部省で働きたいと書状を提出してはいますが、為時が兼家と対面できる漢詩の会という絶好の場も、自分を売り込む場ではないと遠慮しているわけです。宣孝は為時に、今から兼家の屋敷に行くようはっぱをかけます。
東三条殿では道隆の笛と貴子の琵琶で優雅な宴が催されています。そこにしぶしぶ赴く為時ですが、兼家は誰とも会わないと対面を断ります。為時は取り次いでくれた平 惟仲(これなか)に「せめてこれを」と兼家に宛てた書状を預け、深々と頭を下げます。
円融天皇に入内することが決まっている詮子は、不安な気持ちを三郎にぶつけます。詮子が帝の皇子を産めるかどうかで兼家の出世も決まると三郎は詮子を叱咤しますが、そもそもこんな話を打ち明けられるのは三郎しかいません。三郎は兼家の子だから出世安泰ですが、三郎は三番手なので自分の出番はないと開き直っています。そこを通りかかった道兼はわざと三郎に体当たりし、詮子は三郎をかばいます。
この時代、男が嫡妻のほかに妻を持つことは珍しくなかった。為時もその例外ではなく、たびたび家を留守にした。
まひろはちやはが昼間、為時の任官を願掛けして回っていることを知っているだけに、父がよその女のところへ行くのが許せませんが、実家が豊かでなかったからだとちやはは何も言いません。
正月、下級貴族たちの運命を左右する除目(じもく)が行われる。除目とは、天皇・大臣・参議以上の公卿によって行われる人事の会議である。事前に希望する官職と自分を売り込む申し文を提出。公卿の審議を経て天皇が承認すると官職を得られるのだ。
貞元3(978)年 正月・内裏 清涼殿、為時の申し文が披露されますが、その内容が帝の機嫌を損ねてしまいます。
この年も、為時の官職は決まらなかった。
まひろは為時の膝の上にある『史記』を見つけ、秦の始皇帝亡き後、帝を操って権力をほしいままにする男の話と聞き、おもしろそうと目を輝かせます。為時はまひろがせがむままに『史記』を読み、男であったらと残念がります。
まひろは小鳥を飼っていて、ないながらもエサを与えていますが、いっそ外に放ってあげたほうがいいのかもしれないと考えています。しかしちやはは、一度人間に飼われた鳥は外の世界では生きられないから、最期まで守ってやらなければならないと教えます。そんな時にも下男が暇乞いをしてきて、ちやはは愕然としながら送り出すことしかできません。
為時一家が困窮を極めるこの年の春、関白・藤原頼忠の娘・遵子(のぶこ)が円融天皇に入内。続いて秋のはじめ、大納言・藤原兼家の娘・詮子も入内した。そしてこれを機に、兼家は右大臣に昇進した。
緊張に身を固くする詮子に帝は優しく言葉をかけます。詮子が不安がっていたことは杞憂だったわけです。
この夜、安倍晴明の館に雷が落ちた。
詮子の入内は凶だと宮中の者たちは口々に噂します。帝は詮子に心底惚れ抜いていて、「帝のお渡りが過ぎるのは詮子がやり手なのよ」と言いたい放題です。兼家はさほど気にしてはおらず、“雨風の入内は吉である”と道隆に噂を流させます。道隆は転んでもただでは起き上がらない兼家に言葉もありません。
道兼は兼家と道隆の輪の中に入れない自分を腹立たしく感じていますが、そんな自分を笑った三郎に道兼は逆上し、折檻します。母の時姫が必死に止めますが、三郎は足に大けがを負ってしまいます。時姫は兼家に相談しますが、道隆を清廉潔白な人物にするためには、猪突猛進の道兼に泥をかぶってもらうつもりです。時姫は兼家の考えに恐怖感を覚えます。
散楽とは、芸能のひとつである。ここでは強欲な藤原氏をからかう演目が評判を呼んでいた。
散楽(=猿楽)を見に行く三郎と百舌彦ですが、その演目の最中に近づいてきた京の住人・ぬいが百舌彦を連れ出します。演目が終わるとひとりその場に取り残されていることに気が付く三郎です。
まひろは鳥かごを掃除するときにあやまって小鳥に逃げられてしまいます。その小鳥を追って京の大路を小走りに抜けるまひろですが、百舌彦がいなくて途方に暮れる三郎と出会います。まひろは事情を話し、一度飼えば外では生きられないと母の教えをそのまま伝えますが、三郎はそれでも小鳥は逃げたかったのだろうと諦めるように諭します。悲しむまひろは涙を流します。
まひろを笑わせようと、三郎は足で字を書く特技を披露しますが、まひろは地面に漢文を書き、三郎を驚かせます。「私は帝の血を引く姫だから」と打ち明けると、心臓が縮み上がる思いの三郎はまひろを“お前”呼ばわりしたことを詫び、菓子を差し出します。三郎を探す百舌彦が現れると、三郎は次回散楽が行われる辰の日の未の刻に会うことを約束し、まひろとは別れ別れとなります。
安倍晴明の館が落雷の際、火消しの者にけが人が出たため、源 雅信は手当てを出すことを提案しますが、天災を予見する晴明の館になぜ雷が落ちるのかと兼家は反対を唱えます。しかし帝は施しを行うと決め、頼忠とともに娘の遵子のもとへ向かいます。すると宮中の者は「関白と右大臣のあれこれで閨(ねや)も政の場所だ」「詮子さまかわいそう」「宮中でひとり勝ちは許されないもの」とたちまちざわめきます。
遵子よりも早く帝の皇子を上げたい兼家はイライラして文机の文を床に投げつけますが、その中に為時の申し文が混じっていることに気づきます。帝とのつながりを強めたい兼家は為時を呼び出し、東宮(=皇太子)の師貞親王の漢文の指南役を勧めます。ただ正式な官職ではないため、その禄は兼家自ら出すことにします。「それなら一つ頼んでもいいかな。東宮さまのご様子をつぶさに知らせてほしい」
約束の辰の日、三郎は菓子を忘れたと頭を下げます。正しくは持参した菓子を無くしたわけですが、正直に打ち明けた三郎に、まひろも自分が帝の血を引く姫だという話が偽りだと明かし、詫びます。家路につくまひろに三郎は、6日後にここにまた来ると告げます。しかしまひろは振り向き、首を横に振ってとぼとぼと帰っていきます。
為時出仕の日、久々の正装に為時はカビ臭いとちやはを叱りますが、まひろはカビ臭さは雨漏りのせいで、出仕は日日願掛けを行った母の祈りが通じたのだとちやはをかばいます。為時が出発し、ちやはは大安の明日、御礼参りに行くことを提案します。まひろは戸惑いますが、明日は三郎と約束をした日なのです。
兼家に呼び出された晴明は、夜に占いの仕事をしているのでとても眠そうです。皮肉も言いたくなるわけですが、遵子に子ができないようにせよと兼家に命じられます。晴明はしばらく考えた末、その難題を引き受けることにします。
東宮・師貞親王に漢文を施す為時ですが、親王はまるで聞く気などなく、為時を足蹴にしたり変顔したりと勝手気ままです。しかし家でもまるで聞いていない太郎に子守唄のように教えていた為時には全く効きません。
東宮とは次に天皇になる者である。この幼き東宮は後に花山天皇となって、藤原兼家一家と深い因縁を持つことになる。
ちやはと御礼参りに向かうまひろですが、三郎との約束もあり自然と足早になります。そのころ三郎は、道兼の癇癪に遭い折檻を受けていました。意に添わないことがあったからといって弱い者に乱暴を働くのは心が小さい者がすることだと指摘され、カッとなったのです。身分の低いものを殴って自分の心が収まればそれでいいと主張する道兼は、時姫が止めるのも聞かずに三郎を押し倒します。
急ぎ足のまひろは、馬で屋敷を飛び出した道兼とばったり。驚いた馬に振り落とされて道兼は落馬してしまいます。まひろは道兼に足蹴にされますが、ちやはが間を取り持ってまひろを謝らせます。「道兼さまを黙らせるとは肝の座った女でございます」従者の一言に逆上した道兼は、従者の刀で後ろからちやはを一刺し。まひろの目の前でちやはは無言のまま倒れます。
約束の菓子を手に、夕暮れになるまでまひろを待っていた三郎が屋敷に戻ると、そこには返り血を浴びた道兼がいました。その視線を向けられる直前で身を翻し、潜める三郎ですが、何かただならぬことが起きたことだけは分かりました。
為時は、憔悴する従者の乙丸からちやはは道兼に殺されたと聞き出し、すべてを理解します。道兼は自分を雇ってくれている兼家の次男であり、あちらは上級貴族であり、ここはちやはの死を黙って受け入れるしかありません。「ちやはは……急な病で死んだことといたす」と声を絞り出す為時に、まひろは道兼が殺したと必死に訴えます。忘れるように父に諭され、まひろは柱を殴って感情をむき出しにします。
まひろという少女の激動の運命が、動き出した──。
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『光る君へ』
第2回「めぐりあい」
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