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2024年1月14日 (日)

大河ドラマ光る君へ・(02)めぐりあい ~成人したまひろと道長~

まひろが母を失ってから6年の月日が流れた。そしてこの夜、成人の儀式を迎えたのである。永観2(984)年、裳着の儀式が執り行われますが、まひろは十二単が重くて窮屈そうです。参列した藤原宣孝も我慢するようにたしなめますが、まひろはブツブツ文句を言いながらも、父・藤原為時に頭を下げます。

まひろは宣孝に、為時の出仕先である大納言藤原兼家の二の君(次男)はミチカネではないかと尋ねますが、兼家には子どもが大勢いるので知らないと返します。ただたとえ次男がミチカネであったとしても、まひろがどうするつもりなのか、父にどうしてほしいのか、考えがないのなら黙っていよと忠告します。

あの事件以来、為時はまひろの目が怖く感じていて居心地が悪いです。為時は己の才を生かして出世の道を歩みたいわけですが、この6年間も除目ではさっぱりです。宣孝は、為時が教育係を務める東宮(皇太子)・師貞親王が天皇の座に就けば、やがて為時にも光が当たると励ましますが、為時はそう上手くいくだろうかと不安げです。

まひろは京の高辻富小路の一角にある絵師の家で、恋歌を代筆する仕事をしています。依頼主も貴族や姫君から民人にいたるまでさまざまで、歌の思いつきはとても早く素晴らしい出来栄えです。依頼主が感嘆の声を上げるたびに、ニッコリと微笑んで素直に喜ぶまひろは、次の瞬間にはサッと真顔になり、「次の方」とさばいていきます。

 

内裏では、盗賊に対応する検非違使庁の増員について藤原頼忠が報告しますが、その声が小さすぎて円融天皇はイライラします。兼家は増員しても意味がないと、検非違使庁の人員を総入れ替えした上で士気を高め、盗賊を捕らえたら褒美を出すよう提案します。一度決まった事項を覆す提案に頼忠は小声でたしなめますが、天皇はあまり乗り気ではありませんが兼家の提案を採用することにします。

蔵人頭(くろうどのとう)・藤原実資は、兼家のことは正直好きではありませんが、今回の提案はもっともだと評価します。この男は、蔵人頭・藤原実資。天皇の側近の長として円融天皇の厚い信頼を得ていた。

右大臣藤原兼家と亡き時姫の子どもたちは、官職を得て順調に上級貴族としての道を歩んでいた。長男道隆、次男道兼。三郎と名乗っていた兼家の三男は、元服後藤原道長となった。そして詮子(あきこ)は、天皇の皇子・懐仁(やすひと)親王と鞠で遊んでいます。兼家の娘・詮子は、父や兄の願いどおり天皇の皇子(みこ)を産んだ。しかし円融は、子どものいない遵子(のぶこ)を后(きさき)の最高位である中宮にした。兼家が増長することを恐れて、詮子を遠ざけたのだ。

弓の鍛錬を行う道長は「右兵衛権佐(うひょうえのごんのすけ)どの、梅壺の女御(にょうご)さまよりお召しでございます」とお声がかかります。梅壺の女御とは詮子のことです。道長はフッとため息をつきますが、同僚たちは、また姉の呼び出しか? とからかいます。

詮子のところにはすでに兼家が来ていて、懐仁親王を連れて東三条殿に下がるよう提案します。懐仁親王を次の東宮に、そして次の次の帝にするためには、天皇の唯一の皇子である懐仁親王を東三条殿に下がらせて人質とし、兼家の手元に置くことで一刻も早く円融天皇に退位してもらうためです。しかし詮子は、いま内裏を去るのは負け犬のようで気が進みません。

詮子のもとから下がる兼家と、詮子に呼ばれた道長は廊下ですれ違いますが、「何ごとも父の判断に従うがよしと言うておけ!」と兼家に言われてしまいます。詮子のもとに上がる道長は、仕事中の呼び出しは困ると苦言を呈しますが、詮子には道長しか心を許せる人間がいないわけです。「私、帝のお心をもう一度取り戻したいの。力を貸しておくれ、道長」

私にはそのような力はないと道長は固辞しますが、忘れられない人のことは何年経っても忘れられないという気持ちは分かるつもりです。詮子はパッと表情が明るくなり、道長に近づきます。「道長! お前、好きな人がいるのね? 好きな人、私が見極めてあげるから! うう……道長もそうなんだ、私も頑張ろ!」

 

太郎に教えを授ける為時ですが、賢さはすべて姉のまひろに持っていかれて自分は賢くないと卑屈になる太郎は、真面目に取り組みません。大学を出なければまともな官職は得られないと説教する為時に、大学に行かなければ官位を得られないほど低い身分に生まれたのも自分の制ではないとニヤリとします。賢さを持っていったわけではないと笑うまひろは、為時には内緒で富小路へ代筆の仕事に出かけます。

まひろが作った和歌ですが、以前依頼した麻彦は「私はあなたと桜を見たことはない」から別の女のことを言っていると怒って突き返されたとやって来ました。まひろはよく話を聞けばよかったとの反省のもと、出会った去年の夏、家に夕顔が咲いていたという情報からすぐに歌を詠みます。礼はいらぬというまひろですが、そうはいかないと絵師は口を挟みます。

京の町では帝とふたりの后、そして片方の后に子が生まれ……と、いまの内裏のさまをおもしろおかしく表現しています。それを見て笑っている道長ですが、むしゃくしゃしたことがあったまひろが小石を蹴ろうとすると、草履が飛んで行って道長の頭に当たります。慌てて詫びるまひろですが、頭を下げた時にその足に大きな傷を見つけます。「あなたはもしかして、足で字が書ける人ですか?」

まひろと再会した三郎は、あの時待ち合わせをしていた川のほとりを歩きながら、菓子を持ってずっと待っていたのになぜ来なかったのかと尋ねます。まひろは、あの日のことは思い出したくないと黙ってしまいます。そこに百舌彦が呼びに来てしまい、今は富小路の絵師のところで代筆をやっているとまひろに聞いた道長は、次にまた会えるまでその絵師のところに通うと言って戻って行ってしまいます。

 

道長の言葉で俄然やる気になり、天皇に歌を送り続けた詮子でしたが、数年ぶりに天皇のお渡りがあったかと思えば、天皇はこれまで送られた歌を床にたたきつけ、見苦しいことはするなと咎めます。詮子としては昔の寵愛を復活させたいだけなのですが、子を成すという“仕事”を務め上げたまでだと天皇は吐き捨てます。「汚らわしい。もうあのころのことは覚えておらぬ」

懐仁親王の母という立場であれば、親王が帝になれば“国母(こくも)”となる可能性も少なくないわけで、それを忘れるなと伝えて天皇は帰っていこうとします。詮子は天皇を呼び止め、東三条殿に下がると厳しい表情を向けますが、天皇の表情は変わりません。「好きにせよ。ただし懐仁は置いてゆけ。遵子とともに大切に育てよう」

夜、兼家のところには為時が師貞親王の様子を伝えに来ていました。相変わらず勉学の成果は全く上がらず、母と娘の双方に手を付けたという話をしていて、師貞親王が帝になったとしても誰もついてこないのではないかと、為時なりの予測です。うーむと兼家は考え込みます。

兼家は道兼を連れ、都を見下ろせる山の中腹にやって来ました。兼家は道兼の存在は大切だといって道兼をやる気にさせ、密命を与えます。道兼はいま蔵人で天皇に仕える身であり、それを生かして陪膳(ばいぜん=給仕)の女房を手懐(てなず)け、天皇の食事に薬を入れさせよ──。病気がちになって退位を望むように仕向けよという命令に道兼は顔色を変えます。

それがなぜ自分の役目なのか? と道兼は食い下がりますが、兼家は6年前の事件で家の名を穢(けが)したことを持ち出します。6年前とはまさしく、道兼がちやはを刺し殺した事件のことです。道兼は高貴なものは自らの手で人を殺めないという掟を破ったわけで、家を守るために兼家は従者を始末して、父も掟を破らざるを得なくなったのです。有無を言わさぬ言葉に、道兼は承諾するしかありませんでした。

富小路で代筆の仕事に入るまひろですが、また突き返されたと麻彦が泣きそうな顔でやって来ました。やんごとない家の女房で学も深く、字も書けない麻彦が敵わない女性……。字が書けると偽っている麻彦に、うそはいずれバレると諭しますが、脳裏に道長の「まひろ……お前はいったい誰なんだ?」という声が響きます。うそを詫びることで仲が深まるかもしれない、と麻彦を激励します。

内裏で政務に当たる天皇ですが、うっ……と声を上げて胸を押さえます。頼忠や源 雅信、実資らはギョッとしますが、ただひとり兼家だけが知らぬ顔です。

為時はいつものように師貞親王を教育しますが、師貞親王は突然、自分が帝になるらしいと言い出します。即位したら為時を式部丞の蔵人にしてやるとニヤリとします。みんな師貞親王から逃げていったのに、為時だけはずっとそばにいてくれたわけです。「とんだ好き者のように皆は言うが、俺だって見るところは見てるんだ」

 

後日、富小路の小屋に麻彦と思い人の女性がやってきて、思いは通じたと報告します。まひろは「おお!」とガッツポーズします。ただ和歌なく思いを伝えられて、代筆仕事も上がったりだと寂しそうに笑います。

為時が式部丞になればまひろにもそれらしい姫に、という思いで、太郎の乳母・いとはまひろが代筆仕事をしていることを打ち明けてしまいます。学者である父の顔に泥を塗るようなことを! とこっぴどく叱られるまひろですが、自分が自分でいられる場所、母と自分を裏切った父を忘れられる場所だと反発します。「縛られても必ず縄を切って出ていきます。父上の言うことなぞ、私は聞かない……!!」

その時から見張りとして乙丸がつけられますが、乙丸が眠っているスキにまひろは富小路へ急ぎます。その時為時は富小路の絵師の小屋に来ていました。見張りをつけてもいずれここにまひろは現れると考えた為時は、絵師にまひろとの手切れ金を渡していました。為時とすれ違いざまに道長が現れますが、絵師にまひろのことを尋ねても慌てて否定するばかりです。

検非違使庁の役人たちが、いかにも人のよさそうな民を捕らえようとしています。必死に弁明する民に折檻する役人たちですが、彼らに石を投げつける男は尻をペンペンと叩き、囮(おとり)になって駆けていきます。男は富小路へ急ぐまひろとぶつかり、急いで逃げます。追いかけてきた役人たちはまひろに男を見なかったかと問い詰めると、まひろは男が逃げたのと違う方を指し示します。

その方角へ追いかけていった役人はそこにいた道長を間違って捕らえてしまいます。捕縛されるときに顔を見ると、捕らえられたのは三郎でした。三郎!? と目を丸くしたまひろは、三郎に慌てて駆け寄ります。「待ってください! 逃げてたのはその人じゃありません! 違うんです!」

 

作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
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[出演]
吉高 由里子 (まひろ)
柄本 佑 (藤原道長)
井浦 新 (藤原道隆)
吉田 羊 (藤原詮子)
玉置 玲央 (藤原道兼)
高杉 真宙 (太郎)
秋山 竜次 (藤原実資)
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本郷 奏多 (師貞親王)
坂東 巳之助 (円融天皇)
毎熊 克哉 (直秀)
三遊亭 小遊三 (絵師)
橋爪 淳 (藤原頼忠)
益岡 徹 (源 雅信)
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佐々木 蔵之介 (藤原宣孝)
岸谷 五朗 (藤原為時)
段田 安則 (藤原兼家)
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制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:大越 大士・高橋 優香子
演出:中島 由貴

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『光る君へ』
第3回「謎の男」

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