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2024年2月 6日 (火)

プレイバック風と雲と虹と・(11)餓狼(がろう)の頭目

純友は西に向かっていた。郷里である伊予国の掾(じょう)に任命されたのである。淀川を江口まで下り、そこからは桓武帝のころ開かれた運河をゆく。運河は神崎川、あるいは江口川、三国川などと呼ばれていた。神崎の港で止まった時、遊び女が相手をしてもらおうと船に上がってくるようで、純友は来る者は拒むなと家人に命じます。

純友の相手をしている千載は、ただの遊び女ではないようで、純友を藤原恒利と会わせるためにこの船に乗り込んだようです。恒利、とこの遊び女が言ったのは、淡路島を中心に小豆島あたりまでを縄張りとする第一級の海賊団の首領・藤原恒利のことであった。供は連れず純友一人で来いとの条件に、しばらく考えた純友は「よかろう」と頷きます。

千載の先導で、手下たちに囲まれて連れて来られた純友ですが、恒利の本拠に近づいたとき、手下の鯖(さば)が純友の腰刀を預かろうと手を伸ばしてきました。「無礼者!」と純友は鯖を平手で殴り、言葉遣いに気をつけるよう注意します。館の中に足を踏み入れると、首領とはイメージがほど遠い、初老の男が純友を出迎えます。

藤原恒利といえば、その名を聞くさえ船人らが顔色を変えるという。それがこの男とはどうにも信じられない思いであった。恒利は憧れの純友に会いたかったのです。純友が身分にかかわらず兄弟のように親しんで接する人間性に惚れたからでした。純友は、近いうちに都から派遣される海賊討伐の追捕使(ついぶし)とともに、海賊たちを根こそぎ打ち払うのが役目と打ち明けます。

恒利の手下の中には、そんな純友に裏切られたと感じている者もいますが、恒利は純友の野望が別のところにあるような気がしています。今は伊予国の掾、そして国司となったとしても、それは大望への階段であり、いずれは海賊たちを統(す)べる「海賊大将軍」になるつもりだと予測します。純友は、それも悪くないと大笑いします。そのころ屋根には鹿島玄明が恒利の様子をじっと見ています。

純友は、海賊の追捕使の船を襲わず、無事に伊予まで行きつかせてほしいと頼みます。それは同じ役人として、役人たちの無事を図るためであり、純友は黄金を恒利に渡します。さらに恒利と友になりたいと笑顔を見せます。海賊を打ち払う役目の純友が、友になる……。恒利はふたつとも純友の願いを受け入れます。

恒利は純友の盃に酒を注ごうとして、顔色が変わります。「殿は約束を破られました」 戸惑う純友ですが、館を出た恒利と純友の前には、捕らえられた玄明が逆さ吊りにされていました。玄明がここまで来ていることは純友は知らなかったわけですが、厳密には玄明は純友の家来ではなく、男も女もいろいろついてきていると笑います。俺を信じろと言われ、恒利はフフフと笑います。

 

その翌日、神崎に停泊した純友の船を螻蛞(けら)と美濃が訪れた。その船から、藤原子高(たねたか)という山陽道の巡検使が到着した様子を3人で眺めています。子高は国司たちの尻を叩いて海賊の取り締まりを行っているらしく、罪もない船乗りや漁師たちを捕らえて首を刎ね、海賊を殺したと言い張るようです。厳しい表情で子高を見る純友は、会ってみることにします。

「小一条院の大臣の御家人じゃぞ!」と家人を圧倒したかと思えば、進物を持って現れた純友には態度を軟化させ迎え入れます。子高のやり方は、海賊に関係なく民人を捕らえ首を刎ねていけば、民人は恐れて海賊を恨むようになります。民人は自分たちが捕らえられないために自ら海賊討伐に動き出せば、海賊はいなくなるというのがベースにあります。

純友は子高を心の底から憎んだ。その高い鼻を削ぎ落してやりたかった。千載が子高の元に上がるタイミングで、純友と美濃は子高の元を下がりますが、あの子高の相手をさせられる千載が純友には哀れに感じていました。美濃は千載が遊び女でも純友は助けたいという意向を示したため、「分かったわ」と返事して純友を驚かせます。

千載が横になったのを見て、子高はニヤリとしてその横に添いますが、そこに寝ていたのはいつの間にか螻蛞婆になっていました。子高は悲鳴を上げ庭に出て突っ伏しますが、家人たちが館をくまなく探すと、すでにもぬけの殻になっていました。誰もおりませぬぞ、と家人が報告しても、子高の顔は恐れおののいていました。

 

この時代には、現在の尼崎市の東が大物浦(だいもつのうら)といって海辺であった。純友の船はここから瀬戸内の海へ漕ぎ出したのである。純友は岸沿いに、また島伝いに船を進め、10日ほどかけて伊予に着いた。純友の着任する伊予の国府は、現在の今治市桜井にあった。国府とは今日でいえば県庁にあたるところである。

まず伊予の国府で、国の守(かみ)と介(すけ)に着任の挨拶をしなければならない。時の伊予守は平 維久、守とは知事あるいは長官にあたる役名である。これは介、すわなち次官の藤原正経(まさつね)。純友は掾であるから、伊予の国府ではこの二人に次ぐ第三の地位に就いたわけである。守は人の好い老人だと思えた。だが介は油断がならぬと純友は判定した。

純友の在所まで国府から船で2日、さらに山間を上った大津にあり、久しぶりに領地に帰って子の顔を見たいという純友に、維久はそうするのがよいとニコニコしていますが、ふんぞり返る正経は表情を変えず なるだけ早くの出勤を求めます。純友は一礼すると、維久と正経に黄金を献上します。「こいつらを、俺の思うままに使わねばならぬ」

純友は、瀬戸内の海を岸伝いに西に向かい、2日ほどで肱川口(ひじかわぐち)に着いた。その肱川を上ってゆくと次第に山が開け、広々とした盆地に出る。今日の大洲市が当時は大津といって、純友の家が先祖以来 営々と開き続けてきた土地であった。船が屋敷に近づくと、嫡男・重太丸(じゅうたまる)の声が聞こえます。父も母もおらぬ中、すくすくと育った重太丸を純友は抱きしめます。

 

紀 豊之の誘いで三宅清忠と平 将門はいつもの館に集まります。ことを起こすと打ち明ける豊之に、将門はこの都で反逆を起こそうとしているのではないかと疑います。日本を統べる政府は民人たちのために何か考えているのか? 儀式を行うことが安定を生むと勘違いし、民衆たちも政府をありがたがる、その関係を崩したいと訴える豊之に、政府は無力なものだと突き付けたいのです。

「若いな、おことたち」と清忠はつぶやき、豊之たちは殺気立ちますが、清忠は言葉通り羨ましかったのです。若いといえば、自分だって十分すぎるほど若いと小次郎は思った。だが同時に彼はまた、この大学寮学生たちの若い興奮に、すでに単純には感染できなくなっている自分を感じていた。清忠と将門は豊之の策に乗らず、館を後にします。

学生たちの言葉は、やがて形となって現れた。内裏に不浄な獣の骸(むくろ)が横たわっているなどとは、平安の都始まって以来の不祥事であった。事件はこれで終わらなかった。犬の死体が横たわっていたかと思うと、後日は射抜かれた烏が放置され、宿直の武士や女房たちが大騒ぎします。懸命の捜索の結果、豊之が捕らえられます。

雪のちらつく中、将門は捕縛されて連行される豊之を見送ります。


原作:海音寺 潮五郎「平 将門」「海と風と虹と」より
脚本:福田 善之
音楽:山本 直純
語り:加瀬 次男 アナウンサー
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[出演]
加藤 剛 (平 小次郎将門)
草刈 正雄 (鹿島玄明)
木の実 ナナ (美濃)
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入川 保則 (藤原子高)
吉行 和子 (螻蛞)
今福 正雄 (藤原恒利)
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仲谷 昇 (藤原忠平)
永井 智雄 (藤原仲平)
緒形 拳 (藤原純友)
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制作:小川 淳一
演出:松尾 武

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『風と雲と虹と』
第12回「剣の舞」

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