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2024年2月 4日 (日)

大河ドラマ光る君へ・(05)告白 ~道長の素性を知ったまひろは…~

永観2(984)年、五節の舞で知ってしまった、母を殺した道兼の弟が三郎道長である事実──。あまりの衝撃にまひろは寝込んでしまいます。

左大臣の姫たちの集いには、倒れたまひろの他にも肇子(はつこ)も欠席です。なんでも肇子は顔の四角い侍従宰相の目に止まって通いが始まったとかで、赤染衛門や茅子(かやこ)はニヤリとします。しをりは、身分が低すぎるまひろが五節の舞に出たのが不相応だと笑いますが、まひろを舞姫に出したのは左大臣源 雅信だと倫子はたしなめます。「まひろさんがまたお出ましになったら、優しく接してあげてくださいね」

いとは、3日前から食事ものどを通らないまひろが心配で祈祷を依頼します。僧侶は事前にいとから、まひろの母が6年前に亡くなっている情報を得ていて、母が思いを残して成仏できないと、真冬だというのに水垢離(みずごり)をするように勧めます。それを止める藤原惟規(のぶのり)と水の取り合いになり、誤って惟規が水をかぶってしまいます。「もう! 死んだように寝るのやめるから、ああいう人たち呼ばないで」

藤原為時は、まひろが母を殺した咎人の顔を忘れていることに賭けたのですが、まひろはしっかりと覚えていました。為時は惟規のためにも、道兼のことは胸にしまって生きてほしいと頼みます。憮然とするまひろですが、惟規はまひろとは違い、誰かの引き立てがなければ真っ当な官職を得ることが難しい凡才なのです。しかしまひろが理解できるはずもなく、目を背けてしまいます。

勤めの最中の道長は、同僚が“縁起のいい五節の舞で倒れたのは為時の娘”と話しているのを小耳にはさみ、顔色こそ変えませんが「えっ」という印象で歩みを止めます。そしてそのころまひろは、6年前に母ちやはが官職が決まったら弾こうと言っていた琵琶を手に、ポロロンと奏でますが、頭の中にさまようのは、やっぱり道兼の弟が三郎だという事実でした。まひろは琵琶を弾くのを辞めてしまいます。

 

花山天皇は、関白や左大臣・右大臣が帝の政に異を唱えても、かまわず前に進めと命じます。藤原実資は、夢語りなら誰でもできると帝の政のいきすぎを諫めるよう藤原義懐(よしちか)や惟成(これしげ)らに伝えます。実が伴わなければ世が乱れる元であることを、帝は分かっていないわけです。その批判を帝に聞かれたとしても、実資は構わないと目を剥きます。

弘徽殿(こきでん)の女御・忯子(よしこ)ですが、帝の寵愛が深いわりに兄の斉信(ただのぶ)の位は上がらないと公任は皮肉ります。ムッとした斉信は、公任の父・藤原頼忠の世はもう過ぎたと返します。新帝とともにあるべき世の形を語らねばと胸を張る斉信ですが、帝と語り合うにはもっと高いくらいを得なければ話すらできません。道長は、なるようになるだろと呑気ですが、まひろのことを考えています。

道長は、兼家が嬉しがるような話のネタは持ち合わせていません。道長は公任や斉信らが、帝の在位は長かろうと話をしていたことを思い出します。帝は若く志が高いと評判ですが、正直道長は帝が誰であっても変わりないと考えています。それよりも、帝を誰が支えるかだというのですが、兼家は帝を支える筆頭がこの家の者であるために、東宮・懐仁親王に早く帝になってもらわなければならないと説きます。

藤原道隆は詮子(あきこ)に父との和解を勧めます。しかし詮子は、たった一人の愛した殿御に毒を盛って譲位を迫った父を許せないと、和解の話をはねつけます。道隆は詮子の気持ちは理解しつつ、懐仁親王と詮子の今後のためにも和解をと食い下がりますが、詮子は己の考えを曲げません。「父上には屈しませぬ。私には裏の手がありますゆえ」と不気味な笑みを浮かべ、道隆を戸惑わせます。

関白の頼忠、左大臣の源 雅信、右大臣の兼家は、雅信邸で揃って酒を酌み交わしています。兼家は、帝が出した荘園整理令は自分たちの富を封じるためと批判的で、いつもは小声の頼忠もこの時ばかりは大声を出し、ぞんざいに扱われる我が身を嘆きます。自分たちの意見が合ったのは初めてだと自嘲気味に笑います。

 

兼家は、舞を見て楽しんでいます。横にいる妾(しょう)も楽しそうです。この女性は藤原兼家の妾。すなわち嫡妻ではない妻のひとりで、「蜻蛉(かげろう)日記」の作者でもある。舞っているのは、兼家との間の息子・道綱だ。陽気に舞う道隆をかわいいとさえ思っていますが、異母兄弟である道隆・道兼・道長とは違うのだから、控えめにしておればよいこともあると告げます。

まひろは、五節の舞の後に倒れたことで“憑きものに憑かれた女”と噂が立っていると直秀に聞いてがっかりします。まひろは直秀に、三郎が道長であることを知っていたのかと尋ねますが、直秀はまひろが倒れた理由がそのせいだったと理解します。改めて道長のことは諦めろと忠告する直秀は、身分の差を笑い飛ばすために散楽をやっていますが、これまでやってきて何かが変わったということも特にないのです。

道長が月明かりにしたためた文がまひろに届けられます。倒れたことに胸を痛めている道長は、次の満月の夜に屋敷を訪ねるとあります。まひろは直秀を呼び、父の前では離せないことがあるとどこかで会わせてほしいと頼みますが、そっけなく断られます。あいびきではないし、どうしても話しておかなければならないことと頼み込んでも、直秀は承諾せずいなくなってしまいます。

 

道長が為時屋敷に向かっていたころ、忯子が懐妊したと聞いた兼家は、安倍晴明に腹の子を呪詛するように命じます。晴明は、帝の子を呪詛するのは我が命も削ることであり、この国の未来も閉ざされるからできないと主張しますが、ふと人の気配を感じて口をつぐみます。兼家が燈台の火を消すと、そこには頼忠や雅信、道隆の姿が……。「その命削っても、我らが命を成し遂げよ。この国の未来は我らが担う」

道長は直秀に、まひろは為時邸にはいないと教えられ、指示に従って六条に向かいます。まひろと対面した道長は、自分が右大臣の三男であることを明かします。まひろを騙そうと思ったことは一度もないと道長は弁明しますが、とにかく驚かせてしまったことを謝罪します。六条に呼び出さなければ為時邸で会っていたわけですが、道長は父の前であってもただ詫びたかったわけです。

まひろは、自分が倒れたのは三郎が道長だったからではないと打ち明けます。隣に座っていた男の顔……あの顔は一生忘れない、とまひろはつぶやきます。「6年前、母はあなたの兄に殺されました。私の目の前で」 父が官職を得られず食うにも事欠くありさまで、兼家は帝(当時の東宮)の漢文指南役に為時を推挙してくれ、これで食べていけると 翌日に母とその御礼参りに行ったとき──。

兼家から禄を食む為時は道兼を人殺しにはできず、急病で亡くなったことにして収めたのです。道長は、会う約束したあの日まひろが現れず、失意のまま帰宅したところで返り血を浴びた道兼を目撃していました。まひろの言葉を信じ、一族の罪を詫びます。「道長のことは恨まない。でも道兼のことは生涯呪う。あの日、私が三郎に会いたいって思わなければ、私が走り出さなければ……」

母上が死んだのは私のせいなの、とまひろは泣きじゃくります。道長はまひろにそっと近づき、肩に手を乗せます。その様子を隠れて見ていた直秀は、そっとその場を離れますが、道長は直秀にまひろを頼むと、走って馬に乗り、屋敷へ戻っていきます。帰るのかよ、と直秀は複雑な表情を浮かべます。

晴明がすごすごと帰っていく様子を茶化す道兼に、道長は6年前に人を殺めたかと問い詰めます。虫けらの一人や二人殺したとてどうということもないと暴言を吐く道兼に、道長は牙をむいて掴みかかり、何度も殴りつけます。「虫けらは……お前だ!」 道兼は、あの時三郎が母の時姫に告げ口して自分を苛立たせなかったら怒らなかったと告げ、道長は顔がみるみる青ざめていきます。

為時邸では、まひろの姿が見えないと為時や惟規、いとが心配しています。そこにまひろがとぼとぼと帰って来て為時に叱責されますが、いつもと違う様子に為時は息をのみます。まひろはまた泣き始め、父の胸に飛び込みますが、為時は何が何だか分かりません。とても美しい満月の夜の出来事でした。

 

作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
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[出演]
吉高 由里子 (まひろ)
柄本 佑 (藤原道長)
黒木 華 (源 倫子)
井浦 新 (藤原道隆)
吉田 羊 (藤原詮子)
玉置 玲央 (藤原道兼)
高杉 真宙 (藤原惟規)
町田 啓太 (藤原公任)
渡辺 大知 (藤原行成)
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ユースケ・サンタマリア (安倍晴明)
秋山 竜次 (藤原実資)
上地 雄輔 (藤原道綱)
本郷 奏多 (花山天皇)
毎熊 克哉 (直秀)
橋爪 淳 (藤原頼忠)
益岡 徹 (源 雅信)
財前 直見 (藤原寧子)
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岸谷 五朗 (藤原為時)
段田 安則 (藤原兼家)
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制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:大越 大士・高橋 優香子
演出:中泉 慧

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『光る君へ』
第6回「二人の才女」

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