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2024年2月16日 (金)

プレイバック風と雲と虹と・(14)再会

誇り高き坂東の男・小次郎将門が平安の都へ来て、三度目の夏が終わりに近づこうとしている。まっすぐな小次郎の心は、都の公という名の曲がりくねってひねこびた迷路の中で、行く先を見失おうとしていた。川のほとりで鹿島玄明の笛の音色に耳を傾ける平 将門は、盗賊たちを討ったあの夜のこと、そして藤原子高、平 貞盛、貴子姫の乳母に投げかけられた言葉を思い出していました。

笛を吹いている間、玄明は無心です。しかし強いて考えていることを挙げるとすれば、生まれ育った武蔵国の山々、それと海を思い浮かべていたかもしれません。螻蛄婆(けらばあ)たちはいま藤原純友について伊予の海へ行っていて、玄明も行きたいような気がしてきたわけです。「純友の殿……しかし私には」

貴子姫の前に座している貞盛は、生涯を都で送る覚悟を決めつつ、喜びを共にし悲しみを分かち合う伴侶を見つけたと打ち明けます。しかし貞盛が言うその女性は、自分のことを愛してはくれないと寂しそうに笑います。貴子姫はその相手が自分のことだと察知しながら、その言葉を止め、相手が分からないととぼけ、避けます。「酷(むごい)いことを……姫君、私が恋をしているのはあなた」

廊下で聞き耳を立てる乳母は、対面所で貴子姫の苦しそうな悲鳴を聞いても動きません。貞盛は貴子姫を抱き寄せ、手首を押さえつけて唇を奪います。貞盛を受け入れた貴子姫は、乳母の足音を聞いて座り直します。乳母が持ってきた酒を、貞盛は貴子姫に注ぐように言い、貴子姫は言われるがまま、盃に酒を注ぎます。乳母の心の中では、将門は誠実だが貞盛の方が出世すると先を見越しての乗り換えです。

 

将門は伊予行きを決意します。藤原忠平は瀬戸内の海賊事情を説明し、追捕使の佐伯清辰は勇者のみを送ってほしいと申請しているようで、将門はその声に応えるつもりです。「見事手柄を立てて参れよ。そちはしばらく都を離れた方が良い」 大中臣康継も藤原子高も、まるで将門を罪人扱いして去っていきます。

将門を待っていた三宅清忠は、伊予に行けば藤原純友が待っていると励まします。正直、清忠も都にはいたくありませんが、伊予に行く資格すらないと嘆きます。そこに四郎将平が来て、師匠である小野道風が将門に会わせたい人がいる旨、伝えに来ました。菅原景行卿ですが、清忠が言うには菅公(菅原道真)の三男にあたる公卿で、数年前に大宰府から戻って来たという、北家藤原の権勢の犠牲者です。

景行は常陸の荘園に戻って余生を送りたいとこぼします。学問の道ではかなわぬと敬う景行が都を離れるのは、高慢な道風でさえ寂しいわけです。都が嫌いになりつつある将平は、将門の理解で景行とともに坂東に帰ることになりました。さらに都に飽き飽きしている清忠も、景行のお供をしたいと申し出て、景行の許しを得ることが出来ました。

その夜、小次郎は貴子の屋敷を訪れた。貴子姫を離さないと言った舌の根が乾かぬうちに、伊予へ行くことになったと将門は貴子姫に詫びます。その事情は分かっているつもりですが、将門との別れと、貞盛との関係を将門に言えない辛さで、貴子姫は泣きじゃくります。乳母は笑って将門を見送らなければと慰めますが、居室に籠ってしまいます。

将門と入れ替わりに貞盛がやって来ましたが、今は貞盛にも会いたくありません。貞盛は貴子姫を抱き起しますが、心の中がぐちゃぐちゃになってか、貴子姫は貞盛の胸を叩いて感情を露わにします。しかし、やはり次第に貞盛を受け入れてしまうのです。
将門は自邸への道をとぼとぼと歩いて帰ります。

自邸の前には玄明が将門の帰りを待っていました。伊予へ行くという将門に、やめるわけにはいかないかと持ちかけます。純友は海賊も民人だと言っていたことを持ち出し、民人を殺せるのかと将門に問いかけますが「賊は賊だ。行かねばならぬ」と将門は屋敷に入っていきます。玄明は、恐ろしいことになると不安げです。小次郎は西へ向かった。この春に純友がたどった道を同じように。

 

追捕使・佐伯清辰。官職は従七位上、兵庫丞(じょう)。すなわち兵庫寮という兵器の管理などを司る役所の役人である。今回も純友西進の時と同じように神崎の港に止まり、遊び女たちが乗った小舟が近づいてきますが、清辰は見向きもせず西進します。その小舟には千載と、その父藤原恒利が乗っていました。純友との約束通り、追捕使の船には手を出しません。

夜、追捕使の船は今ごろ須磨か明石あたりと恒利はつぶやきます。追捕使たちのことが気になる様子の恒利ですが、純友が伊予の頭目たちをどう打ち払うのか見届けたいわけです。どちらにせよ追捕使たちの命はそう長くはなさそうです。千載は純友も怖がっていないとつぶやき、純友の本心を知るために抱かれに行こうか? と恒利に提案します。遊び女だった妻のことを思うと、恒利は複雑です。

そのころ伊予の国府では、守(かみ)、つまり長官の平 維久(これひさ)が、介(すけ)の藤原正経、そして掾(じょう)の純友を緊急に招集していた。維久は追捕使一行が20名ほどの武者を連れて明日到着することを伝えます。今日の明日では準備万端には! と正経は責任を維久に押し付けようとしますが、ヒートアップする二人を見かねた純友は、まあまあとなだめます。

しかも連れてくる20名ほどの武者たちは、京で招集されたのか現地で集められたのかによって武者たちの格が変わるわけで、正経の主張に純友はうんざりしています。純友は腹を立てないことにした。今さら立てることはない。とうの昔から立っている。あとは、それを爆発させるだけが残っている。追捕使一行を迎える準備万端は、純友が引き受けることになった。

馬に運ばせた米俵を蔵に入れています。それを帳簿をつけて管理する男の元を純友は訪れます。この男は伊予の国府で目(さかん)という中級職にある漢部倉麻呂(あやべのくらまろ)。追捕使一行には伊予の魚をごちそうしたいという倉麻呂の提案で、漁師であるくらげ丸が手配することになりました。自分たちを討ちに来る連中に食わせる魚とは、とくらげ丸は不気味に笑います。

すべての手配を終えて、純友が国府の近くに借りている家に帰り着いたのは、もう夜であった。純友は大津から一人息子の重太丸(じゅうたまる)を連れて来ていたのである。純友の館には美濃と玄明が来ていました。都で何かあったというわけではありませんが、都から伊予へ向かう途中で道連れになったと、千載を指さします。美濃は嫉妬して千載を睨みつけます。

追捕使一行は神崎の港で遊び女をも近づけなかったことから、追捕使を甘く見るなとの恒利の忠告を千載は伝えます。純友は千載を下がらせ、美濃と玄明とともに恒利の思惑を推測します。篭絡する(手懐ける)つもりか人質を出したつもりか──。玄明は、将門が一行の中に加わっていることを純友に教えます。これはいいな! と純友は大喜びですが、玄明はその反応に驚きです。

「嬉しいではないか、友遠方より来たる。これはどういうものかあの男が好きだ」 しかし将門は海賊を討ちに来るわけで、将門を生かすためには海賊たちに将門を殺させるわけにはいきません。だから玄明は気になって伊予に来たわけです。純友は困ったことになったと頭を抱えています。

深夜、純友の寝所にこっそり侵入する千載ですが、純友の横には重太丸が眠っています。純友の眠る顔をじっと見つめた千載は、来た道を戻っていきます。千載が出ていくと純友は目を開けます。そして戻っていく千載の後姿を美濃が睨みつけていました。

 

追捕使一行を乗せた船が伊予に近づきつつあります。うっすらと見え始めた船に民人たちは沸き立ち、純友も万感の思いで見つめています。小次郎は伊予へ来た。藤原純友との再会である。


原作:海音寺 潮五郎「平 将門」「海と風と虹と」より
脚本:福田 善之
音楽:山本 直純
語り:加瀬 次男 アナウンサー
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[出演]
加藤 剛 (平 小次郎将門)
吉永 小百合 (貴子)
山口 崇 (平 太郎貞盛)
仲谷 昇 (藤原忠平)
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草刈 正雄 (鹿島玄明)
木の実 ナナ (美濃)
小池 朝雄 (小野道風)
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高橋 昌也 (菅原景行)
奈良岡 朋子 (乳母)
緒形 拳 (藤原純友)
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制作:小川 淳一
演出:大原 誠

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『風と雲と虹と』
第15回「伊予の海霧」

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