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2024年2月11日 (日)

大河ドラマ光る君へ・(06)二人の才女 ~まひろがききょうと初対面~

永観2(984)年、衝撃の告白から帰宅したまひろは、涙で濡れた顔を洗います。藤原為時は、自分が愚かだったとまひろに詫び、左大臣家の集いには行かなくていいと告げます。まひろは為時を呼び止め、「父上のよりどころが我が家にとっての仇である右大臣家しかないのは、私もいやでございます。源とのつながりも持っておかれた方が」 まひろが男だったらと口にする為時は、その提案を認めます。

その左大臣・源 雅信とのつながりを、藤原兼家も持とうとしていました。倫子に道長を婿入りさせようというのです。雅信は宇多天皇の血筋であり、お屋敷の土御門殿も立派で、血筋と財力は申し分ありません。道長はそういう話をする気分ではないのですが、兼家は道兼を、道隆や道長が表の道をゆくための“泥をかぶるための道具”と考えよ、と冷酷な表情です。「今宵限りで忘れよ。道兼には道兼の使命があるのだ」

藤原道兼は、自分が殺した女が道長の知人だったら悪かったな、とニヤリとします。道長は先ほど兼家から言われた「兄上には我が家の泥をかぶっていただかなければなりませぬゆえ」と返します。道兼は父のためなら泥をかぶるが、自分たちはみな同じ方を向いていると告げます。それが一族の闇なのです。

私は道長から遠ざからなければならない。そのためには何かをしなければ──。まひろは考えています。

 

寛和元(985)年、左大臣家の集いでは赤染衛門が蜻蛉日記を講義しています。まひろは、兼家という高貴な身分の殿御に愛された女の自慢話と解釈します。赤染衛門はまひろの解釈を正しいと認めつつ、女の一人寝の寂しさを歌ったのが素晴らしく、強く感じられると補足します。まひろは得意げに写本をお持ちすると言うと、倫子はいらないとあっさり。「私、書物を読むのがいちばん苦手なの」

左大臣家からの帰り、まひろは直秀たち散楽の役者たちが稽古をしている場面に出くわします。今度五節の舞で倒れた姫を題材にすると聞いたまひろは、高貴な殿方みんなと契っている舞姫が、男の都合のいいように扱われている女こそが最もしたたかだ、という話を提案しますが、役者たちはみな言葉を失います。「笑いたいんだよ。おかしきことこそめでたけれ。お前の話じゃ笑えない。所詮貴族のたわ言だ」

弘徽殿(こきでん)の女御・忯子(よしこ)は花山天皇の子を身ごもり、臥せっています。すっぽんの甲羅を見舞いに持参する藤原斉信は、自分を重用するよう帝に耳打ちしてほしいと忯子にささやきます。そこに帝が現れ、帝は忯子の容態が気になって政務にも力が入らないと、忯子の手を握ります。気配を感じた帝は振り返り、「お前は誰じゃ」と斉信を睨みます。斉信は恐縮して頭を下げます。

道長は道隆の屋敷を訪れ、義懐が公任と斉信を父もろとも帝の一派に組み込もうとしていることを行成から聞いたと告げます。その会合に呼ばれていない道長は、つまり右大臣家の排除と察知したわけです。道隆は、病気の忯子が皇子を産むことはないだろうし、帝の在位も短いと推測しますが、若い者たちの心が帝や義懐一派に傾くのはよくないと顔を曇らせます。

道長は、忯子に子が産まれないとの道隆の一言に疑問を抱きますが、そこで初めて兼家が安倍晴明に命じたと知り、表情を固まらせます。宮中での勢力争いに興味がないのは昔も今も変わりませんが、道長は帝を支えるのが義懐であることを不安視しているのです。「お支えする者が知恵なくば国は乱れます。義懐どのなら、父上の方がずっとよいと」

 

顔にハエが止まっていても気づかない呑気な雅信は、詮子に呼ばれて東三条院を訪れます。挨拶のあと東宮懐仁親王を退席させた詮子は、兼家が前の円融天皇に毒を盛って退位を促したことを知っているかと尋ねます。しどろもどろになる雅信ですが、詮子の思惑は父とは違う政治的な力が欲しいわけです。東宮の後ろ盾になれと迫る詮子は、雅信が拒否できないように仕向けていきます。

私なりにお支えしたいという雅信の言葉を引き出した詮子は、未だに嫁がぬ倫子が22歳と聞いて、自分のように入内して辛酸をなめるよりはましだと頷きます。冷や汗をかきながら退席する雅信と入れ替わりに入って来た道長に、左大臣家に婿入りして倫子と結婚するように命じます。は? と目が点になる道長です。「評判の姫らしいわよ。年は少し上だけど。私の言うことに間違いはないから。いいわね」

道長の報告と高階貴子の提案で、道隆は4月27日に漢詩の会を開くことにします。道隆の使者は為時を訪問し、清原元輔と為時を講師(こうじ)として招いていることを伝えます。為時は無論参加するわけですが、まひろは参加者に道兼の名がない(もちろん道長の名もない)ことを知った上で、父の晴れ姿を拝見したいとニッコリします。為時はギョッとしますが、そう言われては断る理由もありません。

当日、まひろを伴った為時は、元輔との久々の対面を喜びます。元輔の横にはききょうがいて、漢詩の会の錚々たる顔ぶれに胸が高鳴ると笑みを浮かべます。千年の時を超え、今も読み継がれる文学を残した、紫 式部と清少納言の若き日の出会いであった。会の前に笛を堪能する一同ですが、そこに道長が遅れて入り、その姿を見たまひろは動揺を隠せません。

元輔は「酒」という題を提示します。公任や斉信、行成らがスラスラと書く中、漢詩の苦手な道長だけは手を震わせます。「賜酒(ししゅ) 杯に盈(み)つれども 誰(たれ)と共にか持せん 宮花(きゅうか) 把(は)に満ちて 独り相思う」(下賜の酒は十分あるが君をおいて誰と飲もうか。宮中の菊花を手に満たして私はひとり君を思う。君を思いながら菊の傍らに立って、一日中 君が作った菊花の詩を吟じむなしく過ごした)

唐の太宗の治世になぞらえ今の帝の世の揺るがぬさまをうたい上げた公任の作について、道隆に感想を求められたまひろは、唐の白楽天のような歌いぶりと評します。しかし「むしろ白楽天の無二の親友だった元微之(げんびし)のような、闊達(かったつ)な歌いぶりでした。そうじゃございません?」とききょうが口を挟み、元輔は咳払いをしてたしなめます。

最後に道隆は、この国をやがて背負う若い者たちが、何を願い何を憂いているのか深く心に刻んだとまとめます。そしてその思いを叶えるべく自分も力を尽くしたいと宣言します。「そなたらとともに帝を支え奉り、この国をよりよき道に導いてまいろうぞ」 その場に居並ぶ者たちは一様に頭を下げます。

 

屋敷に戻った道長は文机に向かい、文をしたためます。そしていつものように出仕し、検非違使として警備する夜、盗賊は屋敷に忍び込んでいます。「盗賊だ!」との声に道長たちは駆けつけ、外壁に上って逃げる盗賊を見つけて矢を命中させますが、盗賊は持っていた布を投げ、道長の弓に絡みついて攻撃させなくします。その間に盗賊たちは身軽に逃げていき、ほかの検非違使たちが追いかけます。

そのころ宮中では忯子が“お隠れになった(亡くなった)”と大騒ぎです。一報を聞いた帝は大声で忯子の名を叫び、その居室へ向かいます。

まひろのところには、直秀の使いの者が道長の文を届けていました。
ちはやぶる
 神の斎垣(いがき)も 越えぬべし
  恋しき人の みまく欲しさに
まひろは道長からの文を胸に抱きます。

 

作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
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[出演]
吉高 由里子 (まひろ)
柄本 佑 (藤原道長)
黒木 華 (源 倫子)
井浦 新 (藤原道隆)
吉田 羊 (藤原詮子)
玉置 玲央 (藤原道兼)
高杉 真宙 (藤原惟規)
板谷 由夏 (高階貴子)
町田 啓太 (藤原公任)
渡辺 大知 (藤原行成)
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本郷 奏多 (花山天皇)
ファーストサマーウイカ (ききょう)
毎熊 克哉 (直秀)
益岡 徹 (源 雅信)
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岸谷 五朗 (藤原為時)
段田 安則 (藤原兼家)
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制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:川口 俊介・高橋 優香子
演出:黛 りんたろう

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『光る君へ』
第7回「おかしきことこそ」

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