« プレイバック風と雲と虹と・(30)遊女姫みこ | トップページ | プレイバック風と雲と虹と・(31)龍と虎と »

2024年4月14日 (日)

大河ドラマ光る君へ・(15)おごれる者たち ~摂政道隆の独裁が始まる~

永祚2(990)年。摂政となった道隆は、公卿たちの反発をものともせず、娘・定子を中宮に立てた。さらに道隆は一条天皇の母・彰子を、内裏の外の職御曹司(しきのみぞうし)へと遠ざけた。道隆は、妹・彰子とすれ違いざまに、内裏における長年の苦労を労わりますが、その言葉に皮肉さを感じた彰子は「心にもないことを」と吐き捨てます。

5日前、藤原道兼は藤原公任の屋敷を突然訪問し、そのまま屋敷に居座っています。道長は道兼を迎えに行きますが、道兼は帰ろうとしません。父にも妻にも子にも捨てられたと自暴自棄になる道兼は、摂政の首はいかほどかと道長に問います。摂政の首が取れたら未練なく死ねるとつぶやく道兼に、道長はこの世で幸せになってもらいたいと諭します。「兄上は変われます。父上はもうおられないのですから」


2年が過ぎ、摂政道隆のもと道兼は内大臣に、伊周は道長と並ぶ権大納言に、道綱と公任は参議となっていた。正暦4(993)年。除目が終わり、摂政道隆に近しい者が66名も位を上げた結果に、藤原実資は道長に「どう思う?」と尋ねます。公卿たちの気持ちは明らかに摂政から離れると実資は危惧するのです。内裏が乱れれば世が乱れる……。

藤原為時はまたも除目で名前を呼ばれず、無官のままです。名前を呼ばれないのも慣れてしまったと為時はフッと笑いますが、そんな時、息子の藤原惟規が戻って来ました。大学寮の試験に合格し「擬文章生(ぎもんじょうしょう)」になったのです。いとはこの日のために用意していた祝いの酒を準備します。まひろはいよいよこの家にも光が差してきたと笑いますが、惟規は「気持ち悪いよ」と照れています。

独裁を推し進める道隆も“あくどすぎる”と非難の的ですが、中宮定子も“帝を手玉に取って”とさんざんに非難されています。そんな中、高階貴子は娘の中宮定子のもとを訪れます。中宮は帝の皇子を生むことが第一ではありますが、帝のほうのみを見ているだけではダメで、後宮の長として揺るぎなくすべての者の心を引きつける必要があるのです。中宮が輝けば摂政の政も輝く──貴子は定子を見据えます。

ある日、ききょうがまひろを訪ねてきました。ききょうは中宮定子の女房になることに決まったと打ち明けます。ききょうには父も夫も子もおらず、喜びを伝える相手がいなくてまひろのところへ来たようです。内裏で女房として働きたいと言っていたのを知っているだけに、まひろは喜びます。

「尋声暗問弾者誰 琵琶声停……(声を尋ねて闇(あん)に問う。弾く者は誰そと。琵琶声停みて……)」(『琵琶行』白楽天) 読みながらふと振り返り、琵琶を見つめるまひろですが、惟規もききょうも前に進んでいるのにもかかわらず、自分が一歩も前に進めていないことに愕然としています。

 

貴子の仲介で、ききょうは内裏の定子と対面します。「清……少納言。今よりそなたを清少納言と呼ぼう」と定子はききょうに声をかけます。ききょうの父の姓は清原、元夫は少納言からです。元夫はすでに別れているし、少納言でもないと言いつつ、ききょうは“清少納言”の響きをいたく気に入ります。「素敵な呼び名ですので、ぜひそれでお願いいたします」

定子のいる登華殿は、帝と若い公卿たちが交流する華やかな場となっていった。摂政から関白となった道隆は、一条天皇を大人と認めることで、皇子をもうけるよう促した。

その登華殿にかかる莫大な費用をすべて公で賄うことを、道隆に言われて道綱が認めたようで、道長は困惑しています。道綱は、やりすぎだと感じつつ、自分がやりたいわけではないのだから関白に言ってくれと唇を尖らせます。道長は道綱を一瞥し、立ち上がります。「分かりました。関白さまにお伺いします」

体調が思わしくない道隆を訪ねた道長は、中宮から女房たちに至るまできらびやかな装束や調度をたびたびあつらえることに苦言を呈します。お前は実資かと道隆に笑われますが、細かいことを言わないと思ったから道隆は道長を中宮の世話を取り仕切る中宮大夫に任命したわけです。道隆は、伊周が出る弓競(ゆみくら)べを見ていけと、道長を誘います。

伊周は的のど真ん中をどんどん射抜き、女房たちの羨望の的です。そこに連れて来られた道長に、伊周は対決を挑みます。固辞する道長ですが、道隆に言われて仕方なく相手をします。伊周の好調ぶりとは裏腹に、弓の腕があるはずの道長は、1本をかすめ1本を外します。伊周は、まだ矢が2本残っているのに帰ろうとする道長を引き止めます。「願い事を言うてから矢を射るのはいかがでしょう」

伊周は「我が家より帝が出る」と言って矢を放ちます。ど真ん中ではありませんが、的には当たります。続いて道長も「我が家より帝が出る」と言って放つと、的のど真ん中を射抜きます。伊周も道隆も息を飲みます。伊周が「我、関白となる」と言って放った矢は、的を大きく外してしまいます。道長が同じように言おうとすると、道隆は不機嫌そうに止めます。「兄上、先ほどの話は改めて」

道長のお渡りに明子は、本当にこの家から帝が出るかもしれないと微笑みますが、道長は8歳も年下の甥を相手にバカなことをしたとこめかみをポリポリ掻いています。明子の腹には道長の子が宿っていて、道長は明子の腹をさすりながら、大事にするよう言葉をかけます。そこに土御門殿から左大臣危篤との火急の知らせが飛び込みます。

道長は大急ぎで土御門殿に向かいます。源 雅信は息も絶え絶えに、婿殿(=道長)の出世もこれまでだとつぶやきます。土御門殿の婿に来させるのではなかったと、雅信は不承知と言い続ければよかったと笑います。倫子は、私は幸せでございますと雅信の手を握ります。藤原氏全盛の世に16年の長きにわたって左大臣を務めた源 雅信は、74歳で旅立った。

 

さわは、父と継母、そして大きくなってきたその子たちから冷遇され、また家にいたくない病にかかったようです。誰かあの家からさらってくれる殿御に会えるよう、近江の石山寺へ気晴らしに行くというさわは、まひろを誘います。まひろは思い切って為時に旅の許可を求めますが、気晴らしになるならと意外な返答です。「そのくらいのかかりは、なんとかなろう」

さっそく旅立つまひろとさわは、喜々としながら石山寺に入ります。当時石山詣では、都の人々の間で流行っていた。二人も合わせて誦経(ずきょう)しますが、さわは飽きたと眉間にしわを寄せます。すると藤原寧子が顔をひょっこり出します。まひろは寧子が『蜻蛉日記』を書いた人だと知り、目を輝かせます。

まひろは『蜻蛉日記』にある、兼家が訪ねてきたのに数日門を開けなかったときの心境など、幼い当時は理解できなかったと微笑みますが、寧子は心と身体は裏腹と諭します。ふとまひろの脳裏に、道長に妾(しょう)として迎えると求婚された時のことがよぎります。「私は日記を書くことで、己の悲しみを救いました。あの方との日日を公にすることで、妾の痛みを癒したのでございます」

命を燃やして人を思うことはすばらしいこと、しかし妾は辛いもの──。だからこそ寧子は、「できることなら嫡妻になられませ」と二人に勧めます。そこに息子の道綱がやって来ました。道綱が遅いので寧子は二人に相手をしてもらっていたと告げると、道綱と二人は挨拶を交わします。まひろは、日記にも出てきた道綱に出会えるなんてと感激しています。

眠っているさわのところに、道綱が現れます。寝言で「道綱さま……」とつぶやくさわの横に潜り込む道綱ですが、さわの顔を見て表情を一変させます。さわは道綱がまひろと間違えたのかと思いますが、道綱は慌てて否定します。「私には妻がおる。妾もおる。ゆえにそなたを抱こうとしていたことは間違っておったと今気づいたのだ、まひろ……あ、さと」

才気もなく殿御を引きつける魅力もなく、家にも居場所がないと傷心のさわは「もう死んでしまいたい!」と飛び出して行きます。川岸にたどり着く二人ですが、川や岸には死体が転がっていました。思わず目を背けるふたりです。このころより都の近辺では、疫病がはやり始めていた。

 

作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
──────────
[出演]
吉高 由里子 (まひろ)
柄本 佑 (藤原道長)
黒木 華 (源 倫子)
井浦 新 (藤原道隆)
吉田 羊 (藤原詮子)
高畑 充希 (藤原定子)
玉置 玲央 (藤原道兼)
板谷 由夏 (高階貴子)
高杉 真宙 (藤原惟規)
三浦 翔平 (藤原伊周)
秋山 竜次 (藤原実資)
町田 啓太 (藤原公任)
渡辺 大知 (藤原行成)
──────────
塩野 瑛久 (一条天皇)
石野 真子 (藤原穆子)
上地 雄輔 (藤原道綱)
ファーストサマーウイカ (ききょう)
益岡 徹 (源 雅信)
財前 直見 (藤原寧子)
──────────
岸谷 五朗 (藤原為時)
──────────
制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:川口 俊介・高橋 優香子
演出:中島 由貴

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『光る君へ』
第16回「華の影」

|

« プレイバック風と雲と虹と・(30)遊女姫みこ | トップページ | プレイバック風と雲と虹と・(31)龍と虎と »

NHK大河2024・光る君へ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« プレイバック風と雲と虹と・(30)遊女姫みこ | トップページ | プレイバック風と雲と虹と・(31)龍と虎と »