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2024年5月21日 (火)

プレイバック風と雲と虹と・(41)貞盛追跡

良兼と扶(たすく)は、石井(いわい)の小次郎の館に夜討ちをかけた。家人の子春丸を裏切らせ、館の状況に精通した上で、選りすぐった武者80名をもってした奇襲である。対する小次郎たちは、男と言えば10人足らずの小勢であった。「夜討ちとは卑怯な!」と平 将門は奇襲軍と果敢に戦い、木の上から鹿島玄明が棒手裏剣を投げて加勢します。

別の部屋では将門が懸命に防戦する中、後から悠々と館に足を踏み入れた良兼は、良子と侍女たちに薙刀を向けられ衝撃を受けます。我が子を討たんとする親がどこにいると、良兼は良子に投降を勧めますが、良子は首を振って抵抗します。「私は小次郎の妻です……豊太丸の母です!」 薙刀を突き出す良子ですが、ふるい落とされてしまいます。そこに偶然将門が乱入してきました。

将門は怒りで刀を振り回し、良兼たちは圧倒されて庭に逃れます。庭では源 扶が、弟たちの敵を討つと刀を手に構えます。何度も刀を合わせ、もみ合った末ににぶい音がしたかと思うと、将門がゆっくりと倒れていきます。息をのむ良兼と良子です。扶はゆっくり立ち上がり、良子の方を振り返ると、力なくその場に倒れます。むくりと起き上がった将門は、良兼を見据えます。

民人たちの軍勢がこちらに向かっていると知らせが入ると、致し方なく良兼たちは引き揚げます。その途中で民人たちと遭遇し、軍勢は斬り合いに、そして良兼は木の上から螻蛄婆(けらばあ)と玄明に石つぶてを投げられ、隙を見て逃走を図りますが、愛娘の良子に刃を向けられたショックで、良兼はもはや戦う気力すら失しています。

将門や良子、伊和員経らは無事で、奇襲軍を追い払った充実感に満たされていました。老郎党(爺)はフラフラと力が抜けたように倒れ込み、将門は介抱させます。玄明は良兼が佗田真樹に助けられ落ちていったと聞かされます。討とうと思えば討てたとつぶやく玄明に、将門はそれでいいと頷きます。良子は兵たちの看護にあたり、螻蛄婆は薬草を取ってこさせ、将門はその強い味方に頼もしさを感じます。

良子が抱き起す武者は扶でした。しっかりなさって、と良子は扶を励ましますが、死期を悟ったのか扶は力なく首を横に振ります。「良子……どの……あなたとは……妙な縁だった……」 落命する扶を前に、良子は振り返って将門を見つめます。良兼の率いた精鋭80のうち死者40数名、負傷者は手厚い看護を受けて送り返された。承平7(937)年師走の14日の事件であった。

 

岡崎の砦の三郎が事件を知ったのは夜が明けてからであった。子春丸はいつものように薪割りをしていました。事情を知った平 将頼は子春丸を見つけると、八つ裂きにしてくれる! と逃亡した子春丸を追わせます。玄明は冷めた目で逃げる子春丸を見つめ、将頼につぶやきます。「放っておいたらどうです? どのみちあの男、行くところがない」

林の中に隠れる子春丸のところに子春丸の恋人が現れます。子春丸は良兼に力を貸した役割は果たしたと、きっと一の郎党にしてくれると喜びますが、それは戦に勝った時の話です。それでも一の郎党に夢を抱く子春丸に恋人は呆れてしまい、このままでは家族に迷惑がかかると、恋人は子春丸に別れを切り出しますが、子春丸は上総に行って馬に乗って帰ってくると言って行ってしまいます。

勇んで向かった上総の館で、門番に取り次ぎを願い出る子春丸ですが、良兼は病に伏していると無下に追い出されてしまいます。それでも子春丸は食い下がり、必死に対面を求めます。騒々しさに出てきた郎党は、かつて自分を捕えて裏切りを迫った男で、子春丸は約定の書状を見せますが、白紙だととぼけて追い出すよう門番に命じます。

門番から何度も蹴られたせいで足を負傷した子春丸は、雪のちらつく山道をとぼとぼと歩いていますが、その顔は絶望そのものです。玄明の言葉は事実であった。もはや坂東に子春丸を迎え入れてくれるところはなかった。『将門記』は彼についてこう記している。「注人子春丸は天罰有りて、事顕(ことあら)はれぬ。承平八年正月三日を以て捕殺(とらえころ)され已に了(おわ)んぬ──」

 

ともあれ、こうして承平7年という年が終わった。明けて承平8(938)年は後に改元して、天慶元年となる年である。将門は豊太丸を膝に抱き、良兼が病で臥せっているらしいとつぶやきます。戦のさなかにああいう形で父と別れた良子に、会いたいだろうなと思いやりますが、良子はニッコリ微笑みます。「良子の家はここ。他にありませんもの」

員経によれば水守の平 良正も臥せっているらしく、今回の戦で扶が討ち死にしたことで、源家の息子たちをすべて失った源 護も力を落としていることでしょう。ともかくしばらくは静かに暮らせそうですが、敵方にはもうひとり──平 太郎貞盛がいます。貞盛、弟の繁盛、家臣の真樹、決してこのままにはしておかないでしょう。

常陸府中の貞盛の館では、貞盛が母秀子に相談を持ちかけます。坂東で評判が悪い貞盛は、都に行って名誉を挽回してきたいというのです。藤原忠平のお気に入りである貞盛は、忠平のとりなしで将門と仲直りが出来れば、自分の所領の半分を繁盛に預け、自分の所領の管理も繁盛に任せたいと打ち明けます。

繁盛と真樹、小督は貞盛の前に並びます。貞盛は、西の海賊が公の力で収まっていると例示し、坂東でゴタゴタが続けば公が東に力を伸ばしてくると危機感を募らせます。貞盛が坂東に居ても将門には歯が立たず、そのためにも自ら京に上り、常陸の家の力を元に戻すよう尽力するのがいいと考えているのです。大きく頷く繁盛ですが、そこに小督に呼ばれた詮子と定子が到着しました。

護の世話のため、詮子と定子は常陸の護の館にいたようです。詮子に上京の目的を問い詰められますが、無論将門を討つためと貞盛は表情を変えません。しかしなおも京に残る可能性を疑う詮子ですが、小督を置いて逃げ出すわけがないと貞盛はニヤリとします。詮子も定子もそんな貞盛ののろけに、思わず顔をほころばせます。

年老いた夫を持つ姉たちには、若くさわやかな夫を持つ妹を羨む色が表れていたし、小督もまたそれを意識して誇らしげであった。貞盛はこの姉妹たちを憎んでいる。小督に対してももはや冷たい感情しか抱いてはいない。彼の胸に女たちに対する絶望に似た思いが苦く流れていた。

 

2月、貞盛は東海道を避け、道を東山道にとって出発した。小次郎たちの耳に届かぬよう密かな旅立ちであったが、供回りの数は少なくはなかった。下野から上野、そして碓氷峠を越えて信濃国へ。下野佐野あたりの領地でその行軍を見かけた田原藤太は、その行軍の主が貞盛と知って、将門に書状を送ります。

将頼は、いよいよ藤太も将門に懇親を求めてきたかと笑いますが、佐野で貞盛の軍勢を見たと教えてくれたのです。将頼は追いかけていって貞盛を討つといきり立ちますが、貞盛を討つなら俺が討つと将頼をとどまらせます。それよりも気になるのは藤太の心の内です。「これは俺の予感にすぎぬかもしれぬ。しかし藤太という人、なぜか俺のことをよく知っているような気がする」

小次郎は貞盛を追った。諸国を越えていくので、国府をはばかっての軽装であった。武蔵のこともあって将門をよく知っているような気がしている藤太は、将門には大きな傷があると考えを巡らせます。「欠けているといったほうがよいか。奴の心だ。温かいのだ。なくてはならぬものは冷たさなのだ」 郎党は藤太が将門に自身の若いころを映しているのではと指摘します。

碓氷峠は高地のつづら折りの険しい山道である。ここを越えれば坂東8か国の外、信濃国。さらに道を進めばやがて千曲川(ちくまがわ)の岸に出る。そこで、かつては無二の親友であった従兄弟同士の戦いが行われるはずである。


原作:海音寺 潮五郎「平 将門」「海と風と虹と」より
脚本:福田 善之
音楽:山本 直純
語り:加瀬 次男 アナウンサー
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[出演]
加藤 剛 (平 小次郎将門)
山口 崇 (平 太郎貞盛)
草刈 正雄 (鹿島玄明)
真野 響子 (良子)
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長門 勇 (平 良兼)
丹阿弥 谷津子 (秀子)
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星 由里子 (詮子)
峰岸 徹 (源 扶)
露口 茂 (田原藤太)
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制作:閑谷 雅行
演出:重光 亨彦

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『風と雲と虹と』
第42回「天慶改元」

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