« プレイバック風と雲と虹と・(37)民人の砦(とりで) | トップページ | 大河ドラマ光る君へ・(19)放たれた矢 ~まひろ宮中へ・道長は…~ »

2024年5月10日 (金)

プレイバック風と雲と虹と・(38)良子脱出

雨風を凌ぎ、訓練をし続けた平 将門は、ようやく一人で立ち上がることもできるようになり、平 将頼と相撲を取れるまでに回復しました。敗残の身を古間木沼の岸に潜ませた小次郎将門は、ひたすら病の克服に務めた。だが小次郎にとって何よりも気がかりなことは、妻良子と豊太丸の身の上であった。

ここは下野国・田原藤太の館。武蔵は藤原純友が、貴族や役人たちという“シロアリ”のせいで根太が腐っており、ひとゆすりふたゆすり強い力で揺さぶれば必ず倒れる、と言っていたと藤太に話します。夢物語のようにも聞こえますが、民人の力を目の当たりにした武蔵は、ここでできるのであれば他でもできると思い直しています。「そう思ったら私、会いたくなりました。あの人に」

坂東から伊予に向かうとき、藤太との約束を思い出して戻って来たと藤太に茶々を入れられますが、武蔵の目的は、藤太が今後どう動くのかを知っておきたいわけです。「……殿は怖い」武蔵は知っている。坂東において小次郎将門と真実対立する力がある者は、田原藤太しかいない。もし西の純友と東の将門の力が相合する日が来るとしたら、その時最大の味方となりうるのも、あるいは最も危険な敵でありうるのも、この男である。

藤太は、武蔵と砦の周辺を通るにあたり、郎党を砦に送って通行の許可を求めます。待っている間、藤太は思い出します。18歳の時に役人を殴り殺したことで反逆の罪に問われ、5年の流刑を受けた時がありました。国府を出ようとしたとき、餞(はなむけ)奉りたいと10歳ぐらいの少年が刀を差しだしてきたこと。「あの少年、今はどうしているか……。目が輝いていた。反逆という言葉に気を高ぶらせていたのだ」

村脇の道を通れとのことで、藤太はついでに砦の見学をしていくことにします。家の壁には刀が……。次の瞬間、馬がいななき暴れ出して、民人たちは農具や竹槍を藤太に向け威嚇します。「わしの馬は癇性でな」と藤太は笑い、囲みはほどなく解かれます。そして武蔵とはここで別れることにします。次に会うときは、案外敵味方かもしれぬ。なぜかそんな思いが藤太の胸の中にあった。

 

今や良兼の心中は複雑であった。水守(みもり)から良子たちが送られてきたからである。良子と対面しようとする良兼に、詮子は娘として会うのか罪人として会うのかと問い詰めます。詮子は、平 良兼が早々と撤退してきたことが不満です。良兼は、良正や扶、貞盛に任せてきたと言いたげですが、未だ将門の姿を見た者はおらず、彼の首を見るまでは戦いは終わらないと詮子は言い放ちます。

公雅、公連、公元の三兄弟が良兼の元に現れますが、詮子がいては言いにくそうです。公雅は三兄弟を代表して、良子が帰ってきたのに詮子の侍女たちに隔てられて会うことが出来ないと訴えます。詮子は良兼家と将門家の関係を公雅が理解した上で、けじめは必要だと諭します。もう結構! と出ていく公雅に、良兼は良子と対面することを許します。「伝えてくれ。わしがすぐに会いに行くと申したと」

三兄弟が良子と豊太丸を囲んで笑っているとき、良兼は庭から静かに近づいてきます。良兼は、良子がこの家にいたころよりひどく大人びて、そしてやつれているように見えた。そして良子には、父の老いの色がひときわ深くなったように見えた。親子の一年半ぶりの再会であった。良兼に抱かれる豊太丸、それを囲む4人の子らを、詮子は遠くから複雑な思いで見つめています。

夜、良子と豊太丸を救出したくて上総屋敷に忍び込む桔梗ですが、後から鹿島玄明が現れます。屋敷では良兼が詮子を探していて、2人は身をひそめます。通りかかった侍女に詮子の居場所を尋ねると、常陸府中の源 護(まもる)の館へ戻ったと教えられます。「理由は殿さまにお覚えのおありのはず、と申されておりました」

良兼の胸は煮え立つ。あまりの我がままであると思った。思えば詮子のために自分の家の平和は失われた。小次郎との争いも、詮子の差し金から起きたことだ。「詮子め……ええいあんな女、離別してくれるわ!」 それがいい。それが一番賢い解決策だ。良兼はそう思った。しかし拳を戸に叩きつけた時、良兼は苦しそうに座り込んでしまいます。

駆けつけた蓮沼五郎に良兼は、自分はあまり長く生きないかもしれないと口にします。その時、激しい思いが良兼を揺り動かした。詮子……あれだけの女にはもう二度と……。これから常陸府中に向かうと、良兼は五郎に馬の用意をさせます。良子たちのことは大事にしてやれと命じつつ、豊田の残党が取り返しにくる可能性を考え、捕らわれ人であることは念押ししておきます。

その様子を見ていた公雅は良子の部屋へ向かい、良兼が不在の今のうちに逃げるよう勧めます。詮子は良兼の良子への扱いが気に入らず、嫌がらせで実家に帰ったわけです。もし詮子が館に戻ってきたら良子はどうなるか分かりません。まさかと思う良子ですが、公雅の言い分は「そうかもしれないなあ」と、玄明と桔梗が入ってきました。

公雅は眠っている警護兵に近づき、向こうで人影を見たと、見て来てくれと不安そうにつぶやきます。まだまだ子どもだと、警護兵は見に行ってくれます。その隙を見計らって、公雅を先頭に良子と豊太丸、婆、それに玄明が夜の道を駆け抜けます。そして一行を迎えたのは鹿島玄道です。公雅とはここで別れますが、ありがとう、と良子は公雅につぶやきます。

途中の道で兵が殺されているのを発見され、曲者! と大騒ぎになりますが、五郎が良子の部屋へ立ち入ると、壁代の向こうでは良子の身代わりの桔梗が横たわっていました。辛うじて足だけが見え、すっかり信じ切ってしまった五郎は、良子は無事だと誤解し出ていきます。それを確認したのち、桔梗は戻って来た玄明と屋敷を脱出します。

 

隠れている将門のところに、砦を作った民人たちが迎えに来ました。将門は民人に向かって土下座をし、自分一人の力が民人や土地を守るのだと思いあがっていたと謝罪します。「お主たちみんなの力で、俺の命も大勢の郎党たちの命も救われた。俺はお主たちみんなのために、命を懸けるぞ!」

赤い布を旗印に、民人たちと将門たちは進んでいきます。その顔は勇気と希望に満ちあふれ、未来を見据えたものでした。小次郎将門の、新しい門出てある。


原作:海音寺 潮五郎「平 将門」「海と風と虹と」より
脚本:福田 善之
音楽:山本 直純
語り:加瀬 次男 アナウンサー
──────────
[出演]
加藤 剛 (平 小次郎将門)
草刈 正雄 (鹿島玄明)
真野 響子 (良子)
森 昌子 (桔梗)
──────────
長門 勇 (平 良兼)
宍戸 錠 (鹿島玄道)
吉行 和子 (けら婆)
──────────
星 由里子 (詮子)
太地 喜和子 (武蔵)
露口 茂 (田原藤太)
──────────
制作:小川 淳一
演出:榎本 一生

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『風と雲と虹と』
第39回「富士噴火」

|

« プレイバック風と雲と虹と・(37)民人の砦(とりで) | トップページ | 大河ドラマ光る君へ・(19)放たれた矢 ~まひろ宮中へ・道長は…~ »

NHK大河1976・風と雲と虹と」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« プレイバック風と雲と虹と・(37)民人の砦(とりで) | トップページ | 大河ドラマ光る君へ・(19)放たれた矢 ~まひろ宮中へ・道長は…~ »