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2024年5月26日 (日)

大河ドラマ光る君へ・(21)旅立ち ~出発直前にまひろは道長に文を~

長徳2(996)年、花山院に矢を放った罪で遠流処分となるも、抵抗して任地に赴かない藤原伊周を捕えるため、検非違使別当・藤原実資は中関白家の二条邸に突入。伊周は逃亡し中宮定子は髪を下ろします。それを知った一条天皇は衝撃を受けますが、帝の政に異を唱えるが如くの伊周は無論ながら、定子も同罪であると帝は言い放ちます。しかし裏では悲しみに打ちひしがれます。

まひろが屋敷に忍び込んでいたと知った藤原宣孝は、「もったいない、実にもったいない」と面白そうに盛り上げますが、目撃者であるまひろには不愉快で仕方ありません。宣孝はこの騒動で最も得をしたのは右大臣藤原道長であると告げます。女院詮子と手を結んだ道長は政敵である伊周を追い落としたわけで、道長と詮子の謀かもしれないとつぶやきます。まひろはなるほどと思いつつ、顔面蒼白です。

定子のところに清少納言が現れます。帰せと命じる定子ですが、少納言は定子の前に現れます。あの時定子の説得に応じて里に下がったのは間違いだったと、これからは自分を側に置くよう進言します。もし叶わないなら自分も髪を下ろすと宣言する少納言ですが、定子は首を縦には振りません。「ならぬ。下がれ」と命じつつ、気を失って倒れます。

帝の許可を得て二条邸の捜索に入る検非違使たちですが、伊周が自ら姿を現します。出家したから任地には赴かないとあくまで反発する姿勢を見せますが、被り物を取るよう実資に求められて逃げ出そうとします。実際には出家などしておらず、醜態を晒すばかりの伊周に、定子は御簾の内から言葉をかけます。「見苦しゅうございますよ兄上、この上には帝の命に速やかにお従いくださいませ」

母の高階貴子が大宰府に同行することで、ようやく伊周は重い腰を上げますが、立腹した帝は伊周と貴子を引き離すように命じます。大宰府に向かう輿を道長と実資が追いかけ、2人は無残にも引き離されます。伊周は今後騎馬で大宰府へ向かうことになります。父道隆の死からわずか一年で、その子どもたちはすべて内裏から姿を消した。

二条邸から火の手が上がります。火の中を少納言が救出にやって来ました。定子は生きていても仕方がないと、少納言には屋敷を出るように勧め、自らはこのまま屋敷に居残って死ぬつもりですが、少納言は定子を必死に説得します。「お腹のお子のため……生きていただかねばなりませぬ!」

 

一条天皇は実資を中納言とし、望み通り検非違使の別当を免じた。そして道長を正二位左大臣に昇進させた。定子の出家後、次の后探しが始まっていた。年頃の姫と言えば、右大臣藤原顕光の娘・藤原元子がいます。村上天皇の孫にあたり、詮子は「よいではないの! それにしなさい」と元気いっぱいです。源 倫子は詮子にクスッと笑います。

まひろの屋敷を訪れたききょう(清少納言)は、定子が懐妊したことを打ち明けます。ただ定子はあの騒動以来食事ものどを通らず、ききょうはとても心配していて、まひろにいい案はないかと相談します。かつてききょうは、帝が司馬遷の史記を書き写していた時、何を書けばいいかと定子に問われて「帝が史記(“敷”物)だから、中宮は“枕”詞でも」と答えて、その褒美に賜わった上質の紙があります。

まひろはその上質の紙に、定子のために何かを書くことを勧めます。「帝が司馬遷の史記だから、ききょうさまは春夏秋冬の四季、とか?」 言葉遊びが上手だと笑っていたききょうですが、その日の夜から書き物を始めてみます。そして横になっている定子の枕元にそっとその紙を忍ばせます。

春は、あけぼの。 やうやう白くなりゆく、山ぎは少し明りて、紫だちたる雲の細くたなびきたる──。『枕草子』です。ふさぎこんでいた定子も、次第に起き上がって熱心に読むようになっていきました。その姿を見た時、少納言は嬉しさがこみ上げてきたはずです。たったひとりの哀しき中宮のために、『枕草子』は書きはじめられた。

 

道長は、越前守として任地に赴く藤原為時を呼び出します。現在宋との商いは、筑前の博多津においてのみ認めているところですが、若狭に宋人が70人ほど到来し商いを求めてきました。そこで大湊や迎え入れる館など設備が整った越前へ移した……という事情を説明する道長ですが、すでにこの話は為時も知っていることです。

為時の任務は、宋との商いは博多津のみ認めること、朝廷には越前に新たな商いの場を作るつもりはないこと、穏便に説得して宋人を国に帰すことになります。越前と京は近く、商人とはいえもしかしたら軍隊かもしれず、入京して攻め込んでくる可能性もあるのです。為時は知恵の限りを尽くして任に当たると、道長に頭を下げます。

出立の日が近づくにつれ、為時の気が重くなっていくのがまひろにははっきりと分かります。国司は楽な仕事だと宣孝は笑いますが、道長に与えられた特命が、為時に重くのしかかっているのかもしれません。そこに惟規がついに文章生(もんじょうしょう)になって帰ってきました。いとは越前には行かず、帰って来た惟規のために屋敷に残ることにします。

出立にあたり、まひろは道長に文をしたためます。廃屋敷で対面する道長に、まひろは父を越前守にしてくれた礼を言いますが、そのきっかけとなった漢詩はまひろが書いたものだと道長は分かっていました。お前の字は……分かる、と言われてまひろは驚きます。そんな道長に、まひろは勇気を出して尋ねます。「中宮さまを追い詰めたのは、道長さまですか。伊周さまを追い落としたのは、道長さまの謀ですか」

道長は、そうだと即答します。しかしまひろには、嘘をついていると道長の表情を見て分かります。世間の噂に惑わされ、少しでも道長の関与を疑った愚かさを恥じます。そして迎えた道長との別れの時──。「この10年、あなたを諦めたことを後悔しながら生きて参りました。なぜあの時己の心に従わなかったのか……今度こそ、越前国で生まれ変わりたいと願っております」

 

京を出立したまひろたちは、琵琶湖を舟で北上し、越前への山道を進んだ。休憩を取りながらの旅路に、為時はまひろを気遣いますが、まひろはまひろで見たことのない光景に楽しみながらの行程で、さほど大変ではありません。為時は、越前国府に向かう前に立ち寄りたいところがあるとまひろに打ち明けます。

立ち寄ったのは松原客館でした。宋人たちの様子を見に来たわけですが、屋敷の中では怒号が飛び交い人々がもみ合いになっていました。お静まりなさい、と宋の言葉でなだめる為時に、宋人たちは一瞬で静まり返ります。「私は越前の新しい国守である」と自己紹介すると、宋人たちはまた騒ぎ出します。まひろは為時の背中で隠れながら、目の前の騒動に目を丸くしています。

 

作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
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[出演]
吉高 由里子 (まひろ)
柄本 佑 (藤原道長)
黒木 華 (源 倫子)
吉田 羊 (藤原詮子)
高畑 充希 (藤原定子)
板谷 由夏 (高階貴子)
高杉 真宙 (藤原惟規)
三浦 翔平 (藤原伊周)
渡辺 大知 (藤原行成)
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塩野 瑛久 (一条天皇)
ファーストサマーウイカ (ききょう/清少納言)
秋山 竜次 (藤原実資)
松下 洸平 (周明)
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佐々木 蔵之介 (藤原宣孝)
岸谷 五朗 (藤原為時)
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制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:川口 俊介・高橋 優香子
演出:原 英輔

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『光る君へ』
第22回「越前の出会い」

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