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2024年6月 9日 (日)

大河ドラマ光る君へ・(23)雪の舞うころ ~周明の秘密にまひろが…~

「話があって来た。朱さまは通事を殺していない。証人だ」 藤原為時とまひろの前に、周明が駆け込んできます。気の弱そうな証人の男は、国府の人に朱が通事の三国若麻呂を殺したと言うように脅されたと明かします。越前介・源 光雅と大掾(だいじょう)・大野国勝が駆けつけますが、証人は脅したのがこの光雅であると指をさします。為時は、反論する光雅を黙らせ、誰が通事を殺したのか? と問い、証人は武生(たけふ)の商人・早成(はやなり)であると告白します。

為時はさっそく早成を呼び、事情聴取します。早成は、宋と商いをしたかっただけで殺すつもりはなかったと弁明します。朱に取り次いでほしいと金(きん)を渡したら、若麻呂があまりの少額に難色を示したようで、砂金なら5袋出せと提示してきたわけです。食い下がる早成が若麻呂の肩を掴むと、後ろに転んだ若麻呂が頭をぶつけ、そのまま命を落としたというわけです。

光雅は、越前で力を持ち始めた朱が越前や日本を格下に見ていると危機感を抱き、無実の罪を着せることでその力を削ぎ落そうと画策したのです。為時は光雅らの話はいずれじっくり聞くと約束し、朱を解放するよう命じます。そして告発してくれた周明には、通事として力を貸すよう告げます。

夜、解放された朱は「あなたのおかげで助かった」と為時に頭を下げます。朱は越前を足掛かりにして、宋と日本の国同士の商いを図れと命じられて来日しています。それを果たさなければ国には戻れず、しかし前国守は話も聞いてくれなかったわけです。まだ話を聞くとは言っていないと為時が慌てて否定すると、朱は食い下がって為時に頼み込みます。「どうか力を貸してください。あなたが頼りです」

翌朝、光雅にそのことを伝えると、やはりと頷きます。為時は、光雅の越前を思う真情に理解を示しますが、無実の宋人を罪に陥れたことは許されないことと、光雅に年内謹慎を命じます。

宋人と思っていた周明が流ちょうに日本語を話して驚いたまひろは、周明は宋人なのか日本人なのか尋ねます。宋人だ、と言い張る周明ですが、生まれは対馬だそうです。周明は12歳の時に父親に口減らしのために海に捨てられ、宋の船に拾われたのです。宋では牛馬のように働かされ、逃げ出した周明は薬師の家に転がり込んで助けられ、見習いとなって今に至ります。

「あなたは苦しい目に遭って大変だったけど、宋の国はこの国よりも懐が深い国なのではないかしら」と、まひろは自分が宋の国に興味を持っていることを周明に打ち明けます。周明は「ウオジャオ ヂョウ ミン」と宋語で自己紹介し、それを応用してまひろも「ウオジャオ まひろ」と自己紹介します。それから周明の宋語のレッスンが始まります。まひろはみるみる上達していきます。

越前に雪が降り出します。
ここにかく
 日野の杉むら うずむ雪
  小(お)しほの松に けふやまがえる
(暦に 初雪が降ったとしるされる今日、近くに見える日野岳という山に、雪が深く積もっている。日野岳の杉林は、雪に深く埋れんばかりだ。 今日は、都でも小塩山の松に、雪がちらちらと散り乱れて降っていることであろうか)

 

一条天皇は文箱から巻物を取り出します。中宮定子が藤原行成の字を気に入って、帝とともに見ていた思い出の品です。中宮のことを考える帝は、そろそろ子も生まれる定子を心配し、どうにかして高階の屋敷に密かにいくことはできないかと行成に吐露します。定子はすでに出家していることを伝えても、「そうではあるが……」と帝はうつむきます。

帝の心の痛みが分かる行成は何とかならないか道長に訴えますが、頭を冷やせとバッサリ。聡明な帝は行成の優しさを見抜き、同情を買って利用しようとしているわけで、その術中にはまってはならないと諭します。「帝のおそば近くに仕える蔵人頭(くろうどのとう)は、もっと冷静であってもらいたい」

藤原公季の娘・義子、藤原顕光の娘・元子が続いて帝に入内しますが、帝はそのどちらとも会わない徹底ぶりで、定子のことを忘れられない帝の思いが伝わるようです。源 倫子は道長に、帝と女御たちを結び付ける語らいの場を設けることを提案します。倫子はこの土御門邸で催すと言い出します。女院詮子もいて帝も来やすいというのです。道長は倫子の頼もしさに笑顔を見せます。

詮子と道長が見守る中、帝の笛に元子が琴を合わせますが、帝は笛の演奏を止めてしまいます。帝に愛でられたことがない詮子は帝と定子の熱い気持ちが分からないとつぶやきます。道長は「私にも妻が2人おりますが、心は違う女を求めております」と告白します。やっぱり! と途端に弟の恋愛に興味を示す姉です。「捨てたの?」「捨てられました」「え! 道長を捨てるってどんな女なの!」

定子のところには清少納言による『枕草子』が送られ続け、出産前のいい暇つぶしになっているようです。定子は「ありがとう、この子がここまで育ったのはそなたのおかげである」と改めて少納言に礼を言います。少納言を定子に仲介したのは母の高階貴子で、初めて登華殿に入った日、藤原道隆はじめみんながキラキラ輝いていたと少納言は懐かしみます。翌日、定子は姫皇子(ひめみこ)を産んだ。

定子の出産について帝は報告を受けます。中宮は元気と聞いて、帝は心から安堵します。中宮に会ってねぎらいたいと帝は行成に言いますが、道長の忠告があったからか行成は無言です。帝もそれは無理だと悟ると、その代わりに今年の冬は寒いから絹をたくさん送ってやれと命じます。「承知いたしました」

内裏・梨壺──。東宮・居貞(いやさだ)親王は、道長のもう一人の姉の子である。一条天皇より4歳年長の東宮であった。居貞親王は、出家した尼が出産とはゆゆしきことだと言いつつ、産養(うぶやしな)いの支度に不自由しているらしいと聞いた居貞親王は、道長に任せて祝いの品を送らせることにします。

実は居貞親王は安倍晴明に、定子が女の子を産むよう依頼していたのです。このまま帝に男子がなければ、居貞親王の子・敦明(あつあきら)が次期東宮になる可能性が高いわけです。そう安心する居貞親王に、晴明は「帝に皇子はお生まれになりまする。中宮さまの皇子であろうと存じます」と、居貞親王にとっては衝撃的な予言をし、居貞親王は絶句します。

 

長徳3(997)年。前年宣孝は宋人を見に越前に行くといいつつ、結局は姿を現しませんでした。為時は、自分が無官でよい婿を取ってやれなかったことをまひろに詫びます。宋語を習っている周明と一緒になればいいと為時は考えていますが、そのような間柄ではないとまひろは断ります。「うん、それならそれでもよい」

為時は、翌日から越前国内の巡検に回ります。国府に残ったまひろは、越前の浜辺で相変わらず周明に宋語を習っていますが、そんな2人の様子を馬上の宣孝が見つめていました。2人に近づく宣孝は、周明が為時の病気もあっという間に直した名医と知り、世話になったと挨拶を交わします。周明は客館に戻ると言ってその場を後にします。

宣孝は、都でしきりに越前のことが取り沙汰されていると、為時が心配になって様子を見に越前まで来たわけです。ただ物詣と偽って来ているため、明後日には出立するつもりです。越前の生うにを出すまひろに宣孝は、会うたびに驚かされるまひろに伝えます。「お前と会うと違う世界が垣間見える。新たな望みが見える。未来が見える」

周明は、国主の娘(まひろ)は左大臣とつながりがあると朱に報告します。「うまく取り込んで左大臣に文を書かせます」と進言する周明ですが、周りの者は彼が日本人であることを隠していたことから信用できないと朱に忠告します。朱はみなの信用を勝ち取れ、と周明に命じます。「はっ。ことが成就したなら私を宰相様の侍医にご推挙ください」

宣孝が帰る日が来ました。宣孝はまひろに周明が好きか尋ねます。かつて宋に行ってみたいと吐露していたまひろを心配しているのです。そんなこともございましたわね、と笑うまひろを宣孝は見据えます。「あいつと宋の国などに行くなよ。都に戻ってこい。わしの妻になれ」

 

作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
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[出演]
吉高 由里子 (まひろ)
柄本 佑 (藤原道長)
黒木 華 (源 倫子)
吉田 羊 (藤原詮子)
高畑 充希 (藤原定子)
渡辺 大知 (藤原行成)
木村 達成 (居貞親王)
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ユースケ・サンタマリア (安倍晴明)
塩野 瑛久 (一条天皇)
ファーストサマーウイカ (ききょう/清少納言)
松下 洸平 (周明)
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佐々木 蔵之介 (藤原宣孝)
岸谷 五朗 (藤原為時)
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制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:大越 大士・高橋 優香子
演出:中泉 慧

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『光る君へ』
第24回「忘れえぬ人」

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