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2024年6月30日 (日)

大河ドラマ光る君へ・(26)いけにえの姫 ~天災 まひろは宣孝と衝突~

長徳4(998)年10月、日食と地震が同日に都を襲った。復旧作業に明け暮れる藤原為時の屋敷ですが、藤原宣孝はまひろに覆いかぶさって守ったというのに、いとは恋人の福丸が揺れに驚いて逃げて行ったことに憤慨します。宣孝は作業する者に金を与え、まひろには贈り物といって鏡をプレゼントします。

安倍晴明が日食と地震についての「天文密奏」を一条天皇に提出します。天文密奏とは、異常な天文現象が起きた時、その占いの結果を内密に天皇に知らせることをいう。天皇以外の者が読むことは許されなかった。「朕のせいなのか」と帝はがっくりと力を落とします。一方藤原道長も甚大な被害に頭を抱え、人夫を増やして山城守と検非違使に堤を築きなおさせるよう藤原行成に命じます。

晴明は、出家したことであの世に片足を踏み入れている定子によって帝が乱心しているため、その帝の心を正しいところに戻すしか天変地異を収める方法はないと道長に進言します。そのためには道長の一の姫・彰子を入内させる──。女御として義子も元子もいますが、それぞれの父に政治的な力はないわけです。「彰子さまは朝廷のこの先を背負って立つお方。入内は彰子さまが背負われた宿命にございます」

道長から見て彰子は引っ込み思案で口数も少なく、入内できる娘とは思えませんが、女院詮子まで賛成するありさまです。姉から見て弟はいつもきれいな場所にいて、今の左大臣という立場もあくせくと策を弄して手に入れたわけではありません。いよいよ身を切るときと詮子は説得します。「子どもであろうとも、それが使命ならばやり抜くでしょう。朝廷の混乱と天変地異が収まるなら、彰子をお出しなさい」

夜、道長は源 倫子に彰子の入内について打ち明けます。入内して幸せな姫はいないと考える道長と倫子は、彰子には優しい婿と穏やかにこの屋敷で暮らしてもらいたいと願っていたわけです。しかし今は入内もやむを得ません。「これはいけにえだ。手塩にかけた尊い娘ならばこそ、値打ちがある」 倫子は、自分が生きている限り娘を政の道具にはさせないと、怒って出て行ってしまいます。

倫子は母の藤原穆子に相談します。前帝への入内の話がありつつ道長に嫁いでよかったと思う倫子は、彰子にもそうあってほしいと願うのです。穆子は、倫子の考えを一旦認めつつ、入内したから不幸せと決まるわけではないと諭します。帝を骨抜きにしている定子も亡くなってしまうかもしれません。やってみなければ分からないし、帝より4つも年上の定子のことは、そのうち飽きてしまうかもしれないのです。

 

道長は、年が明けたら改元したいと考え、藤原実資に意見を求めます。「長保(ちょうほう)」を勧める実資は、これで道長の世も長く保たれるとまっすぐ見つめます。彰子入内にも賛成で、後宮の内もまとまって帝の運も上向くと力説しますが、自邸に帰った実資は日記にそのことを書き記し、「入内……ないな。ないない」とつぶやきます。

毬で遊ぶ嫡男の田鶴(たづ)は、姉の彰子が普段からぼんやりとして琴もなかなか上達せず、師匠が怒っていたと告げ口します。倫子は、田鶴は道長の跡を継ぐ大切な嫡男であるし、彰子は帝の后となるような尊い姫と説教しながら、「あら?」と我に返ります。そんな母の口調をそっくりそのまま真似て遊ぶ田鶴は、ほんの少しだけ憎らしいですw

一方、道長の前に座る彰子に、帝の后にという話を持ち出しても、特に驚かず「仰せのままに」と言うだけです。母親は入内に反対の立場であり、内裏に上がれば母とも田鶴らとも会えなくなるが、すべての女性の頂点に立つことができる、と道長は一通り説明します。わかるか? と尋ねても、やはり表情を変えず「仰せのままに」という彰子に、内心イラッとしながらも、また話そうと話を終わらせます。

夜、道長はひとり考え込みます。入内の意味も、その役割も何も分からない娘を入内させられるのか?
そしてそのころ、まひろの膝枕ですやすやと眠る宣孝は、まひろのくしゃみに目を覚まします。風邪を召されますよ と言われても、こうしておれば風邪など引かぬと、まひろを抱き寄せて仲睦まじいふたりです。

晴明に「天変地異は帝のせい」と突きつけられた帝は、心を病んでいました。政をおろそかにして多くの民を失った責めを負い、譲位して定子と静かに暮らしたいという願望を藤原行成に打ち明けます。行成はそれでは問題解決にはならず、在位のまま政に専念する姿を見せてほしいと進言します。譲位すれば円融天皇以来の筋が途絶え、詮子もそれは望まないと説得します。

帝は譲位については思いとどまりますが、皇子(みこ)を定子が生むことを希望し、定子への執着はすさまじいものがあります。しかし道長は、行成のおかげで一歩前進したと感じます。そして彰子が入内と聞けば公卿たちはみな喜ぶという行成ですが、この件はまだ公にするには早すぎます。ただ、彰子入内の件は行成の力を借りたい道長です。

 

年が明け、元号は「長保」となった。一条天皇はこの正月、こともあろうに中宮を秘密裏に内裏に呼び寄せた。その結果、定子は懐妊し、道長は驚愕します。晴明曰く、今年の11月ごろに皇子が生まれる──。こんな状況で彰子が入内して果たして幸せになれるのか? ということです。晴明は、国の命運を見定めることで、ひとりの幸せはあずかり知らぬと突き放し、道長は舌打ちします。

道長は、定子の産み月に彰子の入内をぶつけよう、と言い出し、入内のよい日取りを出すよう晴明に求めます。こうして晴明から出された「11月1日」を入内の日と決めます。倫子は、「呪詛は殿のご一家の得手」と皮肉も混ぜつつ、定子の皇子を呪詛するよう迫りますが、道長は動じません。「そのようなことはせずとも、彰子が内裏も帝もお清めいたす」

道長はついに、彰子の入内を正式に一条天皇に申し入れた。鴨川の堤の決壊に始まる天災の数々は、自分(帝)の政の未熟さゆえであり、その代理として差配した道長の働きを労わります。「そなたの働きに報いて、娘の入内を許す。我が舅(しゅうと)として末永くよろしく頼む」

道長は、裳着(もぎ)の儀を盛大に執り行うことで、彰子の入内を公のものとした。今でいう成人式にあたり、裳に加えて、唐衣(からぎぬ) や袴(はかま)など、いわゆる十二単も一緒に纏(まと)います。そして詮子が腰(裳の紐)を結んで儀式は終了します。道長は丁寧に参列者に頭を下げ、礼を言います。詮子はその道長にニッコリ微笑みます。

藤原伊周は、彰子の裳着の儀が行われたと定子に報告します。まだ子どもだから入内しても恐れることはないとつぶやく伊周に、帝の心は揺るがないと自信を見せる定子です。彰子はろくに挨拶もできないうつけだと定子の耳に入れ、定子にたしなめられます。清少納言は、自分にとって定子は太陽であり、軽々しく近づきすぎるとやけどすると伊周にくぎを刺します。

為時の屋敷では握り飯を子どもたちに配って施しが行われていました。屋敷を訪問した宣孝は、大地震で親を失った子どもたちが、飢えで命を落としても仕方ないと考えていて、助けたい一心で施しをしていたまひろはムッとします。そしていつものように宣孝は栗を土産を持ってきたのですが、みんなに分け与えようとするまひろをたしなめます。

宣孝は、まひろが自分に宛てた恋歌を“あるところ”で“ある女”に見せたと知り、2人だけの秘密を見知らぬ女に見られてしまったのは、まひろにとってとんでもない恥辱だと訴えます。褒めていたのだからいいではないかと主張する宣孝に、これまで送った文をすべて返さなければ別れるとまひろは引導を渡します。「またな」「“また”という時は、これまでに送った文を全てお持ちくださいませ」

 

藤原惟規(のぶのり)はまひろの様子を見に実家に戻ってきました。最近は宣孝に放っておかれていると愚痴を吐くまひろですが、「それは新しい女ができたからだよ」と惟規は助言します。なんでも清水(きよみず)の市でまひろよりずっと若い女に絹を買ってやっていたところを目撃したのです。「つつがないならそれでいいんだよ。宣孝さまのこと、一度ひっぱたいてやりなよ」と惟規はニヤリとして帰っていきます。

それから、許す 許さない、別れる 別れない、と文のやり取りが繰り返され……。ある時、宣孝はまひろに似合うと思って清水の市で絹を買って持ってきました。若い女に反物を買ったついでに、と皮肉を言うまひろは「多淫(たいん)は身体によろしくないそうですよ」と真顔です。宣孝は誰に聞いたかといろいろ勘繰りますが、最終的には頭を下げて詫びます。

甘えてこいと宣孝は笑顔を見せますが、まひろは 甘えたことはないとピシャリ。宣孝はフッと表情を曇らせ「お前の、そういうかわいげのないところに、左大臣さまも嫌気がさしたのではないか?」と応戦します。まひろは立ち上がり、火桶の灰を宣孝の顔にぶちまけます。これ以後、宣孝の足は遠のいた。

いとはまひろに、詫びの文を書くことを進めます。賢いまひろの主張は正しいわけですが、宣孝にも逃げ場を作ってあげないといけないと諭すのです。「思いをいただくばかり、己を貫くばかりでは、誰とも寄り添えませぬ」 己を曲げて誰かと寄り添う──それが「愛おしい」ということだと教えられ、まひろは屋敷のみんなで石山寺へ行くことを提案します。

宣孝が現れるかもしれないという期待を抱きながらまひろたちは石山寺に入り、誦経(ずきょう)します。そして夜、現れたのは道長でした。まひろの表情が固まります。

 

作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
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[出演]
吉高 由里子 (まひろ)
柄本 佑 (藤原道長)
黒木 華 (源 倫子)
吉田 羊 (藤原詮子)
高畑 充希 (藤原定子)
高杉 真宙 (藤原惟規)
三浦 翔平 (藤原伊周)
町田 啓太 (藤原公任)
渡辺 大知 (藤原行成)
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ユースケ・サンタマリア (安倍晴明)
塩野 瑛久 (一条天皇)
見上 愛 (藤原彰子)
上地 雄輔 (藤原道綱)
ファーストサマーウイカ (ききょう/清少納言)
秋山 竜次 (藤原実資)
石野 真子 (藤原穆子)
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佐々木 蔵之介 (藤原宣孝)
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制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:大越 大士・高橋 優香子
演出:黛 りんたろう

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『光る君へ』
第27回「宿縁の命」

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