« プレイバック風と雲と虹と・(50)藤太と将門 | トップページ | プレイバック風と雲と虹と・(51)激闘(げきとう) »

2024年6月23日 (日)

大河ドラマ光る君へ・(25)決意 ~宣孝から恋文 迷うまひろは答えを~

雪の舞う中を、藤原為時とまひろは紙を作る村に見学に来ます。秋は男が山で雁皮(がんぴ)を集め、冬は女が紙をすく。越前は寒いので、キッと目の詰まった艶のある美しい紙が出来上がるのです。これが越前の紙すきの技であり、為時は出来上がりの高級そうな紙を手に取り大きく頷きます。まひろは興味津々に作る工程を見ています。

国府に納品された紙の束を見て、これがあの紙かとまひろは目を輝かせます。1枚いただこうかしら、とまひろは紙を手に取りますが、為時はならぬとたしなめます。これらは民人が納めた租税であり、すべて都に送ることになっていて、そう言われれば仕方ないと、まひろは残念そうに手にした紙を元に戻します。

越前から2,000張(はり)を納めるはずが、ここには2,300張あります。これまでの越前国守が決められた租税を納めた後、残った紙を売って儲けていたのではないかとまひろは考えます。為時は余った300は返すことにしますが、それなら何枚かとまひろは所望します。「ならぬ。その考えは宣孝どのに吹き込まれたのか?」 為時のからかいに口をとがらせるまひろです。

しかし、民人は紙は返さなくて結構と断ってきました。役人に頼らなければ紙を都へ運ぶこともできません。余分な紙はその礼だと主張する民人に、為時は民人が不利を被らないように決まった量を納めるように説得すると約束しますが、わずか4年で国守の務めを終えて都に戻っていく為時には分からないだろうと、今のままにしておいてほしいと懇願します。

宣孝からの恋文が届いていました。帰って来た為時は、民人とのやり取りでつくづく世の中が見えていないとため息をつきます。清濁併せ呑む宣孝だからこそ、大宰府でもうまくやれたと納得する為時は、まひろがそんな宣孝に心を捉えられたかと目を細めます。宣孝がまめに文をよこすのは、それだけ宣孝が本気なのです。「宣孝どのには妻もおるし妾も何人もおる。お前は潔癖ゆえ心構えはしておけよ」

まひろが乗った舟が、琵琶湖を南下していきます。船の前の方に座る乙丸とその恋人のきぬを見て、まひろは微笑ましく思っています。私は誰を思って都に帰るのだろう? 宣孝の本気ぐあい、そして妻や妾のいる中で、果たして自分が傷つかずに過ごすことが出来るのか、それを考えるつもりです。

久しぶりの為時邸です。いとは待ち望んだようにまひろを出迎え、「父上とけんかでもしたの?」と惟規も迎え入れます。屋敷の奥からこちらを覗き込むようにしている男(福丸)を見て、誰!? とまひろは怯えたように惟規に振り返りますが、“いとのいい人”と教えられてまひろは思わず息をのみます。「今まで生きて来て驚くこともあったけど、この驚きは上から3つ目くらいかしら」

『関の荒垣や守れども はれ守れども 出でて我寝ぬや 出でて我──』 宣孝が加わり、まひろ帰京の宴が催されます。気分よく歌う宣孝ですが、そのまなざしはまひろに注がれていて、変に賢い惟規は、宣孝とまひろの間に何かあると察知します。

 

長徳4(998)年。安倍晴明は一条天皇に、新春を迎え栄え留まるところを知らず、めでたい限りと褒めたたえ、帝も公卿たちもうんうんと聞いています。しかし道長は晴明のウソを見抜いていました。これからしばらくは凶事が続くと告げる晴明に、地震か疫病か火事か日食か嵐か大水かと内容を尋ねますが、晴明はそれらすべてと答え、道長は衝撃を受けます。

道長はそれを防ぐ邪気払いを晴明に求めますが、災いの根本が取り除かなければ何をやっても無駄と突き放します。帝を諫め、国が傾くのを防げる人物は、左大臣道長しかいないという晴明は、「よいものをお持ちではございませぬか。お宝をお使いなされませ」と道長を見据えます。

職御曹司(しきのみぞうし)で定子と対面する帝は、昔のように楽しくみんなが集える場を作り、定子を幸せにしたいと考えています。伊周も大宰府から戻ってきて、兄までが職御曹司に出入りすれば、内裏の者に何を言われるか分からないと定子は不安げです。「誰にも、何も言わせぬ」と、帝は定子の唇を奪います。

鴨川の堤の修繕について勅命が未だに下りず、大水が出てからでは遅いと道長はイライラします。あれだけ民のことを考えていた帝が政そっちのけで、道長は情けないと吐き捨てます。そこに現れた藤原隆家は、遊びより政がしたいと訴えます。知らない者ばかりの出雲では、土地の者たちと深い付き合いができ、人心掌握に長けていると自己評価します。「買いかぶりかどうか、お試しくださいませ」

鴨川の修繕について勅命を急ぐよう求められた藤原行成は、女院詮子を頼りますが、詮子の病状が重く帝に進言するどころの話ではありません。職御曹司に赴き、清少納言に帝への対面を求める行成ですが、自分を追いかけまわすようなことをして無礼だと叱責を受け、おずおず引き下がってきました。それらを道長に報告し、帝には引き続きお願いを続けると頭を下げます。

大宰府から戻った伊周は、帝から職御曹司の出入りを許された。伊周は少納言がしたためたつれづれ話に目を通し、フッと笑って楽しんでいます。伊周はこれを書写して宮中に広めることを提案します。「これが評判になれば、ここに面白い女房がいるとみなも興味を持とう。みなが集まればこの場も華やぐ。中宮さまの隆盛を取り戻すことが出来る。さっそく手配いたそう」

激しい雷雨で、鴨川の堤が崩れてしまいました。晴明の予言通り、次々と災いが都を襲い始めた。藤原実資は帝や定子にいら立ち書き記す日記も雑になります。定子が職御曹司に入ってから悪いことばかり、道長が意見を言わないから帝はやりたい放題と公卿たちの非難が集まり、右大臣藤原顕光は、自分に任せよと公卿たちをなだめます。「きつく言ってやろう。左大臣に」

そう言って勇んで乗り込む顕光ですが、いざ道長を前にするとやはり上役には口をつぐんでしまいます。長雨なのによい天気と口走り、忙しかろうと励ましに来ただけと言って、うろたえながらそそくさと下がっていきます。

職御曹司には藤原公任が来て、笛を披露します。その公任は少納言と歌のやり取りをしたらしく、公任の下の句に少納言が上の句を継いだのです。
空寒み
 花にまがへて 散る雪に
  すこし春ある 心地こそすれ

伊周は、公任を交えて職御曹司で歌の会を開こうと提案します。そんな時、道長が職御曹司にやって来て、帝や定子たちは身構えます。

ここで政の話はしないと帝はくぎを刺し、座を外そうとする定子にもここにいるよう命じますが、道長は構わず政の話をします。鴨川の堤の修繕を帝に奏上していたものの目通しなく、お願いしたくても帝は内裏におらず。仕方なく許しなきまま修繕を命じる道長でしたが時すでに遅く、一昨日の雨で堤が崩れ多くの者が命を落とし家や田畑が失われたと訴えます。

早く修繕を始めなかった自分の煮え切らなさ、その罪は極めて重いと感じた道長は、帝の許しを得ないまま勝手に政を進めることはできず、これ以上は無理と考えて行成に辞表を提出してきたと告げます。帝は自分が悪かったと詫び、引き止めるのも聞かずそのまま下がっていく道長です。道長は、3度にわたり辞表を提出するが、一条天皇は受け取らなかった。

為時邸も雨で浸水し、泥水の撤去に追われています。鴨川の堤の修繕に行っていた乙丸と福丸が帰ってきました。まひろは働き者の福丸に感心しますが、いとの言うことだけは聞くという福丸に、違った夫婦の形を見出します。ちなみにきぬは越前の海女で、ウニを取ってくれるきぬと接しているうちに乙丸はうっかり、とw 長く息を止めて見せるきぬに、頼もしいのねとまひろは引きつり笑いします。

 

道長のところに宣孝が御礼言上に来ました。除目で山城守に任命してもらったお礼です。親戚である為時も越前守に任じられて1年、と話し出した宣孝は、その為時の娘も夫を持てることになったと報告します。「実は私なのでございます。為時の娘の夫にございます」 道長は一瞬固まりますが、それは何よりと動揺を隠します。宣孝のニンマリとした表情です。

為時邸を訪れた宣孝はご機嫌な様子です。山城守拝命の御礼と、まひろを妻にしたい旨を道長に伝えたら“つつがなく”と返答をもらったことをまひろに打ち明けます。そんなことを何故!? と驚愕するまひろに、宣孝は「いや挨拶はしておかねば、後から意地悪をされても困るからなァ」と悪びれる様子もありません。お帰りくださいませ、とムッとするまひろに、「は~い」と笑う宣孝です。

多くの引き出物が為時邸に届けられます。届けたのは百舌彦と従者たちです。偉くなったのね、と百舌彦の身なりに目を細めるまひろですが、長い月日が流れたので、と百舌彦は感慨深げです。もろもろお話ししたいことが、と言いつつ、百舌彦は道長からの文をまひろに手渡し、屋敷を後にします。

急いで文に目を通すまひろですが、文を開いてすぐ、これは道長の字ではないと気づきます。しばらく考えたまひろは、紙にしたため花の茎に結び付けて乙丸に託します。夜、現れた宣孝にまひろは正面から向き合います。「私は、不実な女でございますが、それでもよろしゅうございますか」 わしも不実だ、あいこである、と宣孝は返答し、まひろはフッと微笑みます。「まことに」

翌日は日食、不吉の兆しであった。

 

作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
──────────
[出演]
吉高 由里子 (まひろ)
柄本 佑 (藤原道長)
黒木 華 (源 倫子)
吉田 羊 (藤原詮子)
高畑 充希 (藤原定子)
高杉 真宙 (藤原惟規)
三浦 翔平 (藤原伊周)
町田 啓太 (藤原公任)
渡辺 大知 (藤原行成)
竜星 涼 (藤原隆家)
──────────
ユースケ・サンタマリア (安倍晴明)
塩野 瑛久 (一条天皇)
上地 雄輔 (藤原道綱)
ファーストサマーウイカ (ききょう/清少納言)
秋山 竜次 (藤原実資)
──────────
佐々木 蔵之介 (藤原宣孝)
岸谷 五朗 (藤原為時)
──────────
制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:大越 大士・川口 俊介
演出:中島 由貴

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『光る君へ』
第26回「いけにえの姫」

|

« プレイバック風と雲と虹と・(50)藤太と将門 | トップページ | プレイバック風と雲と虹と・(51)激闘(げきとう) »

NHK大河2024・光る君へ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« プレイバック風と雲と虹と・(50)藤太と将門 | トップページ | プレイバック風と雲と虹と・(51)激闘(げきとう) »