大河ドラマ光る君へ・(27)宿縁の命 ~道長との再会・まひろは懐妊~
長保元(999)年。足が遠のいた藤原宣孝が戻って来てくれることを祈念して、石山寺で手を合わせるまひろですが、そこに現れたのは宣孝ではなく藤原道長でした。天変地異をはじめ手に余ることが次々と起き、道長はそのたびにまひろに試されている気がしていましたが、試したことなどないと反発するまひろに、「すぐ怒るのは相変わらずだな」と笑います。
道長はまひろが父藤原為時とともに越前に行っていたことを思い出します。まひろは越前で宋の言葉や文化に触れたことを告げ、宋の言葉を披露します。そのまま越前に残っていたら、まひろなら宋に渡っていたかもしれないと道長は感じます。戻らなければならない時間になり、まひろと道長は別れますが、去って行った道長が戻ってきてふたりは固く抱きしめ合い、一夜を共にしてしまいます。
中宮懐妊を受けて、道長は安倍晴明の予言は正しく、であれば生まれてくるのは皇子かと考え込みます。赤染衛門に藤原彰子の教育係をお願いしている源 倫子は、学ではなく華やかな艶と振り返るような明るさが欲しいと、赤染衛門に注文を付けます。艶と明るさとは難しゅうございますね、と困惑する赤染衛門に、倫子は頼み込みます「我が家の命運がかかっているの。力を貸しておくれ」
それ以降赤染衛門は、帝に対するまなざしの向け方などを教え始めます。「帝をお見上げ申し上げるときは、まなざしを……下から……上へ」 まずは赤染衛門がやってみせ、彰子はぎこちなく赤染衛門相手にやらされます。しかし倫子が望んでいたのはそういうことではなく、声を出して明るく笑ってほしい仕草であり、赤染衛門は先走りしすぎた自分の指導に大汗をかきます。
まひろの屋敷に宣孝が来ました。梁に烏帽子をぶつけるほど久しぶりの来訪です。11月の賀茂の臨時祭で神楽の人長(かぐらのじんちょう)を務め、宇佐八幡宮への奉幣使として豊前にも赴くことになった宣孝ですが、左大臣道長の計らいだと宣孝は胸を張ります。心を入れ替えたまひろは殊勝なふるまいを心がけていますが、それはそれで恐ろしいと、宣孝は時々は憎まれ口をたたくまひろであれと笑います。
宣孝に大和土産でもらった墨で、宣孝のクセや様子を紙に記します。そうしたまま文机に突っ伏して夜を明かしたまひろは、朝から気分が悪く、月のものもこないといとに訴えます。いとが計算すると、宣孝の足が遠のいたころということになり、まひろは青ざめます。察したいとは、せっかく仲直りした宣孝のためにも助言します。「このことは殿さまには黙っておきましょ。その先はその時その時で……」
まひろのために求めた鮎などの食材に手を付けられないまひろです。心配する宣孝に、子が出来たことを正直に打ち明けます。控えるいとは気になって推移を見守っています。今年の暮れに産み月を迎えると知り、そのころは奉幣使としてまだ豊前にいるころだからと、元気な子を産むようにとほほ笑みかける宣孝に、まひろは微妙な笑みを浮かべます。
よく気が付くはずの宣孝が、産み月の計算が合わないと気付かないわけがない。気づいていてあえて黙っている夫に、生まれてくる子はあなたの子ではないというのは、いくら何でも無礼すぎる。とはいえこのまま黙っているのも罪深い。横でいびきをかいて寝ている宣孝を置いて外に出たまひろは、満月を見上げて決意を固め、戻って来ます。
まひろは宣孝に別れを切り出しますが、生まれてくる子は誰の子であれ自分の子だと、宣孝は一緒に育てようと提案します。愛(いつく)しんでその子を育てれば道長も自分を大事にしてくれるかもしれず、自分に福を呼ぶ子だと笑います。「一緒になるときお前は言った。私は不実な女であると。お互い様ゆえそれでよいとわしは答えた。それはこういうことでもあったのだ」
相変わらずボーッとしている彰子を横目に、彰子入内の道具が揃い始めます。入内を盛り上げたい道長は、公卿たちが名入りで歌を献じ、藤原行成が清書したものを屏風に貼れば、一条天皇も彰子に一目置くと提案します。藤原斉信や藤原公任が道長のために歌を詠んで提出する中、藤原実資は「公卿が屏風歌を詠むなぞあり得ぬ、先例もない」と突っぱねます。
左大臣は公と私を混同している! という指摘に、実資らしいと道長は苦笑します。そこに行成が、花山院の歌を持ってきました。道長におもねる歌ではありますが、院の思惑はどうあれ、道長はありがたくいただくことにします。こうしてあつまった歌を屏風に貼りつけ、完成させます。そこに偶然実資が来たわけですが、多くの公卿たちに加え、院からも歌が贈られたことに、実資は冷や汗をかいています。
道長の思惑どおり、この屏風は公卿の多くが支持していることの証となり、道長の政にも大きな意味を持つこととなった。11月1日、彰子が入内した。夜遅く、かがり火が焚かれている中で牛車が到着し、彰子が降り立ちます。扇で顔を隠したまま、ゆっくりと内裏の中を進んでいきます。
一方、定子のところでは出産に際して読経が始まり、藤原伊周や隆家による邪気払いの鳴弦の儀も行われます。その直後に赤子の鳴き声が響き渡り、伊周と隆家はホッと胸をなでおろします。出産直後でまだ息の荒い定子は、清少納言に胸を借りて休んでいます。彰子の入内から6日後、定子は皇子を産んだ。
産まれてきたのが皇子と知り、道長の長姉超子の子である居貞(おきさだ)親王は、彰子を入内させたばかりの叔父道長も痛手だろうと慮ります。入内しても中宮に皇子が生まれたら意味もないという親王に、ますます中宮に傾く帝の心を留め置くには、彰子は欠かせないと親王を見据えます。
一方、中宮に皇子が生まれたことで、道長も自分たちを無下にできないだろうと伊周はニヤリとします。皇子が東宮になれば再び自分たちの世になると睨んでいるのです。現実派の隆家は、皇子が東宮になるということは帝が退位するということであり、中宮の力は弱まると主張します。「焦るとよい目は出ないと思うがなァ」 伊周は、なんだと? と隆家を睨みつけます。
女院詮子は帝にお祝いを述べます。帝のように優れた男子に育つことを望む詮子ですが、帝自身は自分のように育ってほしくはないようです。詮子の言うまま生きてきた帝は、今は公卿たちに後ろ指をさされ、なお詮子の言いつけで彰子を女御とした……。「朕が女御を愛おしむことはありますまい。そういう母上から逃れたくて、朕は中宮に救いを求めのめり込んでいった。すべてはあなたのせいなのですよ!」
詮子は、父(円融天皇)の操り人形で、政の道具で、どれだけつらい思いで生きてきたかと訴えますが、その関係は、そのまま詮子と帝の関係につながるのです。「朕も母上の操り人形でした。父上から愛でられなかった母上の、慰みものでございました」 帝の突然の告白に、詮子はにわかには受け入れられず、涙を流します。それでも帝は、詮子の顔を立てると彰子と対面しに出ていきます。
くしくもその日、入内から間もない彰子は早くも女御となり、その披露目が盛大に行われた。よりによって女御宣下の日に皇子誕生とは、道長は自分の運が傾きかけているし、最近体調もよくないと晴明に吐露します。晴明は道長の運は傾いておらずなんの障りもないと、道長に女御彰子を中宮にするよう勧めます。
太皇太后(たいこうたいごう)昌子が薨去したことで、皇后遵子(のぶこ)を皇太后に上げれば皇后の座が空き、そこに中宮定子を入れて女御彰子を中宮にすれば、みんながひれ伏す──。道長はチッと舌打ちし、一人の帝に二人の后などあり得ないと吐き捨てます。「やってしまえばよいのです。国家安寧のためにあなたは彰子さまを差し出された。一帝二后(いっていにこう)は彰子さまのお力をより強めましょう」
そのころまひろが産気づき、乙丸や福丸は必死に読経して無事の出産を祈っています。そしてついにまひろは姫を出産、出産の手伝いをしたいとやきぬは顔を見合わせて、幸せそうに笑顔を見せます。
作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
──────────
[出演]
吉高 由里子 (まひろ)
柄本 佑 (藤原道長)
黒木 華 (源 倫子)
吉田 羊 (藤原詮子)
高畑 充希 (藤原定子)
三浦 翔平 (藤原伊周)
町田 啓太 (藤原公任)
渡辺 大知 (藤原行成)
竜星 涼 (藤原隆家)
木村 達成 (居貞親王)
──────────
ユースケ・サンタマリア (安倍晴明)
塩野 瑛久 (一条天皇)
見上 愛 (藤原彰子)
上地 雄輔 (藤原道綱)
ファーストサマーウイカ (ききょう/清少納言)
秋山 竜次 (藤原実資)
──────────
佐々木 蔵之介 (藤原宣孝)
──────────
制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:川口 俊介・高橋 優香子
演出:佐々木 義春
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『光る君へ』
第28回「一帝二后」
| 固定リンク
「NHK大河2024・光る君へ」カテゴリの記事
- 大河ドラマ光る君へ・(49-5)総集編終の巻(2024.12.29)
- 大河ドラマ光る君へ・(49-4)総集編四の巻(2024.12.29)
- 大河ドラマ光る君へ・(49-3)総集編三の巻(2024.12.29)
- 大河ドラマ光る君へ・(49-2)総集編二の巻(2024.12.29)
- 大河ドラマ光る君へ・(49-1)総集編一の巻 ~まひろ道長幼き出会い 千年の傑作源氏物語を紡いだ特別な愛と絆~(2024.12.29)
コメント