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2024年7月12日 (金)

プレイバック炎 立つ・第一部 北の埋み火 (03)衣川への岐路(みち)

【アヴァン・タイトル】

古来、陸奥・出羽の北部に住む民は、朝廷から「蝦夷(えみし)」と呼ばれていた。9世紀初めの坂上田村麻呂による征服後、彼らは朝廷に従属させられ、それ以降「俘囚(ふしゅう)」と呼ばれるようになった。朝廷はこの広域の支配を統括するため、いくつかの郡に分け、そこに郡司を派遣した。また胆沢城に鎮守府を置き、そこを郡司行政の拠点とした。こうして辺境地域の支配体制を整えていったのである。

しかし俘囚たちはこの体制を利用し、郡司に任命されたり軍の指揮官になるなどして、自らの社会的地位を向上させていった。安倍氏の台頭はその結果である──。


永承5(1050)年、京に滞在中の経清は因縁ある乙那と会います。経清は乙那が源 頼義と昵懇の間柄と聞いて驚きの声を上げます。会わせるという乙那に、やはり会うのはやめておこうと言い出す経清です。頼義は頼遠の主筋にあたる人物であり、経清はおじけづいたのかもしれません。しかし乙那は経清を説得します。「何をするにも敵を知るが肝要というもの。陸奥に野心あれば敵でござろう」

頼義は息子義家の笠懸け披露を見て、その出来に大満足です。そこに現れた乙那と経清ですが、頼義は経清に笠懸けを強制します。義家は、5本に1本当てればめっけもんと生意気な口を聞きますが、経清は5本に4本当てる快挙です。その褒美に立派な弓を経清に与えます。弓を与えることは主従の関係を結ぶことになりますが、時すでに遅く。経清に弓を与えては宝の持ち腐れと義家は反発します。

経清の父頼遠は以前、下総で頼義の父頼信に仕えていて、それを覚えていた頼義に経清は感激します。頼義は改めて経清と縁(えにし)を結び、経清の後ろ盾になりたいと言い出します。平 繁成の秋田城介就任も、陸奥守藤原登任が俘囚たちを懲らしめるために呼んだと分かっていて、繁成のような腰抜けに何が出来るのかと頼義は経清を見据えます。

 

その年の秋、奥六郡からの年貢の受け取りを登任は拒否。年貢倍増を命じていたにもかかわらず、安倍側は従来通りの量を納めようとしていたための登任の処置です。登任は安倍が全く年貢を納めようとしないと朝廷に訴えます。

安倍宗任は安倍に非がないことを示すため、年貢に相当する金を出羽の清原光頼に送っておき、登任が朝廷に偽りのことを訴えた際に、光頼から出羽守に金を送ってもらうと提案します。納得した頼良は宗任にその準備にかからせますが、貞任は納得いかない様子です。もともとは登任から仕掛けてきたことで、正面から戦わず清原を頼るその手法に、貞任はイライラしているのです。

流麗と貝合わせをする結有ですが、その腕に母紗羅がつけていた紐を見つけ、嫌がる流麗から取り上げます。そのまま飛び出した結有は、戦になるなら経清を安倍方にと貞任に提案しますが、もし経清が結有を愛しているというのなら、結有が経清を説得して安倍方になびかせてみろと難題をふっかけられます。

頼遠が最後の時を迎えようとしていました。頼遠が心配しているのは、自分が下総で諍(いさか)いを起こしたばかりに陸奥に追いやられてしまった経験から、朝廷に歯向かえばいずれは滅ぼされると経清に諭します。「安倍の者どもに与(くみ)するではないぞ……登任ごときに忠誠を尽くすは不服なれど、主従の道すじだけは誤ってはならぬ……みどもの轍(てつ)は踏むではないぞ」

 

12月20日過ぎ、多賀城に向かう経清は大勢の軍勢とすれ違います。秋田城介の平 繁成が率いる軍勢として衣川のすぐ近くまで出陣するようです。登任は頼良に贈られた金の盃を披露し、安倍に預ける奥六郡で採掘された金はすべて朝廷に収めてしかるべきと、安倍の不忠を糾弾します。さらには奥六郡から南進しないという約定を頼良は破っていると言い出すのです。

その境界辺りにある山小屋に立ち寄っているのではと永衡は弁護しますが、山小屋が実は砦かもしれないと登任は主張します。そこで繁成は、山小屋の実態を確かめるために、境界に近い鬼切部(おにきりべ)付近の山越えを決行することにします。「事実とすれば直ちに頼良に奥六郡の返還を求める所存。安倍の横暴を許すわけにはいかぬ!」

繁成は、自分に任せておけば大丈夫と自信たっぷりに伝え、5万の安倍軍に多賀軍はわずか4,000という経清は、何とか戦になしい道を探ります。しかし繁成は経清を“数を恐れる者は武士とは言わぬ”と笑います。頼良もいきなり5万をつぎこむわけはなく、多くて1万程度であり、こちらも清原勢を加えれば6,000程度にはなると説明します。それに坂東勢が加わるのです。

それでも経清は、安倍と清原の仲良さに清原は当てにはできないと食い下がります。ならば清原も敵だと言い放つ繁成は、頼義に弓を授かり主従の契りを交わした経清を猛批判します。そして永衡も鬼切部を越えるという繁成の策に疑問を呈しますが、登任は永衡の妻を人質に差し出せと言い出す始末。経清も永衡も黙り込んでしまいます。

永衡は安倍方に寝返ることにします。その軍勢を途中まで見送りに来た経清ですが、繁成に疎まれた経清は戦にも出してもらえないかもしれないと笑います。仲の良い2人が敵味方……永衡は経清を安倍方に誘いますが、その言葉を遮るように戦は戦と言い放ちます。「もしわしが安倍の大将なら、山越えして鬼切部を襲う。ご武運をお祈り申す」

 

安倍館では軍議が開かれていました。経清の言った“栗駒山を越えて鬼切部へ”というのは容易ではありません。永衡の策を聞いていると負ける戦、繁成を生かす戦をしろと言っているように聞こえて、大藤内業近らは反発しますが、和議のことを考えて戦をしなければならないというのは頼良も同意見です。貞任は3日で鬼切部を蹴散らすと威勢のいいことを言いますが、特に策があるわけではありません。

経清が亘理の館に戻ると、頼遠のお悔みに結有が訪問していると多磨から聞きます。経清は多磨に結有を帰すように言ってもらい、自らは身を隠します。抵抗するかとも思われましたが、結有はすんなり従って館を後にします。蔵からその姿を目で追う経清は、どこか申し訳ない表情をしています。

頼良は貞任を副将にすることを考えています。実は貞任は栗駒山までの道を開きつつ進み、鬼切部へ向かいたいと考えていて、乙那には周辺の地図を求めていたのです。しかし内を明かすわけにはいかないと、乙那は代わりに道案内を務めると約束していました。頼良は話がそこまで進んでいながら、自分には何の相談もないことにいらだちを隠しきれません。

吉次は、戦をする以上は勝たなければならないし、奥六郡を朝廷の支配の及ばないところにしなければならないと考えています。頼良は負けずとも勝ちは望めないと難色を示しますが、吉次は奥六郡で都と並び立つような存在にしたいと言っているわけです。それができれば……と頼良は、熊の肝を煮立てたものをググッと飲み、苦い顔をします。

年が明けた永承6(1051)年、繁成率いる500が鬼切部を目指して多賀城を出発します。櫓からそれを見送る登任と経清です。経清は複雑そうな顔色です。


原作:高橋 克彦
脚本:中島 丈博
音楽:菅野 由弘
語り:寺田 農
題字:山田 惠諦
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[出演]
渡辺 謙 (藤原経清)
古手川 祐子 (結有)
村田 雄浩 (安倍貞任)
新沼 謙治 (平 永衡)
川野 太郎 (安倍宗任)
鈴木 京香 (菜香)
財前 直見 (流麗)
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名古屋 章 (藤原登任)
寺田 稔 (乙那)
田口 計 (平 繁成)
伊藤 孝雄 (藤原頼遠)
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佐藤 慶 (源 頼義)
多岐川 裕美 (紗羅)
西村 晃 (吉次)
里見 浩太朗 (安倍頼良)
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制作:音成 正人
制作・著作:NHK
共同制作:NHKエンタープライズ
制作統括:高沢 裕之
制作協力:NHKアート
    :NHKテクニカルサービス
演出:門脇 正美

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『炎 立つ』
第4回「雪の鬼切部」

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