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2024年9月16日 (月)

プレイバック炎 立つ・第二部 冥き稲妻 (17)清原分断の罠

【アヴァン・タイトル】

陸奥守・源 義家を味方に引き込む真衡の策略は的中した。館を視察に来た国府軍を狙い、家衡軍を装った傭兵に攻撃させたのである。手薄の館を襲われた国府軍は止むなく防戦。義家による真衡援護は既成事実となった。しかも清衡・家衡軍に偽の情報を流しておびき出し、反乱軍の汚名まで着せることに成功した。

清原の内輪もめを利用するつもりだった義家にとって、真衡の思うままに操られたことは、耐えがたい屈辱であった。一たび離れた陸奥に返り咲き、今度こそ源氏の東日本での覇権を確立したい義家は、奥州の運命を変える決断を下すことになる──。


真衡に騙されて胆沢の真衡館に駆けつけた清衡と家衡ですが、会えば2人は口げんかになります。間に立った結有は両者をなだめますが、家衡は何かにつけて自分の援護を清衡に頼む結有に反発します。ただ清衡軍が家衡軍を止めなければそのまま真衡館に突っ込んでいたわけで、結果的には家衡を援護したことになります。家衡は自分が短慮者だとフンと鼻を鳴らします。

真衡軍に国府軍が加わったと知り、各地から続々と援軍が駆けつけ始めます。義家を戦に巻き込ませたことで国府軍も援軍に来るわけで、しかも国府軍が味方になれば戦の大義名分が立つとあって、真衡は内から笑いがこみ上げてきます。

義家は真衡軍に援軍を送ることをしぶしぶ承諾します。今さら配下の兵藤正経や伴 助兼を責めたところでどうにもならず、国府が真衡側に回ったれっきとした証となってしまった以上、このまま罠にはまっているしかないのです。吉彦秀武が滅びれば真衡のしたい放題となり、それでもよいのかと乙那は義家に迫りますが、たまたま鎮守府将軍に任じられた真衡の風下に置かれるのは耐え難い恥辱なのです。

 

清衡は気鬱そうな清原成衡を誘って遠乗りに出かけます。成衡が一緒であることも、行き先も告げずの外出だったため、石丸や小矢太らはしかめっ面をしています。何でも出羽からの使者が到着したとかですが、その使者が言うには「真衡どのが亡くなられた」と──。病気だったとの話も聞いていないし、清衡はにわかに信じられず、うろたえます。

結有は真衡に天罰が下ったと大喜びです。清衡は結有が家衡に後を継がせる気でいると察し、もしその場合成衡と岐巳はどうなるのかと心配します。義家による処分も気になりますが、結有は天の采配に任せるのが一番と取り合いません。そして清衡は真衡の死について、病死であればそれを診断した薬師がいるはずで、真衡の葬儀のことも全く伝わらないため、石丸を派遣して調べさせます。

正経が義家の名代として江刺に来て、清衡に降伏を勧めます。義家としては和議という形に持っていきたいわけで、清衡にはもちろん異論などないわけですが、真衡軍を援護した国府軍の義家が清衡と家衡の処分を決めるのは当然としても、家衡がどう出るかが気になるところです。清衡は小矢太を伴って衣川の家衡館に向かいます。

対面した家衡は、身内争いに首を突っ込んだ義家から、なぜ降伏だ和議だと言われなければならないと反発します。しかし清衡が心配しているのは、発端が身内争いでも国府軍が絡んだ以上は官軍と賊軍であり、和議として決着をつけなければならないということです。「罰を恐れて降伏せぬとなれば採る道はひとつ。国府を相手に戦を仕掛けるしかあるまい。それだけの覚悟がそなたにあるのか?」

いざ戦になれば家衡を棟梁に立てることは当然ですが、戦となれば清衡は味方になるのか? とどこか家衡は清衡に甘えている部分があります。秀武や千任は戦になったらと仮定の話で進めますが、国府を相手にした戦は必ず長引くと、清衡は前九年の合戦の話を持ち出します。この合戦では12年もの歳月を費やし、挙句負けているのです。秀武は、兄弟で話をするようにいって千任と出て行ってしまいます。

清衡は家衡に和議の受け入れを説得します。義家はあくまで形として和議を求めているにすぎず、首謀者と見られている家衡だけが重く罰すれば清原が黙ってはいないと、そんなことはないと諭します。「わしと一緒に胆沢へ赴き、義家どのに頭を下げてくれ。のう家衡」 家衡はうつむき、深くため息をつきます。

 

胆沢に赴いた清衡と家衡に、義家は勧告を受け入れてくれたことを感謝し、内裏にも重くない処分を口添えすると約束します。ただ白鳥村の田畑を焼いた罪は別であり、その処分が家衡に下されはずですが、今年に限って年貢倍増という程度のもので家衡は安心します。いずれにしても義家は明日にも多賀城に戻り、清衡は江刺の、家衡は衣川の館で沙汰を待つように言われます。

義家による寛大な処分に結有もひと安心です。しかし清衡には腑に落ちないことがあり、義家は人質として預かる成衡・岐巳夫妻の身をもうしばらく江刺で預かってほしいと言い出したのです。そこに真衡の死について調べるよう派遣した石丸が戻って来ました。

真衡は国府軍が加勢に来た直後に陣中で没したそうですが、死を看取った近習は誰一人としておらず。ただ奈良法師が遺体を移動して簡単に供養し、墓地に葬ったとだけ……。ただ一人、侍女の村雨だけは真衡の遺体を見たそうですが、真衡の顔面の眉間には生前にはなかった刀傷が入っていました。衝撃を受けている村雨をギロリと睨みつける奈良法師です。

義家から清衡に、内々に伝達があるそうで、乙那が伝えに来ました。「真衡どのの死因のことじゃが……あれは暗殺じゃ」

──山北に援軍を送られて真衡は喜びます。使者の正経や助兼は留守館の襲撃について、真衡に金で雇われた者を捕まえていたため、真衡に確認を取ってもらいます。知らぬ顔だという真衡ですが、捕まえた者たちが縄目をほどき、真衡に槍を投げつけ刀で斬りつけます。倒れた真衡を見下ろし、正経は病死ということにしようとしますが、ムクリと立ち上がった真衡は正経に刀を振り上げ、絶命──

義家から直々の相談を受け、乙那が配下の刺客を2人用意したのですが、“捕まえた者”というのがまさにその2人だったのです。義家はよほど真衡のことが腹に据えかね、思い切ったことをしたと清衡は考えますが、義家は清衡のためにしたことだと乙那に打ち明けていました。「清衡を助けたい一心でと。奥六郡を治めてもらいたさにまず邪魔者の真衡を抹殺したと」 清衡は困惑します。

 

それから間もなく、義家から清衡と家衡に召喚があり、2人は多賀城に向かいます。内裏の沙汰としては罪を問わないことに決し、国庫の蔵を焼いた家衡に1年間の年貢倍増が言い渡されます。その上で奥六郡の所領は、胆沢・江刺・和賀を清衡に、稗貫(ひえぬき)・紫波(しわ)・岩手は家衡に治めさせることとします。家衡は不満をあらわにし、義家に平伏しながら横目で清衡を睨みつけます。

奥六郡の中でも清衡に与えられた三郡は残りの三郡に比べて実り多い土地で、年貢一切を賄う胆沢を治める清衡が、実質的な支配者ということになります。その帰途、家衡が清衡の元に駆けつけます。「ようも罠にはめてくれたな。これが奥六郡が正しく成り立つ道か? まんまと口車に乗せやがって。これが弟に対する仕打ちか? 卑怯者……覚えていろ!」


原作:高橋 克彦
脚本:中島 丈博
音楽:菅野 由弘
語り:寺田 農
題字:山田 惠諦
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[出演]
村上 弘明 (清原(藤原)清衡)
古手川 祐子 (結有)
萩原 流行 (清原真衡)
豊川 悦司 (清原家衡)
鈴木 京香 (菜香)
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坂本 冬美 (貴梨)
寺田 稔 (乙那)
大出 俊 (奈良法師)
織本 順吉 (千任)
洞口 依子 (柾)
高橋 かおり (岐巳)
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河原崎 建三 (兵藤正経)
李 麗仙 (村雨)
蟹江 敬三 (吉彦秀武)
佐藤 浩市 (源 義家)
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制作:音成 正人
制作・著作:NHK
共同制作:NHKエンタープライズ
制作統括:村山 昭紀
制作協力:NHKアート
    :NHKテクニカルサービス
演出:吉川 邦夫

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『炎 立つ』
第18回「兄と弟」

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