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2024年9月29日 (日)

大河ドラマ光る君へ・(37)波紋 ~彰子の願いにまひろは豪華本作り~

寛弘5(1008)年。中宮彰子が土御門殿で出産した敦成(あつひら)親王を抱いて、源 倫子はとても嬉しそうです。彰子は内裏に戻る前に、藤式部の物語を美しい冊子にして一条天皇へ献上したいと考えています。一瞬表情が固まる倫子に、後ろに控える赤染衛門は、五十日(いか)の儀で式部をたしなめたことを思い出します。「左大臣さまとあなたは、どういうお仲なの?」

そういうことも分からないでもないけれど、お方さまだけは傷つけないでくださいね──。道長と式部、ふたりの詠んだ歌からふたりの関係を悟った倫子、何も気づいていない彰子。衛門はとても心配そうに倫子を見つめています。藤原道長はさっそく紙を用意させ、女房たちはその美しさにほれぼれしています。彰子は光る君が見つけた若草の巻には、若草色の紙か藤壺の藤色の紙かと楽しそうに迷っています。

豪華本づくりに精を出す女房たちに、道長から褒美が下されます。彰子は、紙は式部に分け与えますが、執筆活動を続けていれば硯も筆も入り用だろうと、道長は思いやります。倫子は、どこか式部を冷めた目で見ながら、帝が気に入るように頼みます、と女房たちに言葉をかけます。

各巻の清書は、何人かの能書家に依頼された。式部が中身を確認し、彰子や女房たちがひもで冊子を編みます。彰子はそれは丁寧に編み、しかしとても楽しそうです。その冊子を型にはめて裁断し、きらびやかな表紙と題名の札をつけて完成です。帝に献上する『源氏の物語』の冊子は、こうして完成した。

式部は彰子に、実家への里下がりを願い出ます。冊子も出来上がり、彰子も内裏に戻るというタイミングに「なぜ?」と彰子は不安そうな表情になりますが、ひさびさに老いた父と娘に会って来たいというのです。娘・賢子(かたこ)は10歳、彰子は、式部に片時も離れられては困ると独りよがりな考えを一瞬だけ持ったことを式部に詫び、絹と米と菓子を土産に持たせます。

 

実家に戻ったまひろ(式部)が持ち込んだ土産に、福丸やきぬ、いとは大喜びです。そこに外出していた賢子が水仙を手に戻って来ました。まひろは長期にわたる不在を賢子に詫びますが、どこかよそよそしい雰囲気にまひろは戸惑います。藤原為時は、賢子は照れているのだと代弁しますが、従者乙丸は涙を浮かべます。まひろは「乙丸って泣いた顔と笑った顔が同じなの」と言って為時を笑わせます。

久しぶりの我が家で、まひろは家中を見回しますが、なんだかこの家がみすぼらしく思えます。まひろが持ち帰った土産で思い切り贅沢の膳が用意され、まひろも酒を口にします。藤壺の女房たちの話をして場を盛り上げますが、賢子はまひろの横で、クスリと笑いもせず、ただ黙々と食べています。

五十日の儀の話に移り、生真面目な藤原実資の話を先頭に、男は酒に、女は菓子にと笑うまひろですが、場は逆に白けてしまいます。為時は「我々のような貧しき者には縁のない話だな」とそっぽを向いてしまいます。飲みすぎだよ、と藤原惟規はまひろをたしなめますが、見てられないと思ったのか、為時も話をやめさせます。賢子はムッとした表情で、その場にただ座っているだけです。

式部の姿が見えず、道長は衛門から式部が里下がりをしたことを知らされます。驚く道長ですが、彰子も承知していることだと知れば、悟られないように「そうか」と来た道を戻っていきます。そのころまひろは紙に向かい「罪」「罰」と書いて、考え込んでいます。そんな母親の後ろ姿を見ていた賢子は、黙って戻っていきます。

やはり式部がいないと心細い彰子は、式部に戻ってくるよう宮の宣旨に文を書かせます。その文を受け取り、為時はまひろが彰子や道長に大切にされていると悟ります。外出先から戻ってきた賢子にも、再び土御門殿に出仕すると告げますが、賢子はまひろの方を向き直します。「一体、何しに帰ってこられたのですか。内裏や土御門殿での暮らしを自慢するため?」

賢子の顔を見に帰ってきたと答えても、ここの家より内裏や土御門殿にいるほうが楽しいのだろうと言われてしまいます。「なにゆえ昨日のようなお話をするのですか? 母上が嫡妻ではなかったから、私はこんな貧しい家で暮らさなければならないのでしょう? 母上なんか大嫌い!」

 

彰子は敦成親王を連れて、内裏の藤壺に戻った。ほどなくして帝のお渡りがあり、彰子は作り上げた『源氏の物語』豪華本33帖を帝に進呈します。式部から、この豪華装丁本は彰子の発案と教えられ、うれしく思うと帝は喜びます。帝は、藤壺でこれを読み上げる会を開くよう式部に勧めます。

宰相の君が物語を読み上げ、帝と彰子をはじめ、藤原公任や藤原斉信ら公卿たちも聞き入っています。女ならではの物の見方に、漢籍の素養も加わっているせいか、これまでにない物語となっていると帝は高評価です。一条天皇が一目置いたことで、まひろの『源氏の物語』は評判を呼び、彰子の藤壺を華やかなものにしていった。

一方、清少納言は定子の娘・脩子(ながこ)内親王に仕えていた。脩子が菓子を食べながら本を読む横で、少納言も式部の書いた物語を読んでいます。ふと顔を上げた少納言の眼光は、次第に鋭くなっていきます。

高階貴子の妹である高階光子は、このままいけば道長によって敦康親王が追いやられてしまうと藤原伊周に訴えます。伊周は敦康親王は皇后定子が残したただ一人の皇子であることから、帝の気持ちが揺らぐことはないと答えますが、源 方理(かたまさ)は、最近では帝も道長には逆らえないと異を唱えます。「ことを急いては過ちを犯す。分かりましたゆえもうお黙りを」と伊周はなだめます。

そういいながら、夜な夜な道長への呪詛を続ける伊周です。

 

夜になり、女房たちが寝静まる中でも、式部は紙に向かい物語を書き続けます。その時 女の悲鳴を聞いた式部は、声のする方へ駆けていきます。座り込みガタガタ震える女房の元に駆けよった式部は、男たちに刀で脅されたと聞き、様子を見に来た彰子に外に出ないように進言します。「しばし待て」と彰子は中へ戻っていきます。

屋敷の外では仮面をかぶった男たちが「鬼やらへ! 退散なさしめたまへ!」と叫んで、単衣(ひとえ)を道端に捨てて姿をくらませます。そこにゆっくり現れた双寿丸は、面をめくって男たちの去ってゆく姿を見つめています。

内裏の藤壺に盗人が押し入ったという情報は、すぐに百舌彦から道長に知らされます。朝を迎え藤壺に向かった道長は、式部ひとりが駆けつけたと彰子に聞き、他の女房たちは何をしていたのかと立腹しますが、式部は自分への評価よりも、衣をはぎ取られた女房たちのために袿(うちき)を持ってきた彰子の行為を素晴らしいと伝えます。「上に立つお方の威厳と慈悲に満ちあふれておいでで胸打たれました」

大きくため息をついた道長は、式部の行動を評価し、彰子と敦成親王を頼むと式部を見つめます。ただ式部は、道長の“敦成親王さまは次の東宮となられるお方”という言葉に違和感を覚えます。そうとは知らず道長は、敬語が手薄と分かった上で忍び込んだ賊はただ者ではないと、後宮の警護をより厳重にするために動きます。衝撃的なことを聞いてしまったと、式部の目が泳ぎます。

 

寛弘6(1009)年。年が明けると、一条天皇は伊周に正二位の位を授けた。伊周は道長と同じ位になったのである。道長や藤原顕光の並ぶ前で伊周は、自分が第一皇子の敦康親王の後見役、道長が第二皇子の敦成親王の後見役であることをわざわざ示します。「どうかくれぐれも、よしなにお願い申し上げます」

正二位ともなれば、与えるにも帝ひとりでは決められないほど高い位ですが、よく道長が許したなと藤原道綱には疑問です。実資は、伊周の不満がこれ以上募らないように位を高くしてやり、それは上に立つ者のゆとりだと説明します。納得したようなしていないような表情の道綱ですが、ともかく帝の敦康親王を次の東宮にという意思は強いと見えて、定子の子だからとそれには道綱も納得です。

伊周がここまで盛り返すとは思っていなかった公任ですが、藤原隆家は「とうの昔に兄は見限りました」と関わりないとの一点張りです。公任は藤原斉信や藤原行成とともに道長を支えていくつもりですが、その心があるのかと隆家に迫ります。もちろんと答えた隆家を公任は見据えます。「伊周どのに何か動きがあれば知らせよ」

この日、為時は正五位下に昇った。そのことを藤壺の式部の局に知らせに来た惟規は、どうなっているのだ? ととても驚いている様子です。父が官職をいただけるということ? といろいろ考えますが、式部に早く戻るよう促されます。局に戻った式部は、道長にもらった扇を開いて見つめています。

そこに現れたのは少納言です。お久しゅうございます と式部の前に進み出た少納言は、「光る君の物語、読みました」と式部を見つめます。そのまなざしを受けて固まる式部です。

 

作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
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[出演]
吉高 由里子 (まひろ/藤式部)
柄本 佑 (藤原道長)
黒木 華 (源 倫子)
三浦 翔平 (藤原伊周)
町田 啓太 (藤原公任)
渡辺 大知 (藤原行成)
高杉 真宙 (藤原惟規)
竜星 涼 (藤原隆家)
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塩野 瑛久 (一条天皇)
見上 愛 (藤原彰子)
上地 雄輔 (藤原道綱)
ファーストサマーウイカ (ききょう/清少納言)
秋山 竜次 (藤原実資)
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岸谷 五朗 (藤原為時)
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制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:川口 俊介・高橋 優香子
演出:中島 由貴

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『光る君へ』
第38回「まぶしき闇」

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