大河ドラマ光る君へ・(40)君を置きて ~道長が娘と衝突 まひろ目撃~
光る君の物語は相変わらず人気で、一条天皇と中宮彰子も藤壺で物語を楽しみます。敦康親王は藤壺が光る君のことをどう思っていたのか藤式部に尋ねますが、微笑むばかりで藤式部は答えません。藤式部は教えてくれないのですよ、と彰子は笑います。道長は、たとえ藤壺の思いを得たとしても、光る君は幸せにはなれなかったと思うとつぶやきます。「不実の罪は、必ず己に返って参りますゆえ」
「誰も千年の末にもなれぬ世では、やがて命は尽きるものなのだから、こうしてあの人に少しは忍んでもらえそうなうちに死んで、かりそめの情けをかけてくれた人があったということを、一途の思いに燃え尽きた証としよう」 ここまで書き上げた藤式部ですが、燈台のあかりが風で消えてしまい、物語をつづるのを止めます。罪を犯した者は……と藤式部はつぶやきます。
寛弘8(1011)年。帝が寒い冬の日も温かいものを羽織らないのはなぜなのか、彰子の長年の謎でした。帝は苦しい思いをしている民の心に少しでも近づくためと説明します。太宗皇帝と同じ名君だとつぶやく彰子が、新学府を読んでいることに驚いた帝はその思いを嬉しく感じ、床を共にしようとしますが、胸を押さえて倒れ込みます。
帝は日中も咳き込むようになり苦しそうです。彰子はずっとそばに付き添いますが、もし帝が亡くなったらと不安や怖さを感じずにはいられません。大事ないという帝の言葉を信じ、薬師にも相談しなかった私の落ち度だと彰子は自分を責めますが、それを打ち明けられた藤式部は、時が来れば回復するでしょうと彰子を励まします。
道長は占わせますが、無情にも崩御の卦(け)が出ているとの診断です。道長は冷静に、在位25年にも及ぶため譲位があってもいいとは考えていましたが、崩御と聞いて絶句します。占い師によればこれは醍醐天皇と村上天皇の崩御時と同じ卦らしく、異変の年ということもあって、病気平癒は成らないと伝えます。帝はこの会話を聞いてしまい、衝撃を受けます。
陣定めで道長は、天皇譲位の準備を始めるべきと主張します。多少病気に弱ったからといって譲位の準備をするとはと藤原実資は反発します。特に帝から譲位の望みがあったわけでもなく、在位が長いからという理由だけです。ほかの公卿たちは道長の意見に沿うと返答しますが、藤原行成はうつむきます。
藤原隆家のところに敦康親王が訪れます。敦康は帝の容態を心配しつつ、これから自分はどうなるのであろうかと不安を吐露します。清少納言は皇后の第一皇子が東宮になるのは古くからの倣いだし、帝が敦康以外を東宮にするはずがないと励ましますが、横で聞いていた隆家は「先走るでない」と少納言をたしなめます。
道長は幼馴染の公卿たちを屋敷に招き、次の東宮に敦成(あつひら)親王を推す相談をします。帝が政務に戻れないことは占いでも出ていることですが、行成はあくまで次の東宮は敦康親王だと考えています。藤原斉信は敦成を推すと賛成し、藤原公任は敦康の後見役の隆家を説得することにしますが、意見を異にする行成には、無理せず同調しなくてもいいと気遣います。
帝の呼び出しを受けた道長が現れると、帝は譲位すると決めたことを伝えます。さっそく道長は居貞(これさだ)親王のところに出向き、帝が東宮と話をしたがっていると伝えます。ついにこの時が来たかと居貞の顔は笑顔に満ちあふれ、道長の娘・藤原妍子(きよこ)の顔でも見てまいれとご機嫌です。
その妍子は、さまざまな品をすべて買い取らせるなど金を使いたい放題で、東宮の財にも土御門殿の財にも限りがあると道長は妍子をたしなめます。しかし妍子は道長に言われて“年寄りの”后となったのだからとわがままを改めるつもりはありません。どうせなら居貞親王の皇子である凛々しい敦明(あつあきら)親王がよかったと口走り、道長は唖然とします。
帝は行成を呼び、譲位も決まり己のために望むことはありませんが、敦康を東宮にしたいという思いだけは行成に伝えます。行成は帝の思いを汲み取りつつ、道長がそれを受けないだろうと厳しい返答です。清和天皇が文徳天皇の第四皇子だったにも関わらず東宮となれたのは、藤原良房が外戚にして重臣だった前例もあり、道長が外戚となる敦成が東宮になる道しかないと言うのです。
行成の報告を受けた道長は、さっそく彰子に帝の仰せだとこのことを伝えますが、病で弱る帝を父が追い詰めたと激怒します。敦成の母でもあると同時に、敦康の母(代わり)でもあるわけです。今まで敦康を東宮に望んていた帝が、彰子に断りなく思いを変えるわけがないのです。「父上は、どこまで私を軽んじておいでなのですか!」
帝に考えを変えていただくと席を立つ彰子ですが、道長は黙って行く手を遮ります。政を行うのは道長であり、中宮ではない──。道長は彰子を見据え、黙って藤壺を出ていきます。彰子ははたと座り込み、涙を流します。「中宮など何もできぬ……愛しき帝に敦康さまもお守りできぬとは……何ゆえ女は政には関われぬのだ?」 藤式部は彰子に黙って寄り添います。
東宮・居貞親王は一条天皇との対面のため、内裏の清涼殿を訪れた。帝は譲位することを居貞に伝え、践祚(せんそ)を命じます。そこで帝は、居貞の次の東宮について敦成を指名します。居貞は顔色を変えずにこれを受け、帝の病気のことも考えて下がっていきます。「どうかくれぐれも玉体をおいといくださいませ」
屋敷に戻った居貞は、東宮の最有力候補であった敦康を退け、敦成を東宮にした道長に「抜け目ないな」と笑います。后の藤原娍子(すけこ)は、道長と仲良くした方がと助言します。それは居貞も考えていたようで、自分の政を執るにあたって、道長をないがしろにはできませんが、東宮が道長の孫の敦成であれば、道長は早々に譲位を迫る可能性もあります。言いなりにはならないと決意する居貞です。
それから11日後、一条天皇は譲位。25年に及ぶ一条朝は幕を閉じた。そして三条天皇の御代となり、敦成親王が東宮となった。敦康はとても無念そうですが、姉の脩子(ながこ)内親王は運命と受け入れます。しかし最も無念さを噛みしめているのは脩子に仕える少納言かもしれません。まだ天皇になれないと決まったわけではないと敦康を見据えます。
病が重くなった一条上皇は出家します。その読経に囲まれて、辞世の句を詠みます。
露の身の
風の宿りに 君をおきて
塵を出でぬる ことをこそ思へ
「お上……お上……お上!」と呼び続ける彰子の声は、涙で震えています。辞世の歌を詠じた翌日、一条天皇は崩御した。
都大路に一座が芸を披露しています。うりを勧められた藤原賢子は頷き乙丸が買い求めますが、男にうりを盗られてしまいます。賢子はどこまでも男を追いかけ、ついに追い詰めますが、賢子をにやついた男たちが取り囲みます。「離して……離せったら!」と賢子は暴れますが、男たちの前では非力です。そこに名も知らない若者が飛び込んで、男たちをぶん投げてうりを賢子に返します。
若者の名は双寿丸といい、賢子の家まで乙丸を背負って送ってくれます。賢子は助けてくれた礼に飯をご馳走します。双寿丸は平 為賢(ためかた)の武者で、下っ端らしく食いっぱぐれることも度々あるようです。そこにまひろが里下がりで帰宅しました。「……誰?」「あなたこそ……誰なの?」 まひろの目が点になります。
作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
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[出演]
吉高 由里子 (まひろ/藤式部)
柄本 佑 (藤原道長)
町田 啓太 (藤原公任)
渡辺 大知 (藤原行成)
竜星 涼 (藤原隆家)
木村 達成 (三条天皇)
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塩野 瑛久 (一条天皇)
見上 愛 (藤原彰子)
上地 雄輔 (藤原道綱)
ファーストサマーウイカ (ききょう/清少納言)
秋山 竜次 (藤原実資)
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制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:大越 大士・川口 俊介
演出:松本 仁志
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『光る君へ』
第41回「揺らぎ」
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