大河ドラマ光る君へ・(39)とだえぬ絆 ~まひろ娘の秘密に父が迫り~
寛弘6(1009)年、中宮彰子は無事に皇子を出産します。「次も皇子さまを」と源 倫子はとんでもないことを言って、藤原穆子を驚かせます。土御門殿では多くの公卿が参る中、皇子の産養いが行われていた。藤原道長は、皇子の成長を願って「よい目を出したいと存じます」とサイコロを振り、5の目が出ると公卿たちの間に歓喜のどよめきが起こります。
まひろは里下がりで、道長からの賜り物を持って帰ってきました。まひろが頼んでおいた賢子には美しい衣をいただいたようで、藤原為時も惟規もとても驚きます。やっぱり自分の子はかわいいんだな、と惟規がつい口走ってしまい、その事実を知らなかった為時は衝撃を受けます。「賢子は左大臣さまの……子なのか?」
惟規もまひろも、すでに為時は知っているものと思っていたわけです。亡き藤原宣孝も、すべてを知った上で一緒に育てようと言ってくれたとまひろは為時に打ち明けます。いっそこのいい機会に道長にも伝えたら? と為時がまひろに提案したところで、賢子が戻って来ました。目の前の道長からの贈り物に、いりませぬそんなもの! と目を背けて自分の部屋へ行ってしまいます。
寛弘7(1010)年、正月はじめの子の日の宴に為時を招待した道長は、為時が何か言いたげでずっと見つめていたらしく、何を言いたかったのか藤壺の藤式部の局に来て尋ねます。父にはきつく叱っておきますので、と言葉を濁す式部は、そそくさと局を出ていきます。式部の頭の中には、おそらく為時は賢子のことを伝えたかったのだろうと、苦々しい表情です。
幼馴染の公卿たちに囲まれて道長も酒を楽しみます。すでに2人の皇子がいる道長ですが、東宮となるのはずっと遠い順番です。「せめて俺の目の黒いうちに、敦成さまが帝とお成りあそばすのを見たいものだ」とつぶやき、お力添えいたします、と源 俊賢は自分をしっかりと売り込んで藤原斉信につっこまれます。
道長らを呪詛し続けた藤原伊周は、やはりその祟りをかぶったのか、今は病床で死を待つのみです。伊周は藤原道雅を枕元に呼び、ささやきます。「左大臣には従うな、低い官位に甘んじるぐらいなら出家せよ」 雪が舞うのを見て、権勢を誇っていたころのことを思い出しながら、伊周は涙を流します。翌日、伊周は36年の生涯を閉じた。
訃報を聞き一条天皇は、伊周は自分を恨んでいるだろうなとつぶやきます。そのようなことはないと藤原行成は慰めますが、帝は敦康親王を東宮に据えてからこの世を去りたいなどと口走ります。直後、胸を押さえて苦しみだす帝は、敦康親王の元服を急がなければならないと行成に伝えます。「これで中宮の出産に紛れることなく、敦康の元服を世に示せる……よかった」
藤原隆家は各所にあいさつ回りをします。道長には敦康親王の後見を引き継ぐと告げ、身構える道長を見て、自分は伊周とは違うと弁明します。脩子(ながこ)内親王のところにも赴きますが、清少納言は伊周までも亡くなったことにくやしくてならないと涙を流します。「あれほどお美し尊かった方々が……何ゆえこのような仕打ちを……!!」
式部による彰子の漢籍の学びの途中、妍子(きよこ)がやって来ます。この姫は道長と倫子の次女・妍子である。東宮・居貞(いやさだ)親王の后となることが決まっていた。居貞親王が18歳も年上であることを彰子に愚痴りますが、その愚痴は父母にも飛び火し止まりません。「父上は権勢を盤石になさろうとされるお方、私たちは父上の道具にございます」と言って式部にたしなめられます。
間もなく妍子は東宮の后となった。敦明親王が華麗に舞う中、居貞親王に招かれた藤原道綱は、これまで支えてくれた礼と、これからも敦明親王含めて頼りにしているという言葉を受け、盃を受けて歓喜します。敦明の舞を「よき舞だな」と笑顔を見せる居貞親王ですが、その舞を、妍子は御簾の中から見守っています。
右大臣顕光は、次女延子(のぶこ)に東宮の皇子・敦明を迎えた。道長への牽制であった。藤原顕光は満面の笑みを浮かべて廊を歩いています。嫁いだ延子は見目麗しい姫ではありますが、后となったばかりの妍子から見れば、10歳程度年上の嫁になるわけで、また毒舌を吐きそうでほほをふくらませています。
成長著しい敦康親王は、元服の儀を前に彰子に挨拶に出向きます。皇后定子を2歳で亡くして以降、母親代わりとして愛しんでくれた彰子にとても恩を感じる敦康親王は涙を流しますが、彰子は立派な帝になれるよう敦康親王の手を取って励まします。そこに道長が来て、元服の儀の加冠の役を自分が務めることになったと頭を下げます。
「敦康さまはお前の物語にかぶれすぎておられる!」と道長は苦々しい表情です。いきなりの苦言に式部は戸惑いを隠せません。道長はつまり、光る君のまねごとをされたら困ると言いたげなのですが、式部は大きくため息をつきます。
そのころ為時の屋敷では、惟規の従五位下の任命が行われていました。使者が帰っていくと、信じられないなぁと惟規は空を見上げて笑顔を見せます。六位から五位に昇格したので束帯も緑色から赤色になりますが、いとはそれを見越してすでに用意していました。赤束帯を着るほど偉くなると思っていたいとに、惟規は感謝し抱きしめます。「上向いてまいりましたよ、ご運が!」
さらに春の除目で、為時は越後守に任じられた。そのお礼のあいさつに、為時と惟規は道長のところに出向きます。惟規は姉(の藤式部)が世話になっている礼を述べ、これからもよろしくと頭を下げます。道長は惟規と為時が何を言おうとしているのか測りかねながら、藤壺の式部のところに顔を見せてやれと気遣います。
いきなりの2人の訪問に驚く式部ですが、越後に赴いたらもう会えないかもしれないなと弱気の為時を励まします。式部は藤壺に務めているので、今回は惟規が越後まで送るつもりでいます。従五位下にしてもらったばかりですが、斎院の中将の君にひどいフラれ方をしたようで、気分転換のつもりです。
為時屋敷では、里下がりをしたまひろを交えて賢子の裳着の儀が行われます。もはや一人前と見なされ、婿を取り子どもも産めるわけですが、賢子は為時について越後には赴かず、いとと乙丸ときぬとでこの家を守っていくと宣言します。「宮仕えはいたしませぬ。母上と同じ道を行きたくはございませぬ」
まひろの裳着の儀(=第2話)は、為時との仲が最悪な時でした。まひろにとっては思い出したくもない過去ですが、そんな親子関係も今のように軟化しました。賢子とまひろの仲もいずれ良くなるかもしれません。コロッと心変わりした斎院の中将の君とは違い、道長のまひろへの心もずっと変わらず、惟規は感心します。「きっと……みんなうまくいくよ」
為時とともに越後に向かう道中、馬上の惟規は急に苦しみだし、腹を押さえて倒れ込みます。途中の家を間借りして惟規を寝かせ、薬師を呼ぶ為時ですが、惟規は賢子のことを為時に頼み、息も絶え絶えに用意してもらった紙にしたためます。しかしそれを書き終わる前に惟規は息を引き取ります。惟規の名を呼び続ける為時の叫び声だけが、あたりに響いていました。
都にも
恋しき人の 多かれば
なほこのたびは いかむとぞ思ふ
「都にも恋しい人がたくさんいるゆえ、何としても生きて帰りたい」 為時から惟規の辞世の歌とともに書状が届けられます。いとは声を上げて泣き崩れ、まひろも肩を震わせ涙を流しますが、賢子はそっとまひろに寄り添って背中をさすり、母の悲しみを受け止めます。
作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
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[出演]
吉高 由里子 (まひろ/藤式部)
柄本 佑 (藤原道長)
黒木 華 (源 倫子)
三浦 翔平 (藤原伊周)
町田 啓太 (藤原公任)
渡辺 大知 (藤原行成)
高杉 真宙 (藤原惟規)
竜星 涼 (藤原隆家)
木村 達成 (居貞親王)
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塩野 瑛久 (一条天皇)
見上 愛 (藤原彰子)
上地 雄輔 (藤原道綱)
ファーストサマーウイカ (ききょう/清少納言)
秋山 竜次 (藤原実資)
石野 真子 (藤原穆子)
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岸谷 五朗 (藤原為時)
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制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:葛西 勇也・大越 大士
演出:佐々木 義春
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『光る君へ』
第40回「君を置きて」
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