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2024年11月15日 (金)

プレイバック炎 立つ・第三部 黄金楽土 (30)義経追討

【アヴァン・タイトル】

文治元(1185)年11月3日、源 義経はついに都を落ちることになる。これまで義経は、一ノ谷、屋島、そして壇ノ浦など、平氏との合戦において数々の武功を残し源氏に勝利をもたらした。しかし源氏の棟梁・頼朝の許可なく、朝廷から検非違使尉(けびいしのじょう)という官位を受けたことにより、かえって頼朝の逆鱗に触れ、鎌倉入りすらできなかった。ここに義経・頼朝の対立が露わになった。

同じころ奥州平泉でも、行き場所のない義経を擁護し源氏との一戦をも辞さぬ覚悟の国衡と、あくまでも戦を避け和平の道を進もうとする泰衡との対立も表面化してきた。それは藤原氏の命運を決する対決でもあった──。


源 義経の処遇について意見の相違を見せた藤原泰衡と国衡の兄弟は、殴り合いの大喧嘩から果し合いにまで発展します。防戦で精いっぱいの泰衡は、突進してきた国衡の刀が木の幹に突き刺さった瞬間を逃さず刀を切り落とし、のどもとに突きつけます。泰衡が息荒く引き下がると国衡は折れた刀を振り上げ、泰衡を守ろうと前に出た弥五郎を斬ってしまいます。

京の仙洞御所で、義経は後白河法皇に手をついて頼朝追討の宣旨を求めます。こんなに早く兄弟仲が悪くなるとは想定外でした。一生懸命に励んで平家を滅ぼしたのに、あらぬ疑いをかけられて鎌倉にも入れてもらえなかった義経の気持ちを汲み取った法皇は、10月になると頼朝追討の宣旨を与えます。しかし義経軍は散り散りになり、義経は摂津の海で行方知れずとなります。

一方、鎌倉の大倉御所にも法皇からの宣旨が届いていました。義経が行方知れずとなり京の警護が手薄になると、源 頼朝軍の武力を当てにして、今度は義経追討の宣旨を頼朝に出してきたのです。頼朝と義経の対立が、今や鎌倉と京の対立となっています。義経はいずれ平泉に向かうと考える頼朝には、秀衡への怒りがこみ上げてきます。「平泉をこのまま安泰にしてはおかぬぞ」

頼朝から、平泉から京に届けている貢物について鎌倉を通せと無理難題を押し付けられます。泰衡は時を置かずに受け入れるのが得策と言い出します。秀衡が拒めばさらに難題を吹っ掛けられるのは目に見えているし、鎌倉を通すことは平泉を知ってもらういい機会だというのです。少なくとも二の矢を遅らせるためと説得しますが、秀衡は断じてできないと立腹します。

無量光院に籠る秀衡を訪ねて泰衡がやって来ますが、国衡が涙を流して悔しがっていました。秀衡は髻(もとどり)を切ったのです。藤原清衡の時代からの源氏への恨みがありながら、自分の代で源氏に頭を下げるしか方策がなくなったことを“愚かだ”と感じたのです。秀衡は泰衡に刀を預け、髪を下ろします。

 

文治2(1186)年。夜道を急ぐ常盤は、後をつけてきた男が義経と知って驚きます。鎌倉の手の者が目を光らせている中、義経は身を潜めていた比叡山にもいられなくなったわけです。もうどこにもいけないと悲観する義経に、常盤は平泉の秀衡を頼れと説得しますが、義経はさびしそうに首を横に振ります。「かの地には行けぬ……行ってはならぬことに」

弁慶は行く当てがなく、いずれは死をも覚悟せねばならないと感じて、平泉の第の橘似に別れを告げに来ました。佐藤継信は戦死し、家臣たちも散り散りになり、もはや妻と弁慶との死出の旅となるのです。橘似はいたたまれず弁慶の胸に飛び込み、やめてと必死に訴えます。橘似は義経を平泉に連れてきてくれれば、奥州の奥地で物部一族が匿うと弁慶の手を握ります。

8月、西行と出家した藤原基顕が鎌倉の頼朝を訪れます。東大寺大仏の開眼供養は済んだものの、金張りがまだ終わっておらず、奥州へ砂金の勧進に向かうところです。西行は白河の関を越えないと秀衡に約束させる代わりに、砂金をはじめ物資などを鎌倉を経由せずに届けてもらいたいと頼朝に伝えます。やんわり断る頼朝ですが、西行は南都復興をかけていると強い口調で言い含めます。

平泉では行方知れずの義経がここに逃げてくるのではないかとうわさが立っています。泰衡の弟・藤原忠衡は、まっすぐに平泉に逃げてくればいいのにと苛立ち、それを聞いた薫子は表情を曇らせます。泰衡は義経が二度と平泉には戻らないと固く誓ったからと、来ることはないと安心しています。

越前の愛発関(あらちのせき)に義経の目撃情報が頼朝に伝えられます。そして義経一行は安宅関(あたかのせき)へ。関守は義経と弁慶の人相書きと照らし合わせて、二人を捕らえるよう命じますが、弁慶は義経を杖で殴りつけ折檻します。関守は弁慶から杖を取り上げ、関を通る許可を与えます。弁慶は関守を見つめ、何も言わずに席を出ていき、弁慶は妻と従者がぐったりする義経を抱えて出ていきます。

宿に入った弁慶は義経に土下座して詫びます。「見ろ……今日のはずいぶんひどいぞ」と義経は左肩についた杖の痕を見せます。自分を思いきり打ち据えてほしいと弁慶は涙目ですが、義経は弁慶を責めるどころか、不問に付します。弁慶はこれから命を懸けて守り抜くと約束し、何としても平泉に行くことを勧めます。「しかし泰衡どのはどんな顔をするかなぁ」と義経は不安顔です。

 

平泉を訪問していた西行は、白河の関を越えないとの秀衡の約束を取り付け、頼朝に秀衡の真意を伝えに行くことにします。安倍以来、こちらから戦を仕掛けたことはなく、襲い掛かる敵には立ち向かわなければならないと秀衡は考えているのです。そして西行は、義経とは関わりを持たないことが、平泉を戦火から守ることになると諭します。秀衡も泰衡も西行に感謝しています。

雪深い中を西行を見送りに出た泰衡は、庵を結ぶつもりの基顕に、中尊寺にいて藤原の祖先の墓守などしてくれないかと提案しますが、山の中腹に建てた庵で読経三昧でいい、と笑って断ります。そんな二人の目の前を、早馬が横切っていきます。

義経一行が平泉に向かっているとの知らせに、国衡と忠衡は歓喜します。幼いころによく遊んでもらった義経がすぐそこまで来ていることに、忠衡は 早く会いたい! 迎えに行こう! とじっとしていません。「九郎どのが参られれば百万力、奥州20万の兵を率いて頼朝に対峙できるのじゃ」と、国衡も興奮気味です。

あれほど固く誓い合ったのに! と泰衡は激怒します。亜古耶は行くところがなくてと義経をかばいますが、だとしても平泉にだけは来てはならないのです。知らせを聞いた河田次郎が駆けつけると、泰衡は次郎に一緒に来るように促します。「どうしても止めねばならぬ……覚悟を決めてわしと一緒に来い。九郎がいれば平泉は終わりじゃ。しかしもうどこにも逃げ場はない。どうすれば?」


脚本:中島 丈博
高橋 克彦 作 「炎立つ」より
音楽:菅野 由弘
語り:寺田 農
題字:山田 惠諦
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[出演]
渡辺 謙 (藤原泰衡)
野村 宏伸 (源 義経(九郎))
時任 三郎 (弁慶)
中嶋 朋子 (薫子)
三浦 浩一 (藤原国衡)
中川 安奈 (亜古耶)
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紺野 美沙子 (橘似)
柳生 博 (西行)
松田 美由紀 (常盤)
中原 丈雄 (藤原基顕)
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長塚 京三 (源 頼朝)
真野 響子 (倫子)
中尾 彬 (後白河法皇)
林 隆三 (藤原基成)
渡瀬 恒彦 (藤原秀衡)
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制作:音成 正人
制作・著作:NHK
共同制作:NHKエンタープライズ
制作統括:村山 昭紀
    :NHKアート
    :NHKテクニカルサービス
演出:門脇 正美

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『炎 立つ』
第31回「約束の剣」

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