« プレイバック春日局・(42)身内を切る | トップページ | プレイバック炎 立つ・第三部 黄金楽土 (29)兄弟の宿命(さだめ) »

2024年11月10日 (日)

大河ドラマ光る君へ・(43)輝きののちに ~娘の恋心とまひろの想い~

長和3(1014)年。三条天皇と中宮妍子(きよこ)の間に、待望の子・禎子(よしこ)が生まれたが、皇子ではなかった。道長の思惑通りにはいかなかった。さらに内裏は火災になり、三条天皇は妍子とともに枇杷殿(びわどの)に移った。そのため琵琶殿にいた皇太后彰子は、高倉殿に移ることとなった。高倉殿は頼通の屋敷である。

彰子は久しぶりに敦康親王と再会します。恭しく頭を下げる敦康は、妻の祇子(のりこ)を彰子に紹介します。幼いころから面倒を見てきた彰子は、今や妻を持つ身となった敦康に目を細め、その成長ぶりにとても嬉しそうです。藤原頼通の妻・隆姫が祇子の姉というつながりがあり、敦康が高倉殿に入っていたのです。

内裏の二度にわたる火災は帝の政に対する天の怒りが招いたものと藤原道長は帝に進言しますが、帝は「聞こえぬ」と撥ねつけます。さらに道長は、国家安寧・四海平安のために帝に譲位を迫り、もってのほかと帝は激怒してしまいます。ともに来ていた藤原道綱は慌てながら、道長とともに下がらせられます。まひろは再び筆を執り、光る君亡き後の物語を書き続けていた。

新任の備前守が不動倉のカギを求めているらしく、道長は帝にどうすべきか尋ねますが、その声が聞き取りにくく、手にした書状は逆さまで、道長は帝の身に異変を感じます。帝は目も見えず耳も聞こえていない──。由々しき事態を打ち明けられた源 俊賢は、道長が帝に譲位を進言するものと感じ、その気分が高まるように手配することにします。

翌日、藤原行成は道長に「大宰府に参りたい」といきなり願い出ます。2月から大宰大弐が空席で、そこに任じてほしいというのです。帝が即位して3年、行成は自分で思うような働きが出来ていないと考え、ここからは少し己の財を増やしたいと伝えます。考えておこう、と道長は行成に返事して帰します。

高倉殿で過ごす敦康親王は、一条帝の第一皇子として生まれながら東宮になれず、生きる望みを失って苦しんでいましたが、頼通の勧めで祇子を妻とし、笑顔を取り戻しています。敦康を守れなかった彰子は詫びますが、そんな彰子に敦康は太い芯のようなものを感じています。「今の皇太后さまは、国母(こくも)にふさわしい風格をお持ちでございます」

 

道長がはっきりと譲位を迫ってきた、と帝は藤原実資に打ち明けます。放っておくように実資に進言された帝ですが、もしかしたら毒を盛られるかもしれないと危惧するのです。実資は、道長はそのようなことはしないと断ったうえで、心配なら信頼できる蔵人頭をそばに置くよう提案します。帝は実資の子・資平を蔵人頭にしたいと言い、実資も喜びをかみしめながらこれを受けます。

しかしこれに道長が噛みつきます。蔵人頭には藤原伊周嫡男・道雅か、藤原道兼三男・兼綱を推薦しますが、帝はきっぱり断ります。ただ蔵人すら務めたことのない資平は適任ではありません。もうよい! と座を蹴る帝はつまずき倒れます。道長は帝にかけよりますが、これでは帝のお務めは果たせないと譲位を進言します。「譲位はせぬ! そなたが朕の目と耳になれ! それならば文句はなかろう!」

東宮・敦成親王を囲んで、藤式部を中心に“偏(へん)つぎ”遊戯です。途中で現れた道長もそれに加わりますが、敦成が7歳になったということを考え、学問はよい博士につくのが何よりと諭します。彰子は藤式部は学識を持っていると道長をたしなめますが、帝であるべき道を学ぶのは全く別のことであると彰子を見据えます。

遊戯が終わり、道長も帰って、彰子は父が帝に譲位を迫ったことを藤式部に打ち明けます。そのせいでさらに帝の具合が悪くなったとも耳にしているのです。もし東宮が帝になれば、父の思うままになるのか? しかし式部は明確にこれを否定します。道長自ら陣定に出席し、長年関白を辞退してきたことからもそれが伺えるのです。式部は父上びいきだと彰子は呆れています。

身体の不調を打ち明け、道長から守ってくれと求められた実資は、道長を訪問します。実資は、道長の考えも理解しつつ、強引に事を進めて帝を弱らせれば、皆の心が離れてしまうと諫めます。たとえ譲位を勧めるのが間違っていないとしても、その先に帝を譲位させ東宮を即位させて、思うままの政をしようとしているのは誰の目にも明らかなのです。

左大臣になって20年、思いのままの政はしたことがない道長です。自分が考える“思いのままの政”とは、民が幸せに暮らせる世を作ることですが、幸せという曖昧なものを追い求めることが仕事ではなく、何かが起きた時に真っ当な判断ができるよう構えておくことと実資は諭します。「志を追いかける者が力を持つと、志そのものが変わっていく──帝のご譲位、いま少しお待ちくださいませ」

これで目も耳も良くなると期待を寄せる帝は、宋から取り寄せた薬を服用しています。そこに敦明親王が来て、自分の友である兼綱を蔵人頭にしてほしいと求められます。それはどうかのう、と難色を示しますが、皇后娍子(すけこ)からの後押しで、帝も断りづらくなっています。敦明親王の懇願で、蔵人頭は資平ではなくなった。

これに怒ったのは実資でした。「憤慨した! 約束したではないか! 約束を反故にするなら私を二度と頼りにするな!」と、このことを日記にしたためるため、硯で墨をすっています。

土御門殿の源 倫子のところには、五男藤原教通に嫁いだ妻が生まれたばかりの姫を連れて来ていました。妻は公任の娘で、赤子はどことなく公任に似ていると倫子は笑います。道長は頼通の妻・隆姫に子を産むよう催促し、困惑する隆姫をかばう頼通ですが、仲良くやっているとの弁明に、そういうことを言っているのではないと道長は鼻で笑います。

隆姫がいなくなり、頼通は子のことを言わないでと道長に求めますが、意外にも頼通に覚悟を求めてきたのは倫子でした。道長のように、もう一人妻を持てば隆姫も楽になるかもしれないと言い出します。「何もかも一人で背負わなくてよくなるのですもの。できれば隆姫と対等な尊い姫君がよいのでは……ね、殿」 頼通は、妻は隆姫だけだと声を張り上げて訴えます。

ますます頑なになってしまったと道長はつぶやきますが、倫子は本気でそう言っているのです。「私は殿に愛されてはいない」と言い出す倫子は、自分でも明子でもない、夫が心から愛でる女がどこかにいるのだと苦しんだ時もありましたが、彰子が皇子を産み、皇子が東宮となり、帝になるかもしれないと考えると、自分の悩みなど吹き飛ぶくらいのことをした道長のおかげと思っています。

 

越後守であった為時は、3年ぶりに都に戻ってきた。この時に合わせて里下がりしてきたまひろも含め、皆で出迎えますが、そこに現れたのは双寿丸でした。追いはぎと人さらいをやっつけて足を怪我した双寿丸に、手当てをする賢子の姿を見て、賢子と乙丸の命の恩人だとまひろに説明されても、為時にはにぎやかだが不思議な眺めです。

陣定に出席しない藤原隆家の様子を実資が身に来ました。昨年に行った狩りで木の枝が目に刺さり、冷やして痛みを和らげ傷が治るのを待つしかないとの薬師の診断です。実資は、宋人・恵清という目の薬を治す腕のいい薬師が大宰府にいると伝えます。大宰大弐に空きがあるからと、道長に申し出てみるよう勧めます。

隆家の申し出に、道長は「大宰府で目を治して都に戻って参れ」と励まし、送り出すことにします。11月、臨時の除目が行われた。道長は、中納言隆家を大宰権帥(ごんのそち)に任じ、それを聞いていた行成は戸惑い、道長を睨みつけます。「道長さまは、私を何だとお思いでございますか!」 おれのそばにいろ、そういうことだ──。道長の答えに、不満を募らせる行成です。

隆家の家臣である平 為賢を主に持つ双寿丸も、為賢に従って大宰府に行くことになりました。それについていくと言い出す賢子ですが、女は足手まといだと双寿丸は断ります。妹のように感じていた賢子には、よい婿を取って幸せに暮らせと笑顔を見せます。突然の双寿丸の報告に、賢子は哀しい表情を見せます。

フラれた賢子の心に、入り込む琵琶の音色。賢子はまひろに、フラれたことがあるか尋ねます。あるわよ? と胸を張るまひろですが、事情を聞いて、武者だから賢子を危ない目に遭わせたくないのでは? と双寿丸の肩を持ちます。賢子は双寿丸の門出に宴を開くことを提案します。フラれたのに? と茶々を入れるまひろですが、賢子は本気です。「せめてあの人の思い出に残ってほしいもの」

後日、身内だけで盛大に開かれた宴で、酒を呑み楽しそうに踊る双寿丸を見つめる賢子です。まひろは賢子を見つめ、安心したように微笑みます。大人の階段をまた一段昇ったと感じていたのかもしれません。

 

作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
──────────
[出演]
吉高 由里子 (まひろ/藤式部)
柄本 佑 (藤原道長)
黒木 華 (源 倫子)
町田 啓太 (藤原公任)
渡辺 大知 (藤原行成)
竜星 涼 (藤原隆家)
木村 達成 (三条天皇)
──────────
見上 愛 (藤原彰子)
上地 雄輔 (藤原道綱)
ファーストサマーウイカ (ききょう/清少納言)
秋山 竜次 (藤原実資)
──────────
岸谷 五朗 (藤原為時)
──────────
制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:葛西 勇也・大越 大士
演出:渡邉 昭寛

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『光る君へ』
第44回「望月の夜」

|

« プレイバック春日局・(42)身内を切る | トップページ | プレイバック炎 立つ・第三部 黄金楽土 (29)兄弟の宿命(さだめ) »

NHK大河2024・光る君へ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« プレイバック春日局・(42)身内を切る | トップページ | プレイバック炎 立つ・第三部 黄金楽土 (29)兄弟の宿命(さだめ) »