大河ドラマ光る君へ・(45)はばたき ~まひろが道長に別れ告げ旅へ~
藤原道長の詠んだ『この世をば』について、幼馴染たちは何だったのだろうと話し合っています。源 俊賢は栄華を極めた今を歌い上げていると解説し、藤原公任は道長がおごった歌を披露する人ではないとかばいます。藤原行成は、月は后を表し3人の后は望月のように欠けていないよい夜だと解釈したと打ち明けます。藤原斉信ただひとり、皆の説を聞いて「そうかなぁ」と首をかしげます。
敦康親王は、摂政に就任したばかりの藤原頼通を労わります。太閤道長に毎日怒鳴られてばかりいると吐露する頼通に、父に怒鳴られてみたかったと敦康は笑いますが、太皇太后彰子は、嫄子(もとこ)女王には父らしい父として接するよう助言します。嫄子や妻祇子(のりこ)らと家族で帰る時、敦康は突然胸の苦しみを訴えます。
この年の暮れ、亡き一条天皇の第一皇子・敦康親王は、21歳で世を去った。道長によって奪いつくされた生涯であった。訃報を受け取った彰子はひどく落胆し、道長も脱力して月を見上げます。物語を最後まで書きあげた藤式部は、完成させた嬉しさがじわじわとこみ上げてきて涙を浮かべます。
寛仁2(1019)年。年が明け、叙位の議が行われる日。左大臣と右大臣が参内せず、2人がいなければ始められないと後一条天皇は困惑しますが、左大臣は格別の仰せがなければ参内しないと言っているようです。内大臣頼通は、自分への当てつけだと道長に相談しますが、道長は今回に限って内大臣が務めればいいと指示します。「嫌がらせなどには屈せぬ姿を見せよ。叙位の議も止めてはならぬ」
実家に戻って放心状態のまひろに、娘賢子は宮仕えをしたいと相談します。内裏か土御門殿の女房が希望で、頼もしいと感じたまひろは話してみることにします。そして賢子がこの家を支えてくれるなら、自分は旅に出たいと藤原為時に打ち明けます。物語の中で書いた須磨や明石、亡き藤原宣孝が赴任していた大宰府、さわが亡くなった松浦に行きたいのです。
若くもないのにそんなに遠くに行って大丈夫だろうかと為時は心配しますが、きぬは夫の乙丸にまひろの供をさせます。心配する為時も言い出したら聞かないまひろの性格を知っているからか、好きにすればよいと送り出すことにします。「賢子! 女房の仕事は楽ではないゆえ、覚悟してね」
藤式部は賢子を連れて土御門殿の彰子の元を訪問します。母親としてあいさつを済ませると、彰子は懐刀を藤式部に授け、必ず無事に戻って土産話をしてくれと送り出します。道長も大宰府に向かう船に乗って行けと心穏やかに送り出しますが、倫子が以前相談していた、道長の栄華についての物語を書くことは、心の闇を持つ性分なので、と断ります。
局で藤式部は、これまで書いた物語、その続きと賢子に見せ、母がしてきたことよと胸を張ります。局に道長が現れたのを見て、藤式部は賢子を帰し道長を迎えます。行かないでくれと懇願する道長ですが、藤式部にとっては、立派になった彰子のそばに仕える理由がなく、これ以上手に入らない方のそばにいる意味はないわけです。
「私が去っても賢子がおります。賢子はあなた様の子でございます」 藤式部の突然の告白に衝撃を受ける道長ですが、旅から戻ってきてももう会えないのかと道長は藤式部の手を握って見つめます。会えたとしてももう終わり──。振り切るように局を出ていく藤式部を、道長は追いかけませんでした。
藤式部に執筆を断られた倫子は、赤染衛門にその任を依頼します。『枕草子』が皇后定子の姿をキラキラと描いたように、道長のすばらしさを輝かしい物語にしてほしいと伝えます。衛門はとても重たい任務と感じつつ、その話を受けることにします。
賢子は「越後弁」として土御門殿の女房として入ることになりました。祖父為時は前の越後守で、その前は左少弁だったところからの命名です。宮の宣旨の案内で御殿内を進む賢子の後ろ姿を、特別な面持ちで見つめている道長ですが、頭をキーンという何かが通り抜けたようでフラフラとよろめきます。
道長は倫子に出家すると宣言します。休みたければ自分の元で、現世でと食い下がる倫子ですが、道長の気持ちは変わりません。「藤式部がいなくなったからですの? 出家はおやめください」と説得しても、道長は聞き入れず。握る倫子の手を放し、彰子に報告してくると言って行ってしまいます。
まひろは須磨の地に着きました。荒れる海の浜辺を、市女笠を乙丸に預け、手にしていた杖も手放して、何かにとりつかれたように走っていきます。そして読経が響き渡る中、そして倫子、彰子ら娘たち、頼通らが見守る中、道長は作法に従って髪を下ろします。倫子はうつむいて涙し、彰子は目を見開いてしっかりと父の出家を見届けます。
出家した姿を、幼馴染の藤原公任、斉信、行成が見に来ます。道長一筋であった行成は、道長の気持ちが楽になるならと考えつつ、いざ出家姿を目の当たりにすると気持ちがこみ上げて涙を浮かべます。道長は行成にすまなかったとこれまでの労をねぎらうと、3人にこれからは頼通の力になってやってほしいと頼みます。左大臣顕光も右大臣公季も足を引っ張るばかりで、何の役にも立たないのです。
頼通はさっそく、顕光のことで道長に相談します。帝の前で居眠りをし、訳の分からないことを言い、的外れなことに固執して陣定を長引かせるなどの失態が続き、さすがの頼通も顕光に辞めてもらいたいと考え始めます。道長は、どうすればいいのか分からないのかとチクリと刺すと、失態のたびに皆の前で厳しく糾弾するよう助言します。「お前は摂政だぞ。肝を据えろ」
大宰府の地に着いたまひろは、宋人を含む多くの人々の往来に目を輝かせます。大路での市場を楽しんでいたまひろは、薬を買い求める男に目を引かれます。それは越前国で交流があった周明でした。
作:大石 静
音楽:冬野 ユミ
語り:伊東 敏恵 アナウンサー
題字:根本 知
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[出演]
吉高 由里子 (まひろ/藤式部)
柄本 佑 (藤原道長)
黒木 華 (源 倫子)
町田 啓太 (藤原公任)
渡辺 大知 (藤原行成)
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見上 愛 (藤原彰子)
上地 雄輔 (藤原道綱)
秋山 竜次 (藤原実資)
松下 洸平 (周明)
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岸谷 五朗 (藤原為時)
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制作統括:内田 ゆき・松園 武大
プロデューサー:川口 俊介・高橋 優香子
演出:佐々木 義春
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『光る君へ』
第46回「刀伊の入寇」
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