« 南ケ丘線 (22)番ヒストリー「南ケ丘48」・第11回 諸説アリ | トップページ | プレイバック八代将軍吉宗・(27)中間管理職 »

2025年7月13日 (日)

大河ドラマべらぼう -蔦重栄華乃夢噺-・(27)願わくば花の下にて春死なん ~意知、佐野、誰袖~

田沼意次が企んでいる蝦夷の上知について、松前道廣は意次に近いであろう一橋治済に中止を要請します。島津重豪は、密かに手に入れた『赤蝦夷風説考』の写しを渡し、道廣の桜の会も意次が自分たちを探りに来た……と補足する中で、おもしろくないのう、と治済はふくれてみせます。「わしは桜が好きであるのに、心より楽しめぬようになってしまったではないか」

松前廣年は誰袖宛てに、琥珀の取引を続けたければ道廣に直に便りをよこせと書状を送りつけてきました。米についても目途がつき、「米穀売買勝手次第」……諸国から集めた米により、誰でも米を売ってよいという触れも出せそうな状況です。そうなれば米の値はドーンと下がり、誰袖はいよいよ身請けかと目を輝かせます。膝枕をしてもらう田沼意知は、誰袖の笑顔を見上げて幸せそうです。

しかし、ふたを開けてみればドーンと下がったのは田沼の評判でして、米の値は今日も百文五合です。諸国から流民が集まり、お救い小屋もあふれかえる始末です。紀州藩主・徳川治貞は、どう責めを負うのかと田沼を批判します。

“屁こき賂い勝手次第”は田沼の悪巧みという話です。金の余った商人たちが米を買い占めて大儲け、意次が商人を儲けさせるために触れを出したという話がささやかれているのです。流民の処遇もしばらく待てと言われたらしく、蔦屋重三郎(蔦重)は炊き出しを提案しますが、日本橋通油町を流民のたまり場にするのかと反発されます。鶴屋喜右衛門も、流民の扱いは幕府の仕事と積極的な手出しはしません。

田沼屋敷に佐野政豊が系図を返せと怒鳴り込んできます。佐野家は田沼家の主筋に当たる家ですが、新番士の佐野政言は平身低頭で父を抱えて出ていきます。系図? 何のことやらと意次は困惑しますが、意知は 系図は父上が池に投げ捨てたと言い、「何とぞ引き立ててやってはもらえませぬか。父上のせいで返せなくなったのですぞ」と斡旋を依頼します。しかし意次は意知が引き立てろと丸投げです。

意知の計らいで、将軍家治の狩りのお供に選ばれた政言ですが、射止めたはずの獲物が上がってきていません。意知の提案で林の中に入って総出で探すことになりました。しかし結局は見つからず、家治はじめみんなを待たせてしまったことを意知が詫びますが、家治は友を信じる意知を高く評価します。

肩を落として屋敷に戻った政言を、あの狩りの場にいた某が訪れます。射止めた獲物と政言の矢を返却し、意知が獲物を隠したところを見てしまったと打ち明けます。なぜそのような偽りを……といいつつ、衝撃を受ける政言です。「偽りであればと私も思います。田沼さまの不正の場を見てしまったなど、もしも田沼さまに知られればどのような目に遭うか……しかし佐野どののことを思うとお気の毒で」

 

米の値が下がらず、意次は江戸への米の流通量を増やせないか模索しますが、伊勢や尾張で津留(つどめ=物資の他領への出入りを制限)となり、大坂からの高値の下り米に頼るしかありません。三浦庄司は、印旛沼の普請が間に合っていたらと後悔しますが、今さら遅いです。検分を急がせてはいるものの、お手上げといったところです。

蔦重が出版した“黄表紙仕立ての狂歌集”は、景気が悪くて全く売れませんでした。日本橋蔦屋を訪れた大文字屋の市兵衛は、つよに髪結いをしてもらいながら、吉原はみな食えてるよと報告します。田沼の評判を気にする市兵衛は、誰袖(たがそで)の身請け話は当分お預け、話が悪ければ流れると踏んだ方がいいかもしれないとため息をつきます。

ていは“一挙五得”を蔦重に提案します。米の値が下がれば(1)誰袖の身請けは叶い、(2)田沼の評判も持ち直すわけです。さらに(3)市中は助かり(4)流民にも施しが行きわたる。それが(5)蔦重の願いなので、一挙五得──。聞いてたの? と蔦重はていを見据えますが、ていはそれには答えず、いつものように蔦重とみんなで知恵を絞ってというのです。「お上に献策というのは日本橋らしくもありますかと」

蔦重はさっそく日本橋の親父たちに諮ります。手があるならとっくに幕府が手を打っていると躊躇する者もいる中、喜右衛門は、幕府がもっと身銭を切るべきと訴えます。金を出さずお触れだけで収めようとするからこんなことに! と怒りをにじませます。出してもらうなら米、年貢の中から施し米を出せないかと声も上がり、蔦重たちは柵を練り上げて献策します。

幕府が米屋をやるなどできない! と意知はこわばります。しかしもうけを出すわけではなく、仕入れ値で引き渡すだけだから商いではありません。民や流民が食うに精いっぱいとなれば、本は我慢し普請は諦め、湯は10日に一度、床屋もいいとなるわけで、その金の流れを断ち切る“政”と捉えればいいのです。意知は、幕府や武家が受け入れるかどうかは別の話だと指摘しておいて、蔦重に帰るよう促します。

深々と頭を下げた蔦重は、もう一つと口を開きます。「どうか誰袖花魁を身請けしてやってはいただけませんか」 立場的に苦しいのは理解しつつ、身請けが成らない限り女郎は日日身を売らねばならず、誰袖花魁に慈悲をいただきたいと意知を見据えます。しかし意知は、そちらはもう手を打ったと蔦重を見つめます。

意知からの手紙が誰袖に届けられます。──米の値は下がらず田沼家への風当たりは強まるばかりですが、誰袖を待たせるのも忍びず、意知は土山宗次郎の名で誰袖を身請けすることを提案します。しばらくは土山の妾にはなりますが、話を受けてもらいたい──。「今年の春はそなたと二人、花のもとで月見をしたい」 身請け話はなくなったと思い込んでいた誰袖は、涙を流して喜びます。

お家のためならお武家さまは打ち捨てるもの……と蔦重はうつむきます。意知は、かつてお家のために平賀源内を見捨てよと父意次に進言したことがありました。今でも間違っていたとは思ってはいませんが、源内が最後に口にした、蝦夷を形にするのは、意知の源内への罪滅ぼしでもあるのです。蝦夷上知に力を尽くしてくれた誰袖を打ち捨てるのは、人としてお話にもなりません。意知の気持ちを知った蔦重は、納得の笑顔です。

 

大坂の奉行所が、悪徳米問屋らをまとめて投獄したと報告が上がります。あの「勝手次第」を悪用してひどい買い占めを行ったわけで、その量は20万石。江戸でもお縄に……との声が上がる中、意知は召し上げた20万石を幕府が安く買い上げ、その値で市中に払い下げを提案します。蔦重の言葉の受け売りで進言をし、意次はニッコリします。

あの策いかがでしょう? と尋ねる意知に「わしも頭にあったわ」と答える意次です。笑いながら通り過ぎる2人に平伏する政言ですが、ほかの番士から「意知の吉原通い」「米の値を上げ私腹を肥やす」という噂話を聞いて、愕然とします。自邸では、綱吉に賜った桜の木を枯らせたと政豊から折檻を受け、駆けつけた某に助けられます。

政言は9人の姉の後に産まれた待望の跡取り男子で、政豊の期待はとても大きかったわけですが、そうやって得た息子はいつまでたってもうだつが上がらず、家宝の桜が咲かなくなれば当たりたくなるのかもしれません。某は佐野の系図を意次がなくしたとのうわさを話し、田沼の咲き誇る桜は、もともとは佐野の桜ではないか? と疑問を呈します。政言は後に満開の田沼の桜の木を見に行き、見つめます。

大坂で買い占められていた米のうち6万石を幕府が買い取ることになり、意次は何とか首の皮一枚つながったところです。かつて松平武元が、いざという時に金は役に立たない、頼りになるのは米と刀だと言っていたことを思い出し、意次はいま、ああこのことかと身に沁みます。今後のためにも米の動きを正すべきと意知は主張し、政策談議に明け暮れる親子に庄司は思わず笑います。

咲かない桜の木の前で、政言が座り込んでいろいろ考えています。そこに現れた政豊は少し呆けているようで、咲け! 咲け! と桜の木の前で刀を振り回します。なぜこうも違うのかと政言は哀しくなって涙が溢れますが、暴れる政豊を止め、見つめる政言です。「父上! 私が……私が咲かせてご覧にいれましょう」

蔦重は身請け話の進む誰袖に、喜多川歌麿が描いてくれた女郎の錦絵の掛け軸を贈ります。誰袖は蔦重の顔に触れ、この顔には世話になったと微笑みます。嫌な客には蔦重のこの笑顔を重ねて笑顔で乗り切ってきたのです。蔦重は本当のことを話せる日が来たら、誰袖の話を本にしたいと打ち明けます。誰袖のストーリーは、吉原に生きるしかない女郎たちの励みになると思うのです。

誰袖は今夜、意知と花のもとで月を見ようと約束をしています。

意知も月見の約束があると、定時で江戸城を出るつもりです。政言が控える前を通り過ぎようとしたとき、音もなくスッと立ち上がる政言です。山城守さま、と政言は声をかけます。

かをり! とびきりの幸せになれよ! と蔦重は声をかけます。「言われずとも。んふ。誰よりも幸せな二人に」

おう、と振り返った意知に、政言は素早く刀を抜いて斬りかかります。

 

作:森下 佳子
音楽:ジョン・グラム
語り(九郎助稲荷):綾瀬 はるか
題字:石川 九楊
──────────
[出演]
横浜 流星 (蔦屋重三郎)
染谷 将太 (喜多川歌麿)
橋本 愛 (てい)
福原 遥 (誰袖)
宮沢 氷魚 (田沼意知)
栁 俊太郎 (土山宗次郎)
───────────
高岡 早紀 (つよ)

伊藤 淳史 (大文字屋市兵衛)
山村 紅葉 (志げ)

風間 俊介 (鶴屋喜右衛門)

えなり かずき (松前道廣)
矢本 悠馬 (佐野政言)
吉見 一豊 (佐野政豊)

吉沢 悠 (松本秀持)
相島 一之 (松平康福)
眞島 秀和 (徳川家治)
生田 斗真 (一橋治済)
───────────
原田 泰造 (三浦庄司)
高橋 英樹 (徳川治貞)
渡辺 謙 (田沼意次)
──────────
制作統括:藤並 英樹・石村 将太
ブロデューサー:松田 恭典・藤原 敬久
演出:大嶋 慧介

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『べらぼう -蔦重栄華乃夢噺-』 第28回「佐野世直大明神」

|

« 南ケ丘線 (22)番ヒストリー「南ケ丘48」・第11回 諸説アリ | トップページ | プレイバック八代将軍吉宗・(27)中間管理職 »

NHK大河2025・べらぼう」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 南ケ丘線 (22)番ヒストリー「南ケ丘48」・第11回 諸説アリ | トップページ | プレイバック八代将軍吉宗・(27)中間管理職 »