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2025年11月23日 (日)

大河ドラマべらぼう -蔦重栄華乃夢噺-・(45)その名は写楽

夜遅くに帰宅した蔦屋重三郎(蔦重)ですが、平賀源内が書いたであろう草稿についてていが尋ねても、キツネに騙されたなどと言っていて要領を得ません。実は蔦重が草稿を書いた源内を探していたところ、三浦庄司の話を元に松平定信が書き起こしたものだと判明し、定信に“仇を討たぬか”と誘われても断ろうとしていたのです。

世のために悪党は捕らえねばならないと、柴野栗山や長谷川平蔵宣以、庄司、高岳らは蔦重を説得しますが、こんな話に関われば己の身も危ないと蔦重は背を向けて立ち去ろうとします。しかし気づけば蔦重の周りを刀を手にした武士たちが取り囲み、脱退させないよう半ば脅してきました。話を聞いたていは、蔦重らしくかつてないほどの贅沢でふざけた騒ぎにし、恋川春町への供養とするよう提案します。

騒ぎを起こす手っ取り早い方法は読売ですがそれだとつまらなく、持ち込まれた草稿を本にして出すのも捕まってしまいます。源内が書いたとしか思えない黄表紙、洒落本、いや浄瑠璃を……。先日、源内が生きているかもしれないと情報を持ってきた重田七郎貞一は浄瑠璃を書けるため、源内が書いたとしか思えない新作浄瑠璃を貞一に書いてもらい、芝居小屋にかけてもらうことを思いつきます。

寛政5(1793)年10月、風紀粛清・倹約奨励によって江戸三座と呼ばれた中村座・市村座・森田座の歌舞伎小屋は経営困難に陥り、その経営が控えの座に委託される異常事態でした。蔦重は古浄瑠璃の薩摩座を訪れますが、あいにくお休みのようです。そこで蔦重は、平蔵とともに大崎の行方を追っている仙太と出くわします。仙太と蕎麦屋に向かうと、平蔵と磯八も集まっていました。

大崎がこの芝居町にいると平蔵が踏んだのは、葵の御紋の提灯を持った悪党(葵小僧)の装束一式が、芝居町の衣装屋に頼んだものと判明したためです。姿は見せないが指示を出していたのは、武家にやたら詳しい女だったそうです。世間をあおり事を大きくするのは大崎のやり口で、「だんだんと“悪党討つべし”とは思ってこぬか?」と平蔵は蔦重を見据えますが、蔦重は慌てて顔をそむけます。

そばくれ、と割って入ったのは市川門之助でした。そばを食い終わると、門之助は現在の芝居町の様子を詳しく教えてくれます。控櫓(ひかえやぐら)が、曽我ものが当たったお祝いに町中で派手にお祭り(曽我祭)をしようとしています。蔦重はその話を聞きながら、役者の素顔の似絵を片手に実際の役者の顔を太陽の下で拝むということに、似絵を描いたのが源内という噂を付け足すことを思いつきます。

 

源内が描いたと思わせる役者絵を……いま落ち目の芝居で、勝川春章が亡くなりひどい有り様の役者絵ですが、逆手に取れば何をやっても目立つわけで、蔦重は朋誠堂喜三二や大田南畝、宿屋飯盛らの前で源内が描いた蘭画を披露します。似絵は似顔絵のようなもので、蔦重が目指す役者絵は蘭画に近いわけです。この話、ウケにウケれば芝居に客が戻り、絵も売れます。源内が描いたとなれば、江戸中お祭りです。

参加していた北尾政演は、絵師と戯作者のどちらに入るべきか迷います。そこに滝沢瑣吉が来て、みんなが集まっていることにワクワクします。蔦重は、源内の思い出を語る会だと言い、みの吉が仕入れる書物を選ぶ作業を手伝ってほしいと階下に呼び戻します。秘密裏に進めなければならないこのプロジェクト、つい漏らしてしまいそうだからと瑣吉は外しているのです。

その間、画号を考えていた喜三二は「“しゃらくさい”ってのは、どうかね?」と提案します。しゃらくさいというのはいかにも源内が言いそうな言葉でもあります。他にも“福内鬼外”、“鳩渓”、“風来山人”、“天竺浪人”、“悟道軒”、“貧家銭内”などいろいろ挙げられますが、蔦重は“しゃらくさい”が源内にぴったりだと感じます。そして字も、この世のありのままを移すことが楽しい、“冩樂”と決めます。

蔦重はその案をもって定信に提案します。源内の浄瑠璃は芝居にもなっているし、二代目瀬川菊之丞との仲も江戸っ子の知る話です。写したような役者絵なら勝川流かと定信は指摘し、勝川に寄りすぎないようにと忠告します。蔦重は質素倹約の上、身上半減で資金が不足していると訴え、定信にあしらわれると「そういえばこの仇討ち、奉行所にお届けはお出しを?」とサラリと言ってのけます。

 

蔦重のもとを飛び出した喜多川歌麿ですが、絵の批評を菊麿に尋ねます。西村屋はどんな絵でも「いい」としか言わないので、歌麿もガツンとくるものがないのです。そういう点では蔦重のほうがやりやすかったかもしれません。

その代わり、蔦重らしい“くどさ”は、今は絵師たちが味わうことになります。結局絵師として参加する政演は、久しぶり過ぎて「腕落ちてねえか?」と言われるありさまです。そのうち北尾重政が不貞腐れ、みな心のどこかで歌麿の復帰を望みます。てめえの胸の内にゃ“こんな絵”だってもん浮かんでんのかよ! と重政に指摘されたこともあり、蔦重は夜中にひとりじっくりと考えてみます。

一橋治済は息子である11代将軍家斉に、大奥にもっと女を入れるよう提案します。家斉の世となり6年、その間に産まれたお子はたった4人で、うち2人はまともに育ちもしていません。これは“畑”がよくないと判断せざるを得ません。将軍家の血筋を絶やさないというのが将軍の務めと家斉が答えると、治済はフッと笑います。「清水の家がそろそろ空きそうじゃ。上様には急ぎお励みいただきたく」

さらに治済は老中松平信明と本多忠籌に、大奥にもっと金を入れよと要求します。異国への備えを始めたばかりだと忠籌は難色を示しますが、将軍の子が日本を強くする一番の薬と持論を展開します。諸国を一橋の血脈で染め上げてこそ、謀反の恐れもない安寧の世となる……。「天は健やかなる身体を持つ一橋の血を選ばれた。血脈をもって染め上げよという天のご意思」

ようやく老中たちが治済の気味悪さに気が付き、その扱いに正直困ってしまいます。それを風の便りで聞いた定信ですが、今さら遅いわ、と吐き捨てます。治済と家斉との間にも溝がうっすらでき始め、家斉の子が育たないのは、本来の将軍後継者であった亡き徳川家基の祟りだとうわさが立つほどです。そこに平蔵から火急の知らせが舞い込みます。

お尋ね人・大崎が、突然一橋屋敷を訪問し、仕官を願い出ます。鼠小僧の一件もあり、大事をとって尼寺に身を潜めていた大崎ですが、近ごろ自分を探る気配を感じ取ったのです。高岳、田沼の残党、御三家、葵小僧の毒牙にかかった商家、定信と、探らせている人物はこのあたりだと思っているようです。身を守らねばのう、と治済はニヤリとします。

思い悩んだ挙句、蔦重はいったん“源内風”は置いて、役者の似絵を作るところから始めてみようと、目、鼻、口の形を描きだします。蔦重の中に浮かぶ絵は、かつて十躰の時に歌麿が描き、良かったもののその時は違うと弾いた絵があり、ああいうふうに役者を描ければ面白いという結論に至ったのです。ていは改めて十躰の絵をじっくりと鑑賞します。「……よい出来」

歌麿は本屋にダメ出しを請いますが、本屋はこれで十分だとやっぱり何も言ってくれません。しかし歌麿自身は納得がいかず、納得がいくまで書き直すと提示した絵を持ち帰ってしまいます。本屋たちは、「たかが浮世絵1枚に、どうかしちゃいないかね」と不満がたまっていきます。

一心不乱に絵を描き続け、息詰まると障子を開けて気分転換を図る歌麿ですが、そんな歌麿を訪ねてきたのはていでした。歌麿はていを“蔦屋の女将さん”とよそよそしく呼び、ていは押しかけたことを重々承知の上で、歌麿の前に5枚の絵を並べます。「『歌撰恋之部』5図、全て出来上がりましたので、お納めいただきたく」 しかし歌麿は、差し上げたものなのでと見向きもしません。

ていは食い下がり、これは恋文への蔦重からの返事と説明し、見てやってほしいと頭を下げます。毛割は何度も何度もやり直しさせ、色見も着物の柄もこういうものを考えていたのではないかと想像を働かせ、摺師と大喧嘩の末に出来上がったものです。板元印と名の位置も最後まで悩み、歌麿を立たせるべきところ、自分と歌麿の間に上下をつけたくないと、肩を並べて“ともに作りたい”という思いを表しました。

素晴らしい本屋はあっても、ここまで歌麿のことを考え抜く本屋は、蔦屋以外には二度と現れないとていは見据えます。戻ってやってほしいとていは手をつきますが、「悪いけど、もうこういうのこりごりなんで」と歌麿はそっぽを向いてしまいます。ていは、二人の男の業と情、因果の果てに生み出される絵を見たいというのが本音です。歌麿の冷めた目が、次第に本気になっていきます。

蔦重は重政と対面し、先日の失礼を詫びます。その上で、顔の形をいろいろ書き出した紙を重政に提示します。そこに入ってきたのは、ていと歌麿でした。

 

作:森下 佳子
音楽:ジョン・グラム
語り(九郎助稲荷):綾瀬 はるか
題字:石川 九楊
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[出演]
横浜 流星 (蔦屋重三郎)
染谷 将太 (喜多川歌麿)
橋本 愛 (てい)
桐谷 健太 (大田南畝)
中村 隼人 (長谷川平蔵宣以)
城 桧吏 (徳川家斉)
中川 翼 (みの吉)
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中村 蒼 (次郎兵衛(回想))
六平 直政 (半次郎(回想))

橋本 淳 (北尾重政)
津田 健次郎 (滝沢瑣吉)
井上 芳雄 (重田貞一)
又吉 直樹 (宿屋飯盛)
古川 雄大 (北尾政演)
岡山 天音 (恋川春町(回想))
尾美 としのり (朋誠堂喜三二)

映美 くらら (大崎)
冨永 愛 (高岳)

井上 祐貴 (松平定信)
嶋田 久作 (柴野栗山)
矢島 健一 (本多忠籌)
生田 斗真 (一橋治済)
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原田 泰造 (三浦庄司)
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制作統括:藤並 英樹・石村 将太
ブロデューサー:松田 恭典・影浦 安希子
演出:小谷 高義

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『べらぼう -蔦重栄華乃夢噺-』 第46回「曽我祭の変」

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