« 千里の道も一歩から | トップページ | プレイバック独眼竜政宗・(29)左遷 »

2026年5月24日 (日)

大河ドラマ豊臣兄弟!・(20)本物の平蜘蛛(ひらぐも)

柴田勝家と言い合いになって戦線離脱した羽柴秀吉は、織田信長に釈明するために安土城に出仕します。上杉との戦いは惨敗に終わり、秀吉が帰らなければ大敗を喫することはなかったと睨みつける信長に、秀吉は策を忠告したと弁明します。であれば秀吉が仮に残ったとしても負けていたことになり、秀吉はいてもいなくても同じとなってしまいます。「では死ね」と信長は小姓が持つ刀を秀吉に放り投げます。

金ヶ崎で信長を説得したように、命がけで勝家を止めるなど本当にどうすることもできなかったのか? 今回の大敗は総大将の勝家の責は重いですが、敵の策を見抜きながら逃げ帰った秀吉も同罪です。秀吉について最も重い罪は、信長の命に背いたということです。このようなことは二度と! と秀吉は自分の顔を殴り続けますが、信長は秀吉を突き落とします。「叡山に続きこれで2度目じゃ。もはや許すことはできぬ」

その場で首を刎ねられなかっただけでもマシだと蜂須賀正勝や宮部継潤は冷静です。他の家臣たちも勝家が秀吉の意見を聞いていればと思っていれば味方になってくれると、羽柴長秀は丹羽長秀や明智光秀、果ては勝家とともにまだ北国にいる前田利家にも書状を送って助命嘆願に動きますが、助けてやりたいのはやまやまだが、と歯切れは悪いです。

夫の危機に寧々は居ても立ってもいられず、なからを押しのけて安土城に向かおうとしますが、慶(ちか)がその前を立ちはだかり、無言のまま寧々の懐から短刀を取り上げます。寧々が無茶をしてお手討ちなどになったら、豪姫はどうするのか。それでも、お願い行かせてと懇願する寧々に慶は微笑みかけます。「行くなら……家中みんなで参りましょう」

長秀は、みんなに頼んで秀吉の助命を口添えしてもらっていると、牢の中の秀吉に伝えますが、長秀の嘘を見抜いた秀吉は、誰も助けてくれないのかとお先真っ暗です。そこに信長からお呼びがかかります。廊下に寧々が立っていました。涙を流す秀吉は寧々に詫び、寧々はわざと明るく振る舞います。そして信長の前に出向いた秀吉への沙汰は……。

お待ちくださりませ! と長秀は、信長の前に忠誠を誓う起請文を広げます。ねね(寧々)、なか、ちか(慶)に始まって、家臣たち一人ひとりの名前と血判が揃っていました。“みんなで参りましょう”と慶が言ったのはこういうことで、羽柴家一同の思いを信長に伝えるための策です。女の血判は初めて見たと浅野長吉は感心しますが、殿を思う気持ちは男も女も変わらないわけです。

信長としては、思いのつまった起請文を素足で払いのけます。これを見せられたところで、秀吉への怒りが収まるものではないのです。しかし起請文を提出した面々が天運を呼び寄せたか、またも松永久秀が裏切ったのです。信長は、久秀が最も心を許す秀吉たちに「松永を説き伏せ、再びわしのもとにひざまずかせよ」と命じます。久秀所有の茶器で最も価値のある『平蜘蛛』を差し出すのが帰参の条件です。

 

織田信忠を総大将とする織田軍は、久秀が籠城する大和信貴山城を取り囲みます。城を一気に攻め落とせば、久秀の首を取るのは簡単なのになぜ談判するのだと筒井順慶が腹を立てますが、信長が所望するのは久秀の首ではなく『平蜘蛛』なのです。売れば城の1つや2つ築けるほどの代物で、無理に攻めて茶器ともども自害されれば取り返しがつかない、と荒木村重が助言します。

どちらにしても大和は、信長の決定で順慶のものと確定しているわけで、村重は順慶をなだめますが、そうであればなおさら久秀が談判に応じるとは思えないと光秀は危惧します。一時が過ぎて秀吉と長秀が戻らなければ総攻めを行うと信忠は2人に伝えているようで、タイムリミットは2時間といったところです。村重は、食うなと佐久間信盛に注意されたのに、アワビをムシャと食べます。

「『平蜘蛛』は断じて渡さぬ」と、久秀は2人を見据えます。しかしそれでは話が前に進まず、ハァ、とため息をついた久秀は、素直に『平蜘蛛』を差し出せば大和を返してもらえるのか? と問いかけます。たちまち言葉に詰まる2人で、言いにくそうに「それはできませぬ」と小声です。久秀が順慶に劣っているものとは信長に言わせると“若さ”で、いくらあがいても大和は戻らないのか、と久秀は悲観します。

秀吉は久秀に紀伊を提示してみますが、久秀の望みはあくまでも大和のみです。大和には、かつて吉野に南朝があったころに隠された膨大な金銀財宝が眠っていて、唐や朝鮮から渡来した文物・武具など目のくらむ美しいお宝が……。だから大和は誰にも渡したくないわけです。「と言ったら信じるか? はっはっはっ、戯れ言じゃ! 天下のことは信長に任せる。いくらでも力を貸す。大和さえお許しくださるのなら」

長秀が久秀の出身地について武将たちに尋ねて回りますが、摂津の地侍の出という話も山城国の商人という話も出て来て、正直どれが本当なのか分かりません。久秀は側室の子で蔑まれて育ち、本物になると決意して成長しました。三好長慶だけは自分を“まがいもの扱い”せず、長慶から任されたのが大和だったのです。この大和を治めることは、自分が本物であることの証だと強い思いがあるのです。「と言ったら信じるか?」

信じまする、と見据える長秀は、それでも死んでしまえばおしまいだと説得し続けます。秀吉も、信長は久秀を許す理由が欲しかっただけで、『平蜘蛛』はそのきっかけに過ぎないとつぶやきます。久秀は秀吉と長秀に2つの『平蜘蛛』を見せ、どちらかが本物でどちらかが偽物、2人にまことを見極める目があるかどうか、勝負しようと持ち掛けます。

久秀が負けたら秀吉たちの言うとおりにするとあって、どちらが本物の『平蜘蛛』かを真剣に吟味します。ちなみに秀吉と長秀のファーストインプレッションは、秀吉は右の、長秀は左の『平蜘蛛』でした。床に這いつくばって『平蜘蛛』を間近に見た長秀は、「分かったぞ……まがいものの『平蜘蛛』は」と、左の『平蜘蛛』を床に叩きつけようと高く持ち上げます。

やめろ! という久秀の叫びにニヤリとした長秀は、右の『平蜘蛛』を高く持ち上げて床に叩きつけます。人にはまがいものはおらず、みなが本物だと得意げに語ります。たかが百姓あがりがぬかしおって……とつぶやく久秀は、お前たちこそ本物の大馬鹿者じゃ! と笑い、支度するために座を離れます。命の危険があっただけに、長秀と秀吉は目に涙をいっぱい溜めて喜び合います。

その時、奥から大きな爆発音がしました。あっけにとられているうち、2度目の爆発です。いかん! と音のする方へ駆けつけると、久秀が炎に囲まれて座っていました。「先に逝って待っていると信長めに伝えよ」と不気味に笑う久秀を、必死に止めようとする2人ですが、あの『平蜘蛛』は2つとも偽物だと打ち明けられます。久秀でさえ本物を手に入れることができなかったわけです。

千秋万歳万々歳──と謡う久秀は、たくさんの爆発弾を火の中に投じます。大和信貴山城は爆発し、秀吉と長秀は残った『平蜘蛛』を手に寸でのところで城を脱出します。

 

持ち帰った『平蜘蛛』を信長に披露する秀吉と長秀ですが、正直に“それは『平蜘蛛』ではござりませぬ”と告白します。信長は大して驚かず、その偽『平蜘蛛』はお前たちにくれてやる、と見向きもしません。ただ、2人が役目を果たしたことは認めると、北国での戦線離脱の件は水に流すと約束します。信長は、休んでいる暇(いとま)はないと、播磨行きを命じます。

もしかしたら。すぐに処刑できたものを、秀吉の身柄を信長が安土でわざわざ預かったのは、久秀が反旗を翻すを起こすのを待っていたのではないか、と長秀は考えます。秀吉を許す口実を作るために、久秀に反逆させてしまえば、信長にとっては久秀も『平蜘蛛』も、どうでもよかったのかもしれない……。秀吉は、本当のことはどうか分からんが、と断った上で「ほうじゃとええの」と微笑みます。

信長がじっと見つめるのは、本物の『平蜘蛛』でした。市も、本物の名器はいつ見ても美しいとつぶやきます。夕日に照らされて、本物の『平蜘蛛』は高級そうに、でも控えめに光っていました。

長秀が何気なく、偽『平蜘蛛』のふたを開けて見ると、古びた絵図が出てきました。久秀が言っていた、南朝が残した財宝にまつわる絵図です。「何が本物で何が偽物かなど、そんなものはどうでもいい!」「たとえ戯言であっても、かような夢があっていい。そうは思わぬか?」という久秀の言葉が脳裏を駆け巡ります。長秀は、いつの日かわしらで確かめよう、と約束します。「じゃが、まずは播磨じゃ」

作:八津 弘幸
音楽:木村 秀彬
語り:安藤 サクラ
脚本協力:片桐 正博
──────────
[出演]
仲野 太賀 (羽柴小一郎長秀)

池松 壮亮 (羽柴筑前守秀吉)
吉岡 里帆 (慶)
浜辺 美波 (寧々)
坂井 真紀 (なか)
宮澤 エマ (とも)
倉沢 杏菜 (あさひ)
菅原 大吉 (佐久間信盛)
池田 鉄洋 (丹羽長秀)
──────────
大東 駿介 (前田利家)
トータス 松本 (荒木村重)
要 潤 (明智光秀)
──────────
竹中 直人 (松永久秀)
山口 馬木也 (柴田勝家)
宮﨑 あおい (市)
小栗 旬 (織田信長)
──────────
制作統括:松川 博敬・堀内 裕介
プロデューサー:高橋 優香子・吉岡 和彦
演出:石川 慎一郎

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』 第21回「風雲! 竹田城」

|

« 千里の道も一歩から | トップページ | プレイバック独眼竜政宗・(29)左遷 »

NHK大河2026・豊臣兄弟!」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 千里の道も一歩から | トップページ | プレイバック独眼竜政宗・(29)左遷 »