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2026年5月 6日 (水)

プレイバック琉球の風 -DRAGON SPIRIT-・(02)遥かなる故国

天正18(1590)年、明国・福州近くの村──。大八車に載せられた野菜などの重い荷物を、8歳の啓泰が引き、5歳の啓山が後ろから押して坂道を上っています。それを福州の市場に届け、陳列まで手伝いますが、啓山には籠が大きすぎて、よろめいた拍子に店の日除けの支柱に当ててしまい、店の陳列がめちゃめちゃになってしまいます。ヘマばっかりしやがって! と店主に殴られる啓山を、啓泰がかばいます。

それでも孤児の兄弟は食っていかねばならず、明の言葉も聞いて話せるまでになりました。市場の通りで大道芸を披露しますが、見物していた男にいたずらされて失敗に終わります。客たちは方々に散って行き、当然ながら金は集まりませんが、店先から見ていた娘がやって来て、小銭を器に入れます。啓山は喜んで兄に見せ、啓泰も大声で礼を言います。「謝謝!」

今や兄弟の望みは、福建の海から琉球の方角を見て、琉球に帰ることでした。福州は各地からの船が頻繁に出入りするため、その中から琉球の船を探して乗るのです。ただ、琉球に帰っても父も母もいません。兄弟の脳裏に、2年前、盗賊に襲われた時のことが鮮明に思い出されます。泣き出す啓山を啓山は必死に励まし、ほんのわずかな食料を啓山に分け与えます。

琉球の那覇では、病がちだった謝名親方の妻・思真境が亡くなり、野辺送りが行われていました。参列者の中には、名護親方や巴知羅(はちろう)、ウシの姿もあります。その帰り、謝名は巴知羅から楊 邦義一家の消息の報告を聞きますが、父親の邦義以外、妻子の行方は不明のままです。邦義は海賊に捕らえられ、医者なので薩摩に高く売られたようです。

薩摩では、当主島津義久が邦義のマッサージを受けています。世間では豊臣秀吉が、小田原の北条氏直征伐に徳川家康を先陣に据え、総勢21万の軍勢を費やしています。邦義のマッサージに苦悶の表情を浮かべる義久ですが、妻子を殺された恨みからか、手加減が過ぎるような気もしますが、義久が海賊に命じたのではなく、義久は海賊から邦義の身柄を法外に高い金額で買い取っただけです。

邦義は薩摩で新しい家庭を築いていました。妻の富は島津家臣清水半蔵の娘、美矢というひとり娘もいます。半蔵が家に来ていて、秀吉の琉球侵攻への危惧を琉球に伝え、その前に薩摩の配下に入るよう進言する書状を送れと勧めますが、過去は忘れたと邦義はつぶやきます。朝鮮出兵も視野に入れる秀吉が明国に出兵したら、親戚づきあいの琉球も火の粉をかぶる危険性があるのです。

大和人(やまとんちゅ)は明国の大きさを知らなすぎると批判的な邦義は、秀吉と明国が戦になっても、琉球は自由な国だから明国とも薩摩とも手を取らないと遠慮がちに半蔵に答えます。酒の相手をしていた富は、困惑する邦義の様子を見て、半蔵に「この家で琉球の話はやめてください」とたしなめます。

 

天正19(1591)年。尚寧王、弟の尚宏も臨席しての会議で、秀吉から尚寧に宛てた書状の内容が披露されます。全国統一を果たし、どんな大国の当主も頭を下げに来るのに、琉球はなぜ挨拶にも来ないのか。来春の朝鮮出兵までに頭を下げに来なければ、琉球に大軍を送って琉球民を皆殺しにし、琉球を支配する……。

琉球王国は500年の歴史を持つ独立の国であり、大和人が明国に攻め込むのは狂気の沙汰という声が多数を占めます。その中で名護は、秀吉は海を渡る軍船の建造を始めていると主張し、謝名も出兵は単なる冗談とも思えず、秀吉が亀井に琉球を与えるとの逸話とともに、亀井に与えた扇を模写したものを尚寧に提出します。尚寧は扇を見て悔しさに震えます。

──この少女は、前の国王・尚永さまのご長女で、今は尚寧王のお后であります。もちろん7歳になったばかりですから、今はまだお名前だけのお后でした。

尚寧は、秀吉に服従した覚えはなく、明国には長年にわたる恩顧もあり、秀吉や薩摩が今後どのような無理難題を言ってくるかと思うと、表情も暗くなります。話を聞いていた尚永王妃は、尚寧から“母上”と形式的に呼ばれるのが寂しく、名前で呼んでほしいと懇願します。「真満金(まみつかね)さま……」「……御主加那志前(うしゅがなしーめー)」

薩摩の家でくつろぐ邦義の前に巴知羅が現れます。琉球の妻子を殺した海賊の文太を恨む邦義は、海賊仲間の巴知羅の首を絞めます。巴知羅の懐から謝名の書状が落ち、邦義は灯明に近づいて目を通します。謝名は最近の秀吉の動きが手に取るように分かっていて、京都に特別な知り合いでもいるのかと巴知羅に尋ねます。「なるほど。それでか、商人風の男が……」「商人風?」

──京都からの手紙には、関白秀吉の明国侵略に関する具体的な計画が、事細かに報告されていたのでした。

その内容はすぐに謝名から尚寧と名護に報告されますが、書状には、侵略という機密事項が書いているにも関わらず、差出人の名がありません。そのことを問い詰める名護に、謝名は“琉球を愛するお方”としか申し上げられないとオブラートに包みます。尚寧は明国万暦帝に知らせるため、謝名を明へ派遣します。

福州の港で啓泰と啓山は琉球の船を発見し、どうにか乗り込みます。その船には高翔がルソンから勝手に持ち出した甘藷が積んであり、腹を空かせた兄弟はその甘藷を隠れて食べてしまいます。水夫長が兄弟を発見し、甲板に連れ出しますが、その顔を見た震天風と高翔は、兄弟が啓泰と啓山であることに気づきます。「芋がない! お前たち食べたのか!? なんてことを……この芋は琉球の人の命を救う芋なんだぞ!」

福建省・巡撫で、謝名は尚寧からの親書を役人に預け、万暦帝にお渡しをするよう依頼します。どこかのんびり屋の役人に、火急を要すると催促する謝名ですが、相手は相変わらずのらりくらりとして、さすがに謝名は不安を覚えます。

──尚寧王の書状は、北京の万暦帝に無事届けられましたが、秀吉軍の侵略などは誰一人信じる者はおりませんでした。それほど明国は大きく、日本は小さい国でありました。

謝名と高翔は邦義と真鶴が暮らしていた家を訪れます。文太たちが襲撃した当時のままで、ほこりまみれです。父親が生きているだけでも兄弟は孤児(みなしご)にならずにすむ、と高翔はつぶやきますが、謝名は母親も生きていることを明かします。徳川家康の側近・茶屋四郎次郎に助けられて、今は京都で暮らしているのです。ちなみに真鶴が生きていることは、新しい家族を持つ邦義には伝えていません。

震天風に連れられて、その家に啓泰と啓山が現れます。謝名は兄弟をかたく抱きしめ、父と母が生きていたらと涙をこぼしますが、事実を知っている高翔は思わず目を背けます。謝名は兄弟に琉球へ帰ろうと誘い、後日、兄弟の姿は再び琉球の交易船の中にありました。「この泥海が、やがて青い海に変わる。海が青くなると、その向こうが琉球だ」

 

脚本:山田 信夫
テーマ曲:谷村 新司 「階(きざはし)」
語り:北林 谷栄
音楽:長生 淳
題字:水谷 勇夫
原作:陳 舜臣
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[出演]
萩原 健一 (楊 邦義)
小柳 ルミ子 (真鶴)
ショー・コスギ (震天風)
間 寛平 (巴知羅)
坂本 スミ子 (ウシ)
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橋爪 功 (名護親方)
津嘉山 正種 (浦添親方)
永島 暎子 (清水 富)
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寺田 農 (清水半蔵)
室田 日出男 (島津義久)
三木 のり平 (高翔)

沢田 研二 (尚寧王)
富司 純子 (尚永王妃)
江守 徹 (謝名親方)
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制作:音成 正人
制作著作:NHK
共同制作:NHKエンタープライズ
制作統括:高沢 裕之
制作協力:NHKアート
    :NHKテクニカルサービス
演出:吉村 芳之

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『琉球の風 -DRAGON SPIRIT-』
第3回「父子の再会」

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