大河ドラマ豊臣兄弟!・(18)羽柴兄弟!
足利義昭を追放し、朝倉義景・浅井長政との戦いにも勝利した織田信長は、長篠の戦いで宿敵武田勝頼を破り、その勢力を拡大していきました。近江坂本城を拠点とする明智光秀、若狭の丹羽長秀、北伊勢の滝川一益、そして信長に反旗を翻した松永久秀に取って代わり、大和を任された筒井順慶と、セッツという畿内の重要地を支配した荒木村重。新たな武将たちが頭角を現し、織田軍が一層強固になる中──。
その名を「羽柴筑前守秀吉」と変え、織田家の家老となった木下藤吉郎、そして小一郎も名字を羽柴と改め「羽柴小一郎長秀」と名乗っていました。天正3(1575)年、長政の領地であった北近江を与えられた秀吉は、ここに長浜城を築きます。信長に仕えておよそ20年、ついに秀吉は城持ち大名となったのです。長浜城から城下町を眺め、笑いが止まらない秀吉と長秀です。
長浜城下にはすでに市が立ち、活気があふれていました。秀吉は年貢や役を免除するという決定をしたのは自分だと胸を張り、それを提案したのは自分だと長秀も負けじと胸を張ります。しかし内政に目を向けると、長浜に人々が集まったぶんだけ民の訴えもたくさん増え、応対する浅野長勝も大わらわです。漁場の境界、盗人捕縛の依頼など、我先にと訴え出ているのです。
「お前のせいじゃぞ!」と秀吉は叫び、年貢や役を免除するという決定をしたからだと、今度は長秀と罪のなすり付け合いです。そんな兄弟げんかも、浅野長勝は微笑ましく眺めています。寧々もよい夫を持ったと長勝は涙ぐみますが、若い者に負けず、織田家羽柴家のためにまだまだ働くつもりです。それからほどなくして長勝はこの世を去り、長秀は葬儀後に出陣中の兄に代わって浅野家に弔問に訪れます。
同じように弔問に訪れた市松こと福島正則と加藤虎之介(後の清正)と久々の再会です。虎之介も来年元服予定で、長秀はこれまで養育してきた寧々を労わります。寧々(と妹のやや)は浅野家の養女にあたり、自分を慈しんで育ててもらった経験があるため、正則と虎之介に対しても同じ思いで育ててきたわけです。
長政の死から2年の月日が流れ、守山城に預けられていた市と3人の娘たちは、信長のいる岐阜城で暮らすこととなりました。信長と対面した茶々(後の淀殿)は、内心怖いと思いながらも胸に手をやり、「怖くありませぬ! 茶々はそんな弱虫ではありませぬ」と強がります。茶々の懐には、小谷落城間近の長政が作ってくれたお守りがあったのです。信長は思わず苦笑いです。
町の名主から、傷みの激しい橋の修繕を依頼された長秀ですが、追う民と逃げる盗人の場面に出くわします。盗人の男は橋を渡ろうとして脆いのに気づき、引き返してきました。実は男が盗人というわけではなく、本当の盗人を斬り殺した浪人でした。男は盗人の血がべっとりついた巾着を所有者に返しますが、所有者は汚れた銭などもういらん、と立ち去ります。
銭を拾い上げた男は城勤めの長秀に仕官を願い出ますが、長秀はかつて戦場で見かけたことがあり、浅井の元家臣と見破ります。男はそれを隠そうとせず、小谷落城後は阿閉(あつじ)貞征、磯野員昌(かずまさ)らに仕えてきたことを明かします。男は、長秀に頼んだところで埒が明かぬと去って行きます。藤堂高虎と名乗る男は、長秀の目に強烈に焼き付きます。
なかたちは商人が持参した反物を選んでいました。地味な柄を選んだ慶に、男に貢ぐ気じゃないでしょうねとともは冗談を言いますが、ちょうど屋敷に帰ってきた長秀に、何かと反抗的な態度の慶が“大名の弟の女房にふさわしい”のかと怒りに震えます。「この反物は私の知るものと比べて色も肌触りも劣る安物です。そのようなことも見抜けぬくせに、大名家が聞いて呆れますわ」
なかは、なぜここまで強情なのかとため息をつきます。あさひが侍女たちから聞いた話では、慶の身体には刀で斬られた傷あとがあるらしいのです。長秀は初めて聞く話で驚いていると、ともは「あんたこのままでいいの?」と本気で心配します。
越前一向一揆の討伐を終えた秀吉が長浜に帰ってきました。勝ち戦ですが手柄は全部ほかに持って行かれて、秀吉はがっかりします。竹中半兵衛は、この城に足りないものとして“人”を挙げ、子飼いの家臣を増やすよう進言します。半兵衛のような者はなかなかいないと秀吉はため息をつきますが、半兵衛は自分のような者ではなく、もっと若い才を入れれば、羽柴家の行く末を支えてくれると助言します。
有望な家臣選びが始まります。百姓出身の秀吉は、身分にかかわりなく等しく吟味し秀でた才ある者を選ぶつもりです。第一関門は蜂須賀正勝相手に槍勝負で、名乗り出た3人はあっけなく倒され、恐れおののいた志願者は半数以上が逃げ出します。高虎は仇を取ると暴れ出しますが、実はその3人は正勝の配下で、みなうつぶせで倒れたことから、石田三成は“ヤラセ”と見抜いていました。
今度指示に従わなかったら、次は容赦なく落とすと警告する長秀に、あの時の! と気づく高虎ですが、長秀が城主秀吉の弟と知り絶句します。その気の短さが高虎の一番の敵だと長秀に指摘され、思わず感情をむき出しにする高虎ですが、長秀にたちまち指摘されます。「ほら! それじゃ!」 秀吉も、せいぜいがんばれと高虎の額をペチンと叩きます。
第二関門は“積み上げた俵から、100人が籠城する場合何日もつか”を問う計算です。ほとんどの者たちが「十二」と回答する中で、三成だけは「20日は持ちまする。粥にすれば量が増して」と涼しい顔で答えます。そして「1日も持たぬわ」と答える高虎は、藁に炭がついていて気になったからと、俵の中から草を取り出します。出題者の意図としてそんなことは聞いていないのですが、高虎はドヤ顔です。
第三関門は座禅です。宮部継潤が「よしと言うまでみだりに動くな」と命じた直後、煙に巻かれる志願者たちです。これは仕掛けだとみな察知しますが、『沙汰を守り動かない』or『その場に応じて己の判断で動く』のどちらを試されているのか、考えます。火事だと大騒ぎを始めた高虎は、志願者のほとんどを外に避難させます。三成は高虎を、やはりただのバカかと軽蔑します。
本堂の中に入った片桐且元は、御本尊と経典を持ち出して継潤を感心させます。再び禅堂の中に入っていた高虎は、動かない三成を抱えて外に飛び出し、医者を呼ぶよう求めます。三成は継潤に言われてそうしていただけですが、火事を理由にしようとして、火事が起きていないことに跡から気づく高虎です。鋭いのかバカなのか、豪胆なのか思慮深いのか、秀吉の興味は高虎に注がれます。
秀吉よりもちょっとだけ関わりのある長秀は、自分が思ったことを口にして思った通りに動き、それだけ素早く知恵が回る証拠だとして、“バカはバカでもバカ正直”と高評価です。それだけに高虎の考えに追いつけず周囲は腹立たしくもなり、それが主君を頻繁に変える理由と察します。「奴のやっとることは間違うてはおらぬ。正しいことをやろうとして皆に分かってもらえんかった男を、わしはよう知っとるからの」
最終関門には、高虎、三成、平野長泰、且元の4人が残ります。4人のうち採用は3人ですが、うまく相手を調略せよ、と秀吉は志願者に一任します。4人の話し合いで、且元は暮らしがひっ迫しているし、三成も身体を壊した兄に代わって自分が出世しなければと、おのおの背負っている事情を打ち明けますが、それを言い出しても始まりません。
長泰は、最も羽柴家に役に立たないのは誰かを考えるべきとして、高虎の名を挙げます。高虎自身もいろいろやらかしてしまっているし、「これが一番、まるく収まるということじゃ」と納得するしかありません。しかし三成は、禅堂から救い出してくれた高虎に恩を感じ、自分に考えがある、と言い出します。
再び秀吉の前に揃い、三成は自分の考えを回答します。禄は自分と高虎で1人分でいいので4人まとめて召し抱えを──。「お殿さまはこの最後の関で、相手を調略せよと申されました。それゆえ私は今、お殿さまを調略しているのでござります」 これは一本取られたの、と長秀が微笑み、正勝や継潤も頷きます。
秀吉の返答は、三成、長泰、且元を家臣として召し抱える、でした。祝辞を述べた高虎は立ち去ろうとしますが、秀吉はさらに続けます。「藤堂高虎、そなたは小一郎の家臣となれ。どうじゃ小一郎?」
長秀は高虎を自身の屋敷に案内します。高虎が町で商人たちに追われていた時、橋が壊れそうだと後戻りしました。1人なら渡れたであろうその橋も、追いかけてきた商人たちで橋は壊れ、水の中に放り出されてしまう……。高虎は姉川の戦いのとき、友が川へ逃げて溺れ死んだ経験があり、あの眺めは二度と見たくなかったと打ち明けます。
気は短いが、いざという時、人を助けることができる男。長秀はあの“橋の場面”から、高虎を家臣にしたいと思っていたわけです。高虎は土下座して、身命を賭してお仕えすると長秀に誓います。
新しい家臣たちも加わり、大宴会です。国を治めるのは容易いことではなく、まだまだこれからだと長秀は気合いを入れ直しますが、“あんたらならできる”と太鼓判を押すのはなかです。秀吉も長秀もこれまでずっと家臣側にいたわけで、秀吉らがいてほしかったと思うようなお大名になりなさいと諭します。秀吉は「小一郎、みなでよき夢を見よう」と、家臣たちの踊りの輪の中に入っていきます。
作:八津 弘幸
音楽:木村 秀彬
語り:安藤 サクラ
脚本協力:片桐 正博
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[出演]
仲野 太賀 (羽柴小一郎長秀)
池松 壮亮 (羽柴筑前守秀吉)
吉岡 里帆 (慶)
浜辺 美波 (寧々)
坂井 真紀 (なか)
宮澤 エマ (とも)
倉沢 杏菜 (あさひ)
宮川 一朗太 (浅野長勝)
森口 瑤子 (ふく)
ドンペイ (宮部継潤)
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菅田 将暉 (竹中半兵衛)
トータス 松本 (荒木村重)
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竹中 直人 (松永久秀)
宮﨑 あおい (市)
小栗 旬 (織田信長)
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制作統括:松川 博敬・堀内 裕介
プロデューサー:高橋 優香子・国友 茜
演出:田中 正
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』 第19回「過去からの刺客」
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