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2026年5月17日 (日)

大河ドラマ豊臣兄弟!・(19)過去からの刺客

織田信長の前に、三男織田信孝、嫡男織田信忠、次男織田信澄が並びます。甲斐武田の岩村城攻めを勝利で飾ったばかりの信忠に、信長は褒美として家督を与えます。これには信忠本人のみならず、家臣たちも動揺が広がりますが、家督以外にもこの城も、尾張と美濃のこともすべて信忠に譲るというのです。信長自身は「そろそろ新しい景色が見とうなった」と、安土へ移ることにします。

天正4(1576)年1月、信長は琵琶湖東部の安土山に、地上6階建ての巨大な城を作り始めます。水陸共に交通の要衝地であり、天下統一を見据えた信長の象徴となる城でした。羽柴長秀の家来となったばかりの藤堂高虎は、石垣の作り方で人夫たちと衝突し追い出されてしまいますが、兵が城を守るのではなく、兵たちを守ってくれるよい城を作らねばと長秀は諭します。

子に恵まれなかった秀吉と寧々は、信長の勧めもあって、利家とまつの四女豪姫を養女として迎えます。いずれ成長した豪姫によい婿が来てくれれば羽柴家は安泰と笑う長秀ですが、子はいくらおってもいいんだから! とともに尻を叩かれます。しかし慶(ちか)は子が嫌いと言っていたし、子作りは無理そうです。そこに宮部継潤が、信長からの出陣の命が下ったと知らせに来ます。

天正5(1577)年、織田軍は能登国七尾城からの救援の催促を受けて、柴田勝家を総大将とする4万の軍勢を差し向けます。迎え撃つのは越後の龍・上杉謙信です。しかし七尾城はすでに敵の手に落ち、援軍の依頼も罠かもしれず、撤退を主張する秀吉と、七尾城を見捨てたくない勝家がつかみ合いの大ゲンカです。「成り上がり者に先を越されるのが恐ろしいのでござるか」と藤吉郎は煽り、勝家にぶん殴られます。

長秀に諭されたものの、自分は絶対に間違っていないと信じている高虎は、そもそもなぜ城作りに駆り出されるのかと不満を鬱積させますが、市に出て偶然、慶が素性の知れない侍と密会している現場を目撃してしまいました。知っておる……とつぶやく長秀は庭に出て、チクショー! と叫ぶほど悔しい思いはありますが、「まぁいろいろあるのじゃ」とかなり自分の気持ちを押し殺して冷静でいようとします。

後を追った時に気づかれ、逃げる身のこなしから“どこかの国の間者”ではないかと高虎は疑っていますが、そんな悶々とした気持ちを抱えて屋敷で2人過ごすのも居心地が悪いです。さんざん迷った挙句、勇気を振り絞って男の素性を話せと長秀は言いますが、やきもちですかと慶に軽くあしらわれ、もう会わないからこれ以上の詮索はお許しを、と言って部屋を出ていかれてしまいます。

 

翌朝、慶の姿はどこにもありませんでした。そこに村川竹之助という、何度か見かけたことがある侍が長秀を訪ねてきて、慶さまをお助けくださいと頭を下げます。その嘆願を受けて長秀たちは、近江と美濃の国境、長浜から歩いて半日ほどのとある村に向かいます。村人が山に柿を取りに行くと誘えば、子どもたちがわいわい向かっていく中で、自分は侍の子だから一緒には遊ばないという男の子がいました。

竹之助はその与一郎を“若”と呼び、単なる男の子ではなさそうです。突然現れて自己紹介した長秀のことも、寺で教育を受けているからか「羽柴……近江の?」とよく知っていて、長秀も舌を巻きます。しかし織田の者とは話さないという思いがあるようで、さっきまで笑顔で応対していたのに、プイッと顔を背けて行ってしまいます。やはりよう似ておる、と長秀は慶のことが頭をよぎります。

与一郎は慶の前夫・堀池頼広の嫡男で、頼広亡き今は祖父母が宝久寺村で養育しています。織田に堀池家をつぶされ、百性となった祖父頼昌は、織田に寝返った安藤守就の娘の慶を決して許さず、堀池家を追い出して与一郎と引き離したのでした。だから慶は、竹之助を通じて与一郎を遠くから見守り続けていたわけです。慶のこと何も分かっとらんかった、と長秀はため息をつきます。

長秀と高虎は頼昌の家を訪ねます。頼昌の後方に飾られている頼広着用の鎧に長秀は関心が向きますが、怨念で呪い殺されぬうちに帰るよう促されます。長秀は与一郎を養子に欲しいと言い出し、頼昌と絹の猛反発を受けます。いったん竹之助の家に引き下がった長秀たちですが、そこに慶が飛び込んできました。「与一郎を養子にじゃと!? 誰がそんなことを頼んだ!」

夜、焚火を挟んで長秀と慶が向き合います。直を亡くして死のうと思っていた長秀は、慶が頼広を亡くした時になぜ死ななかったのか疑問でしたが、与一郎という存在が慶を生に向かわせたと理解します。これまで気づかなかったことを詫び、夫婦なんだからもっと自分を頼ってほしいと言葉をかけます。「偉そうに……私は……与一郎と一緒にいたい……与一郎を……抱きしめとうございます」

 

翌朝、再び堀池家に向かう長秀に、慶もついていこうとしますが、古傷は癒えても心は覚えておるものと止めます。慶の左肩の古傷は、与一郎を抱き上げて堀池家から出ようとする慶を、頼昌が背後から袈裟斬りしたのです。ひどいことをしやがる、と高虎は眉間にしわを寄せますが、向こうにとっても与一郎は宝なのだと、長秀は理解を示します。「だが必ずや説き伏せて参る」

頼昌と絹が畑仕事に出ている間も、与一郎は弓の稽古を続けますが、一向に上達しません。長秀は織田の武将を殺そうと思って的を狙うから、身体に力が入ってしまうのだと、柿の実の枝のところを狙えと助言します。適度に力が抜けた与一郎が放った矢は見事に的に的中します。人を狙うのが苦手なのは、きっと与一郎が優しいからだと微笑みかけます。そこに頼昌と絹が作業から帰ってきました。

後から慶と竹之助も合流し、一家は久々に再会します。慶にすればちょくちょく村に戻って来ては与一郎の、そして頼昌と絹の姿を見ていたので、久々というわけでもありません。慶はこれまで与一郎を育ててくれた礼を述べ、小一郎を渡してくれなくてもいいから、恨みを晴らさせるようなことだけはやめてほしいと訴えます。与一郎には憎しみだけで生きる辛い思いをさせたくないわけです。

もしそれで気持ちが済まなかったらお手討ちを、と頭を下げる慶に、頼昌は頼広の刀を手にしますが、与一郎が止めに入り絹は刀を下ろさせます。慶を斬った時から頼昌は刀を抜けなくなったと絹は打ち明け、この人もずっと罰を受けてきたと釈明します。侍には戻れないと頼広に詫びる頼昌ですが、絹が知っている頼広はいつも優しく笑っていたと涙を流します。それには慶も同意です。

「おじいに教えてもらった弓で、うまい実をいっぱい採りたい。そんでそれを、母上に食べさせとうござりまする。おじいやおばあにも」 与一郎の言葉を受けて、頼昌は与一郎の決断を受け入れ長秀に頭を下げます。長秀も、与一郎を頼広のような立派な武将に必ず育てることを約束します。結局は頼昌と絹、そして竹之助がこの村に残ることになり、慶は与一郎と手をつないで長秀と長浜へ帰ることになりました。

 

庭の池で優雅に泳ぐ亀と遊んでいる与一郎ですが、そっと寄り添う慶をじっと見つめていると、やはり似ているなあと感じます。長秀の思いとしては、早く仲間入りしたいというところですが、血はつながっていなくても、ずっと一緒にいれば似てくると与一郎に教えます。そこにやって来た加藤清正と福島正則が、与一郎を釣りに誘います。「行ってまいります、母上……父上」

与一郎が去ってから、長秀は急に真顔になります。長秀が慶に約束してほしいこと、誰かを守るためであっても自らの命と引き換えにすることは言わないでくれ──。はい、小一郎さん、と初めて名前を呼ぶ慶は、長秀の手をとって自らの胸に当て「この命、あなたにお預けいたします」と見つめます。ハハッと笑う長秀ですが、一瞬うつむいて、見上げた時には涙で顔がグシャグシャになっていました。小一郎は慶を抱き寄せます。「……ありがとう」

秀吉が帰ってきました。思ったより早くの帰参で驚く長秀ですが、秀吉にしては珍しく無言です。聞けば帰ってきたのは羽柴軍だけで、勝家と言い合いになったと知った長秀は、勝手に戻ってきたことが信長に知れたらと危惧します。「分かっておるわ! 織田家を守るには、こうするよりほかになかったのじゃ!」と秀吉は声を荒げます。

作:八津 弘幸
音楽:木村 秀彬
語り:安藤 サクラ
脚本協力:片桐 正博
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[出演]
仲野 太賀 (羽柴小一郎長秀)

池松 壮亮 (羽柴筑前守秀吉)
吉岡 里帆 (慶)
浜辺 美波 (寧々)
坂井 真紀 (なか)
宮澤 エマ (とも)
倉沢 杏菜 (あさひ)
菅原 大吉 (佐久間信盛)
池田 鉄洋 (丹羽長秀)
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菅田 将暉 (竹中半兵衛)
トータス 松本 (荒木村重)
大東 駿介 (前田利家)
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奥田 瑛二 (堀池頼昌)
麻生 祐未 (絹)
山口 馬木也 (柴田勝家)
小栗 旬 (織田信長)
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制作統括:松川 博敬・堀内 裕介
プロデューサー:高橋 優香子・舟橋 哲男
演出:渡邊 良雄

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』 第20回「本物の平蜘蛛」

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