プレイバック琉球の風 -DRAGON SPIRIT-・(03)父子の再会
天正19(1591)年、明国で発見した啓泰・啓山兄弟を連れて、琉球の進貢船が那覇港に戻って来ました。子どもたちは兄弟だけではなく、マカオの海でイスパニアの船に襲われて両親を失った阿紀や羽儀(うぎ)、奇羅波丸(きらはまる)もいます。震天風の姿におばぁ(ウシ)は抱きついてキスしようとしますが、戸のところで子どもたちがジーッと見ています。事情を知ったウシは子どもたちを招き入れ、飯を食わせます。
外では爆竹が鳴り響き、盆のお祭りで琉球人が踊って楽し気です。巴知羅(はちろう)も自己流で踊りますが、そんな巴知羅を押しのけて通り過ぎる賊がいました。先頭で風を切って歩く男が振り向くと、文太です。一瞬たじろぐ巴知羅にニヤリとした文太は、そのまま行ってしまいます。「待たんか! お前に用があるんじゃ」と巴知羅は追いかけますが、踊りの人垣に阻まれて進むことができません。
王家の菩提寺・円覚寺では、しつらえた舞台で名護親方が舞っています。寺の石垣に上って舞を見る啓泰と啓山ですが、羽儀も見たいと石垣を上ろうとして苦労しています。妹と代わってやれ! と奇羅波丸は啓泰を引きずり下ろし、武闘の構えです。慌てて阿紀が止めても聞かず、見かねたケンは飛び蹴りでつるしてあった甕を蹴り割り、啓泰らは驚きます。啓山は羽儀の手を掴んで石垣を上らせてあげます。
薩摩では妻子の墓参りを済ませた楊 邦義が登城します。関白豊臣秀吉が明国出兵の軍役15,000人を命じてきたのです。出陣は明年3月1日、全21軍団30万人……。成り上がりもとうとう頭がボケたらしい と島津義久は呆れますが、義久の治療に当たる邦義を、朝鮮明国の前に琉球を攻めるかもしれないと見据えます。秀吉の首を取りたければ薩摩と琉球が手を結び、琉球が明国に話をつければいいのです。
──薩摩の島津義久から尚寧王に対し、緊急の書状が届いたため、重臣たちに登城の呼び出しがかかったのでした。要するに秀吉の朝鮮明国侵略を手伝うために、7,000人分の食料10ヶ月分、および肥前名護屋城を普請するための金を出せと言っているのです。つまり薩摩は、己に命じられた15,000人の軍役の半分を琉球王国に押し付けてきたというわけです。
「我が琉球は独立の国である。何ゆえ薩摩が我が国に軍役を押し付けてくるのか。これではまるで属国扱いではないか!」と尚寧は激怒します。琉球は薩摩を“隣国の友人”としてもてなし、礼を失したことなど一度もなく、ましてや薩摩の風下に立ったことすらありません。尚寧は薩摩に押し付けられた食料と賦役は断るつもりです。
発言の機会がなかった謝名親方に、尚寧は意見を求めます。謝名は、琉球に知らせろと清水半蔵に命じられた邦義からの情報を持っていて、義久が琉球と明国を誘って秀吉の寝首を掻く考えであることを尚寧に報告します。家臣が主君を裏切ることに尚寧は驚きですが、大和人(やまとんちゅー)にとっては日常茶飯事で、明国もそんな誘いに乗るわけがなく、謝名は薩摩からの申し出は無視しています。
尚寧は真銭金を 祖先の熱い思いが記される「万国津梁の鐘」の前に連れていきます。琉球は南の海にある土地で、明国とは親子のような、日本とは唇と歯のような寄り添う間柄にある……。浮かない表情の尚寧は、琉球はひたすら平和を望んでいるのに、秀吉や義久は欲望を燃えたぎらせて琉球に無理難題を押し付けてくると尚永王妃に愚痴をこぼします。尚永王妃は聞得大君(きこえおおきみ)に会うことを勧めます。
──琉球王国には、神々に仕える神女たちがおり、その頂点に立つのが、王族の女性から選ばれた聞得大君であられました。
聞得大君は、国王とは太陽の生まれ変わりであり、万物を育み人々の心に安らぎと希望を与えるものだから、尚寧にその誇りを持つよう諭します。そして琉球王国の安寧と平和を祈るために、斎場御嶽(せーふぁうたき)に向かい祈りを捧げます。
巴知羅は文太の手下を見つけて追いかけますが、実際に捕まえたのは女拳士の軍陀利(ぐんだり)でした。軍陀利から刀を預かる際に手を握って、高翔にたしなめられます。軍陀利は高翔の息子の妻で、夫は海賊に襲われてすでに亡く、高翔の家に来ていた謝名は、ここ琉球でゆっくり心を癒してほしいと言葉をかけます。巴知羅は手下が琉球に来た目的を問い詰め、半蔵に命じられたことを聞き出します。
謝名の家では預かった啓泰と啓山を軍陀利が寝かしつけていました。高翔は、謝名が邦義に息子たちが生きていることを未だに伝えていないことに「それはちとひどいのう」と苦々しい表情です。薩摩に入る邦義を利用するため、啓泰と啓山を人質にしているようで、あまり気に入らないわけです。
薬の調合をしていた邦義の前に半蔵がどっかと座ります。食料と賦役について何度琉球に命じてもなしのつぶてで、怒った義久は半蔵と邦義を琉球に派遣することにしたのです。自分が琉球に行っても何の役にも立たないという邦義に、半蔵は息子たちが生きていることを耳打ちします。もしそれが本当なら謝名が黙っているはずがないと、邦義は自分を琉球に連れて行くための作り話と相手にしません。
とはいえ、義久の命令とあっては無視するわけにもいかず、邦義は半蔵の供をして琉球に渡ることを富に打ち明けます。給仕をする富は思わず手を止め不安そうな表情を浮かべますが、邦義は必ず薩摩に帰ってくると約束します。
琉球の学校の庭では震天風による武術の特訓です。羽儀の髪を洗う軍陀利は、謝名の妻が昨年夏に亡くなったことを知り、父に似ていた……とほのかな気持ちを見せます。巴知羅は、先ほどまで囲碁を打っていた高翔が居眠りをしているのを確認し、夜に海に行こうと軍陀利を誘いますが、あっさり断られます。軍陀利の夫は海賊に殺されたわけで、巴知羅を含めた海賊を全身全霊で恨んでいるのです。
那覇の親見世で半蔵と邦義を迎えた名護は、尚寧王含め三仕官は病気だと対面を断ります。謝名は、秀吉が家臣である義久に15,000人の兵と賦役を命じるのは当然として、その半分の負担をなぜ独立国の琉球に求めるのかと尋ね、半蔵を黙らせます。半蔵は邦義に、謝名に言いたいことはないかと前フリしますが、邦義は「ありません」と返答して半蔵を苛立たせます。
巴知羅の店で、みんなが三線(さんしん)を弾いて踊る中、謝名・高翔・震天風と邦義が密談です。義久が考える薩摩の本心は、御典医の邦義には分かりませんが、邦義個人では国があるから殺し合いが起きると考えています。琉球を滅ぼしたくなければ薩摩の軍門に下れと言って、3人の反発を受けます。高翔は、義久の仲の悪い弟・島津義弘を利用できないか考えます。「あなた方は私に何をしろと!?」
海辺で謝名と酒を飲む邦義は、思い切って啓泰と啓山の生存について尋ねます。元気だ、と答える謝名は、6歳と3歳の兄弟がこれまでどうやって生き抜いてきたかを説明します。兄弟の生存を隠していたのは、琉球に帰りたいという里心を抱かせず、邦義を薩摩にくぎ付けにしておきたかったわけです。
一方で兄弟にも、実父が生きていること、実父に新しい家族がいることを説明できなかったと謝名は釈明します。涙を浮かべて話を聞いていた邦義は、子どもたちに会わせてほしいと謝名に訴えます。その帰り、文太たち海賊の襲撃を受けた謝名は、震天風やケンの助けを借りて海賊たちを追い払います。その翌朝、邦義は謝名が教育を施している学校を訪れます。
「啓泰、立って。次を読みなさい」
「はい。身体髪膚(しんたいはっぷ)これを父母に受く、敢えて毀傷(きしょう)せざるは孝の始めなり」
「啓山、立って。今の意味を説明しなさい」
「はい。私たちの身体は父と母からいただいたものです。これを壊さず傷つけないようにすることが、親孝行の第一歩です」
庭の邦義からでも分かるように謝名は兄弟を指名して立たせ、声を聞かせます。胸にこみ上げてくるものがあり、庭に座り込んでいると、入口に文太が立って見つめています。文太と入れ替わりに半蔵が迎えに来ますが、邦義は言葉になりません。講義が終わり校庭に子どもたちが出て来て遊んでいます。謝名に一礼して邦義は学校を後にしますが、啓泰と啓山の声が脳裏を貫くように追いかけてきます。
脚本:山田 信夫
テーマ曲:谷村 新司 「階(きざはし)」
語り:北林 谷栄
音楽:長生 淳
題字:水谷 勇夫
原作:陳 舜臣
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[出演]
萩原 健一 (楊 邦義)
ショー・コスギ (震天風)
間 寛平 (巴知羅)
毬谷 友子 (軍陀利)
坂本 スミ子 (ウシ)
永島 暎子 (清水 富)
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橋爪 功 (名護親方)
津嘉山 正種 (浦添親方)
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寺田 農 (清水半蔵)
室田 日出男 (島津義久)
三木 のり平 (高翔)
沢田 研二 (尚寧王)
富司 純子 (尚永王妃)
江守 徹 (謝名親方)
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制作:音成 正人
制作著作:NHK
共同制作:NHKエンタープライズ
制作統括:高沢 裕之
制作協力:NHKアート
:NHKテクニカルサービス
演出:吉村 芳之
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『琉球の風 -DRAGON SPIRIT-』
第4回「若夏の恋」
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