大河ドラマ豊臣兄弟!・(17)小谷落城
ある村の寺では、境内で餅つきが行われております。子どもたちが掛け声をかけ、杵で餅をつくのは武田信玄です。この後、将軍足利義昭の使者・三淵藤英と対面するのですが、織田信長との戦を促されても首を縦には振りません。信長を恐れてはいないし、比叡山での所業もよく思っていない信玄ですが、盟約を結んでいる相手に対し破ることはできないと、主張を繰り返します。
説得の後を引き継いだのは義昭本人でした。従者に身をやつしての登場は、初めて信長と対面した時と同じです。義昭は信玄を武家の鑑と称賛し、かつての幕府の威光を取り戻して武家を束ねて秩序ある世に戻したいと熱い思いを訴えます。幕府も大名も寺社も朝廷も従わせようとする信長の下で、民は安寧に過ごせるだろうか、という思いが強いです。「武田信玄……織田信長を討ち平らげよ!」
元亀3(1573)年、武田信玄は総勢25,000の軍勢を率いて遠江への侵略を開始します。織田と同盟を結ぶ徳川家康と、ここ三方ヶ原において激突します。武田軍のあまりの強さに家康はなすすべくなく、戦場をおろおろするばかりです。石川数正が力づくで家康を後方の岩陰に追いやり、引き上げを決断させます。
“あの徳川勢が大敗──” 知らせはすぐに岐阜城に伝わり、“信玄という男を見誤った”と信長はため息をつきます。その信玄を動かした男、義昭は二条御所で鎧に身を包み、「武田と動きを合わせ織田を討ち滅ぼせ」と号令をかけて挙兵します。小谷城では、織田もこれまでだと浅井久政はニヤリとしますが、結局自分たちだけでは織田には太刀打ちできなかったと長政がポツリとこぼします。
浅井から織田へ寝返った宮部継潤は、そのことを悔やんではいないといいつつ涙ぐみます。竹中半兵衛は策がなくて笑うしかなく、木下藤吉郎は、今は信長が仕掛けた罠に賭けるしかないと表情も暗くなります。
三河まで進攻した武田軍に、百性から握り飯の差し入れです。腹が減っていたのだと信玄は微笑みますが、信玄に持ってきた家来は頬に飯粒をくっつけて、山県昌景がとがめます。毒味と弁明する家来に信玄は、銭は出すからもっと握り飯を届けさせよと百性に言うよう命じますが、その家来は突然吐血して倒れます。信玄は手にした握り飯を放り投げます。「天は我らに味方しておる。この戦、我らの勝ちじゃ」
しかしその翌日、信玄は餅を手に絶命します。毒を恐れ、自分が付いた餅ならば大事ないだろうと口にしたわけですが、であれば餅をのどに詰まらせたのかもしれません。信玄の死を目撃した家来を除き、今のところ跡継ぎ武田勝頼を始め誰も知らず、それでよいとつぶやく昌景はこの家来を殺害します。「すまぬ、まだ御屋形様には生きていていただかねばならぬのじゃ」
しばらく三河に留まっていた武田軍がようやく動き始めましたが、西進ではなく甲斐のほうへ引き揚げ始めています。昌景が隠し通そうとした信玄の死は、噂としてすぐに全国に広まります。信玄に毒をというのは織田の罠でしたが、見破られたと思っていたのです。「天が我らに味方したのじゃ」と、信長はこの機を逃さず一気に京を押さえる作戦に出ます。
元亀4(1573)年 春、信長は軍勢を率いて京へと向かいます。迎え撃つ形となった槙島城の義昭は、朝倉浅井に命じて織田軍を食い止めるよう命じますが、時すでに遅く、二条御所を攻め落とした織田軍が、破竹の勢いで槙島城に向かっています。敵の数7万と聞き、義昭は大笑いします。笑うしかないというところでしょうか。
捕らえられた義昭は、信長に反抗する態度をとりますが、信長にとっては痛くもかゆくもありません。命を奪うつもりのない信長は、義昭を京から追放します。光秀には二条御所を破却するよう命じていて、光秀は「うあ~っ」と雄叫びをあげながら床几を蹴り倒し、燭台をなぎ倒し、碁盤や碁石を庭に放り投げます。将軍との思い出を振り切るように、藤戸石にも斬りかかります。
7月、京を追放された義昭は流浪の身となり、ここに15代続いた室町幕府は終わりを迎えます。義昭と案内する木下藤吉郎・小一郎兄弟は、枇杷荘(びわのしょう)まであと少しの、廃屋敷に入ります。義昭にとって初めて岐阜を訪れた時も藤吉郎が案内役を務めてくれた記憶です。“豊作にしてくだされ、無様でも生き延びてくだされ”と小一郎に励まされたのが昨日のことのようです。
「時が経てば人は変わる。同じものを目指すこともある……ないやもしれぬ」とつぶやいて、藤吉郎たちはずっこけます。信長の考えに付き従う藤吉郎が突っ走り、小一郎が必死に付いてきました。仲の良い兄弟を見て、義昭は兄義輝ともこうであったらと思わなくもありません。義昭は光秀と仲良くするよう頼み、代わりに藤吉郎たちを家来にしてやると微笑みます。「信長が嫌になったら、いつでも頼って参れ」
そして信長は再び、虎御前山に陣を据えて朝倉浅井攻めの総仕上げです。朝倉の援軍……といっても、義景はまず浅井に攻めさせ、織田を弱らせてから自分たちが出ていくという手段で、近江の田上山に陣取ります。浅井だけで織田を弱らせられるとは思えないとの朝倉義鏡(かげあき)のもっともなご意見もあり、浅井と息を合わせてイチかバチかと進言しますが、義景にはそんな気はさらさらありません。
山本山城主阿閉貞征(あつじさだゆき)はじめ多くの者が織田に寝返り、大嶽砦(おおづくとりで)が敵の手に落ち丁野砦(ようのとりで)からも火の手が上がります。早すぎると絶句する義景は、やはり一乗谷を出るのではなかったと引き上げを決意します。斎藤龍興は、半兵衛の策で伝令2人をここまで来させて降伏させる“敵の罠”と主張しますが、義景は龍興に殿(しんがり)を押し付けてさっさと引き上げを始めます。
退く朝倉軍の動きを見越していたかのように、織田軍は一気にその背後から攻めかかります。命からがら逃げ帰った義景は、越前の賢松寺にたどり着きます。民や家臣たちと穏やかに生きていければよかったのに、と義景は後悔しきりです。民も家臣の家族もまだ残る一乗谷に火を放てと義鏡に命じますが、最期まで自分本位で生きた義景は、義鏡に首を斬られます。義鏡は義景の首級を手に織田に降伏し、100年以上続いた越前朝倉氏は滅亡しました。
朝倉からの援軍を失った浅井軍は、小谷城に籠城して抵抗を続けます。しかし大軍を持って攻めかかる織田軍になすすべもなく、久政は自害。柴田勝家がその首級を持って織田本陣に戻ります。残すは長政がいる本丸です。藤吉郎、小一郎、そして勝家は、同じ思いを持って信長に助命を訴えます。命を助けるのが不得手な勝家が譲り、藤吉郎と小一郎が長政とお市、子たちを救い出すという役目を任されます。
長男万福丸ですが、一乗谷攻撃の際にくまなく探すも見つからず。恐らくこの世にはおるまいとつぶやく長政は、自分が万福丸のそばに行ってやらねばならぬと決意します。お市を守るために朝倉に従い織田を裏切った長政は、“死んだ者の分まで生きてほしい”という小一郎の説得も聞き入れませんが、最後に藤吉郎らと相撲を取ることにします。
藤吉郎たちがお市と娘たちを逃がす際、強うなどなれぬと涙をこぼすお市です。小一郎はかつて信長とともに小谷城を訪問した際にしていた作り話の続きを始めます。──大男は湖の水を飲み干して溺れる娘を助けた。お腹が膨らんで娘を抱きしめることができず、大男は娘に針でお腹を刺してくれと懇願するも、娘は怖がってできず。どうしても抱きしめたい大男は自ら針をお腹に刺し、お腹の水が噴き出して大男は空へと昇っていった。以来大男は月となって、娘をいつも優しく見守るようになった──。
まさにこの時、長政は刀を自らの腹に突き刺していました。お市は、信長が太陽なら長政は月だといつも思っていて、小一郎から預かった刀を持って、瀕死の長政の元に駆けつけます。「すぐに楽にしてさしあげまする」と刀を抜き、振り上げて首を落とします。「わたくしは変わりませぬ。いつまでもあなた様をお慕いしておりまする」
作:八津 弘幸
音楽:木村 秀彬
語り:安藤 サクラ
脚本協力:片桐 正博
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[出演]
仲野 太賀 (木下小一郎長秀)
池松 壮亮 (木下藤吉郎秀吉)
菅原 大吉 (佐久間信盛)
池田 鉄洋 (丹羽長秀)
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菅田 将暉 (竹中半兵衛)
大東 駿介 (前田利家)
松下 洸平 (徳川家康)
中島 歩 (浅井長政)
尾上 右近 (足利義昭)
要 潤 (明智光秀)
榎木 孝明 (浅井久政)
鶴見 辰吾 (朝倉義景)
高嶋 政伸 (武田信玄)
山口 馬木也 (柴田勝家)
宮﨑 あおい (市)
小栗 旬 (織田信長)
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制作統括:松川 博敬・堀内 裕介
プロデューサー:高橋 優香子・吉岡 和彦
演出:渡邊 良雄
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』 第18回「羽柴兄弟!」
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