プレイバック琉球の風 -DRAGON SPIRIT-・(06)愛の女たち
──啓泰たちは琉球王国を守るために、明国の船を襲って帰ってきたのでした。
琉球の浜辺にたどり着いた若者たちは、船から下りるなり倒れ込んでゼエゼエと息をあげ、震天風が急いで浜辺から撤収するよう命じます。いつも通りの朝を迎えた羽儀は、飼っているにわとりに「おはよー!!」と元気よく声をかけ、琉球王朝の尚寧王妃に侍女として仕える阿紀と真振は、小さい間違いをして王妃に注意を受けながらも、楽しそうに過ごしています。
啓泰、震天風、巴知羅は謝名親方に報告します。謝礼船2艘は硫黄島の沖合で沈み、明人の乗組員は、内通者含め薩摩の手で一人残らず殺されてしまいました。積み荷も薩摩が全て持ち帰ったとのことです。震天風は明国で学問を学び、明国の少林寺で教えてもらって今日があるわけで、そんな大恩ある明国の人たちを殺してきたと投げやりになります。「親方はそれで満足ですか」
奇羅波丸はすっかり隊長気取りです。左腕を怪我したらしく三角巾を首から吊る啓山に、奇羅波丸は4人殺したと得意げになっています。お前は人を殺せるわけないとバカにされた啓山は、奇羅波丸に蹴りを入れます。啓泰は明人を殺す場面がフラッシュバックし、「啓泰どのは生きている人間を殺せるのですか!?」という楊 邦義に刀を突きさすところで夢から覚め飛び起きます。そんな兄を啓山が見つめています。
4ヶ月後、京都・茶屋四郎次郎の別邸に徳川家康が訪問し、棗(なつめ)の品定めをしています。島津義久は謝礼船を襲った貿易商人伊丹屋助四郎を捕らえて磔にしたとのことですが、軍も乗船している2艘を襲うには助四郎たちでは人数が足らず、薩摩と明国の事情に詳しい琉球の仕業と家康は踏んでいます。家康が薩摩と琉球を攻めれば、国を挙げて海賊になる覚悟だということです。
負けを認めた家康は、今回の謝礼船襲撃を不問に付すことにしますが、今後のために黒幕が誰かを押さえておきたいと四郎次郎につげます。その意を受けて四郎次郎は、自分は薩摩に、そして真鶴に琉球行きを頼みますが、真鶴は亡き息子たちのことを思い出してしまうと断ります。真鶴が手掛ける南蛮貿易ももう少しで形になるところですが、四郎次郎はそれは他の人にさせると聞き入れません。
尚寧王に呼ばれた謝名は、謝礼船襲撃についてしらを切ります。名護親方は、謝名の愚行が明国や家康に聞こえたら、琉球王国が危うくなると睨みつけます。ただ皮肉なのは、謝礼船が家康の元にたどり着いていたとしても王国は危機にさらされていたわけです。尚寧は、謝名と名護、そして尚宏に、今回の襲撃事件については二度と口にしないよう厳命します。
阿紀は、謝礼船を襲撃したのは啓泰たちだと御内原(おうちばら)での噂を告げます。啓泰は否定し、啓山も武術の訓練中に怪我をしたと言い訳します。しかし阿紀は奇羅波丸から聞いていました。私には本当のことを言ってと阿紀に懇願され、殺すつもりはなかったと啓泰は声を絞り出します。「啓泰はまだ嘘を言ってる! あなたたちは最初から明人を皆殺しにして、船を沈めるつもりだったじゃないの!」
啓泰が手をかけた人には親兄弟、もしかしたら妻子もいたかもしれません。阿紀が腹立たしいのは、親を殺された孤児(みなしご)の自分たちが、自分たちの手で孤児を作ったことです。好きな人と一緒になってたくさん子どもを作って、という阿紀の夢を聞いた啓泰は、みんなで幸せになろうと励ましますが、王国が栄えるために人殺しが是とされるなら謝名と同じだと批判し、啓泰を怒らせてしまいます。
琉球入りした真鶴は、奇羅波丸らにもてはやされながら、ウシ(おばぁ)の店に行って久々の再会です。死んだはずの真鶴が突然現れ、ウシは戸惑います。泡盛を楽しむ真鶴ですが、酒を持ってきた羽儀が孤児と知り、京に誘います。ウシは真鶴が琉球に戻ってきたことを、子どもを連れて帰る気かと疑いますが、真鶴は子どもたちが生きていることをこの時まで知らず、愕然とします。「啓泰と啓山が生きてる……!!」
謝名は啓泰に明国行きを命じます。謝礼船襲撃で家康が動けば、薩摩は琉球を切り捨てる可能性があります。武力を持たない琉球が、誰からも侵されずに生きていくにはどうすればよいか。琉球は明国の冊封国だから、隣国に攻められた琉球を明国が放ってはおかないというのは建前で、それを明国に行っていろいろな人に会い、実情を知り、対応策を考えてきてほしいのです。
そのころ啓山は名護の弟子に志願していました。先日の謝礼船襲撃の時も、命乞いする明人を前に、自分ひとりは腰が抜けて手をかけられなかったと涙を流します。啓山の思いを感じ取った名護は、琉球舞踊の基本型から教えます。水瓶を抱えるような型で、人の心の輪を示しているものです。「相手の身も心も、全てを抱きとめるということだ。私たちは心を一つにして、琉球王国を守らねばならぬ」
ウシの店で酒を飲む啓泰は、奇羅波丸に明に一緒に行かないかと誘います。行かないと返事したらしい啓山を、啓泰は腰抜け呼ばわりします。そこに真鶴が現れ、もてはやしていた奇羅波丸は一緒に酒が飲めると大喜びでウシのところに走ります。2人きりになって啓泰が名乗ると、真鶴が突然泣き出します。泣き出した理由も分からず、目の前の光景に啓泰は困惑します。
「よくも私を騙してくれたわね!」と真鶴は謝名に詰め寄ります。騙していたわけではないと謝名は釈明しますが、これまで真鶴が謝名に文を送るたび、兄弟の消息を尋ねていたのです。しかしその間も啓泰と啓山は元気に琉球で暮らしていたわけです。真鶴の謝名への信頼は、音を立てて崩れていきます。「親方は、まだ隠していることがあるわ。楊 邦義は薩摩で生きてるんですってね」
謝名は後ろに控える巴知羅を睨みつけますが、真鶴はウシに聞いたのでした。夫や子どもたちが生きていると知っていたら、10年前にこの国に帰って来たのにと泣き崩れます。国がなくても生きてきた真鶴は、啓泰と啓山を幸せにしてみせると謝名を見据えます。「もし親方が私たちの邪魔をしたら、その時はこの国が危なくなりますよ。意味はお分かりですね?」
そこで初めて、謝名は真鶴が家康の命で琉球に帰ってきたのだと気づきます。岩陰に隠れて真鶴と謝名、巴知羅の様子をうかがっていた奇羅波丸は、真鶴が琉球を家康に売るために来たと思い込み、睨みつけています。
ウシの店で真鶴が着物に着替えていた時、羽儀は背中の傷に気づきます。それはまぎれもなく、明で海賊に襲われ、啓泰と啓山と生き別れになった時のものでした。啓山と羽儀が恋仲だとウシに聞いて、啓山が京に行ったらどうするの? と挑むような眼で羽儀を見つめますが、どこまでもついていくと健気に返答し、面白い子だと真鶴は微笑みます。若い時の自分を思い出したのかもしれません。
啓泰と啓山が呼ばれてウシの店に来ました。ウシは気を遣って羽儀と戻っていきます。久しぶりの母子3人の空間です。啓泰と啓山を京に連れ帰るつもりで話を進めますが、2人とも琉球に残ると返答してがっかりします。そこに飛び込んできた奇羅波丸は真鶴に刀を向けますが、啓泰と羽儀が体当たりで真鶴を守り、奇羅波丸は奇声を発しながら店を飛び出していきます。
明国行きを前に、阿紀を呼び出した奇羅波丸はプロポーズし、かっこよく階段を駆け上がる途中でつまずいています。次に会いに来た啓泰には、ティサージ(手拭い)をお守り代わりに渡します。ただ、求婚らしい言葉が聞けないまま、時間だけが経過していきます。そして羽儀は啓山を京に誘いますが、「啓泰のそばにいないと生きていけないの? 弱虫!」とうるさくつきまとう羽儀を啓山は海に突き落とします。
真鶴が京に戻る時が来ました。羽儀は自分を京に連れて行ってほしいと懇願します。自分が京に行けば啓山が後から追ってきて、真鶴は啓山と一緒に暮らせるようになる、というのです。真鶴は大笑いして、羽儀を京に連れて行くことにします。
啓山は名護のところで琉球舞踊の猛特訓を受け、厳しすぎる指導にも歯を食いしばってついていきます。啓泰と奇羅波丸は進貢船に乗って中国へ。五虎門を越えたところで、阿紀からもらったティサージを頭に巻きつけます。
琉球王国が生きる道を求めて、啓泰は今、明国へ──。
脚本:山田 信夫
テーマ曲:谷村 新司 「階(きざはし)」・挿入歌「バサラ」
語り:北林 谷栄
音楽:長生 淳
題字:水谷 勇夫
原作:陳 舜臣
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[出演]
東山 紀之 (啓泰)
渡部 篤郎 (啓山)
原田 知世 (阿紀)
工藤 夕貴 (羽儀)
清水 宏次朗 (奇羅波丸)
小柳 ルミ子 (真鶴)
ショー・コスギ (震天風)
間 寛平 (巴知羅)
坂本 スミ子 (ウシ)
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小林 旭 (徳川家康)
橋爪 功 (名護親方)
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三木 のり平 (高翔)
沢田 研二 (尚寧王)
江守 徹 (謝名親方)
萩原 健一 (楊 邦義)
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制作:音成 正人
制作著作:NHK
共同制作:NHKエンタープライズ
制作統括:高沢 裕之
制作協力:NHKアート
:NHKテクニカルサービス
演出:吉村 芳之
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『琉球の風 -DRAGON SPIRIT-』
第7回「大漂流」
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