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2026年7月24日 (金)

プレイバック琉球の風 -DRAGON SPIRIT-・(07)大漂流

──啓泰と奇羅波丸は、琉球国への支援を求めるために、明国の都・北京にやってきたのでした。

都の大通りを歩く啓泰と奇羅波丸に、ぐったりとした子を背負って母親らしき女が「お恵みを!」と駆け寄ってきますが、啓泰はムッとしながら避けます。明国は琉球より貧しいのかと奇羅波丸は戸惑いますが、明国の政が貧しいのだと説明する啓泰ですが、前回来た時よりもひどくなっているようです。そんな2人をそっとつけている男がいました。

2人は明の官僚・謝 汝烈と対面します。亡くなった汝烈の父は22年前、副使として琉球に行ったことがあり、謝名親方とも面識があります。そんな汝烈に啓泰は琉球が危ういと打ち明け、支援を求めますが、汝烈は難しそうな表情を浮かべます。家の表には2人をつけていた男(東厰(とうしょう))が、家の内部をうかがっています。汝烈は琉球が大和に支配されると今より暮らしが苦しくなるのか? と疑問をぶつけます。

汝烈の家を後にし、あの男は頼りにならんと奇羅波丸は他を当たろうとしますが、啓泰はしきりにあたりを警戒しています。東厰は明王朝の密偵で、王朝に不満を持つ者たちを見張っているらしいのです。そこに軍隊が走り抜け、啓泰は奇羅波丸の腕を掴んで道のわきに避けますが、軍隊の一人が野蛮人! と叫んでいき、奇羅波丸は激怒します。「俺はな、ヤマトンチューも嫌いだが、こいつらも嫌いだぞ!」

後日、啓泰と奇羅波丸は中国官僚の格好をして、汝烈と再び対面します。琉球よりも明国の方がはるかに危うく、滅亡寸前である今、琉球への支援は難しいと断られます。汝烈は今、少しでも早く明を“滅亡させ”、誰からも束縛されず自由に海に乗り出して、あらゆる国と貿易して民を豊かにする、昔の琉球王国を手本にした『南海王国』を作りたいと動いているのです。

 

半年後、慶長7(1602)年冬。京都・茶屋四郎次郎の別邸に徳川家康が来ていました。琉球の船が明国からの帰りに時化(しけ)に遭い、陸奥の伊達領に漂着したそうで、領主伊達政宗が琉球船の処置について家康に尋ねてきたわけです。明国から家康への謝礼船の襲撃以来、話は止まったままでしたが、「飛んで火にいる夏の虫、か。琉球船とは……いよいよ面白いことになってきたのう」と家康は四郎次郎を見据えます。

その漂流した船には、啓泰や奇羅波丸も乗船していました。いつになったら琉球に帰してくれるのかと訴えますが、今は政宗が家康にお伺いを立てているところだと答えるだけです。乗組員たちは初めて経験する北国の寒さに凍え、政宗はそんな彼らにたくさんの火鉢と酒を用意させます。

尚寧王はすぐに陸奥へ船を送って琉球民を引き取るつもりですが、それが許されない事態です。政宗が陸奥から江戸まで、家康の配下が江戸から堺まで、島津義久が堺から琉球まで、それぞれ琉球民の護送を担わせます。家康の狙いは琉球に恩を売って明との仲介役をさせるつもりなのです。義久は清水半蔵と楊 邦義を境に送り、琉球民護送を滞りなく終わらせるよう命じます。

 

堺まで無事に送られた啓泰と奇羅波丸たちが船宿に泊まっていると、真鶴と羽儀が訪ねてきました。羽儀はきらびやかなミカン色の能役者の舞台衣装を、啓山に渡してほしいと奇羅波丸に預けます。そして真鶴も啓泰に着物を渡しますが、こちらはこの軟禁されている宿から内緒で外に連れ出すためのものです。啓泰が真鶴に連れて来られたのは京にある茶屋四郎次郎の別邸で、対面したのはなんと家康でした。

家康は啓泰に明国の見てきたままを尋ねます。啓泰は、万暦帝の威光は盛んで乞食の姿は見たことがないと、明を親と崇める返答をし、家康は笑います。貿易は国同士が対等で成立するものであり、政は国を豊かにし民を幸せにすることと諭し、そうしない国があれば一日も早く滅びたほうがいいと啓泰を見据えます。日本が発給する朱印船以外の方法で密貿易を企てたら、容赦なく成敗する、と。啓泰は、このことを尚寧に伝えよと命じられます。

そこに薩摩から派遣された半蔵と邦義が現れます。家康は半蔵に“琉球人1人死亡につき薩摩人5人処刑する”という掟を強く求めます。そしてこの場に邦義、真鶴、啓泰と親子が揃うわけで、真鶴から経緯を聞いている家康は、今宵は家族3人でゆっくり過ごすよう勧めます。

あの襲撃事件から15年10ヶ月、啓泰は気になっていることがあると、襲撃当日のことを尋ねます。真鶴が邦義に言った“啓山はあんたの子どもじゃない” “啓山の父親はあんたじゃない”という言葉が本当かどうか。啓山の父親がだれであっても、啓山を守って生きていくという言葉に頷いた邦義は、啓山の父親は新垣朝永という琉球踊りの名手で、自分たちを襲った海賊に殺されたと説明します。

どうして母は他の男と! と啓泰は問い詰めますが、おい、と邦義が追及を止め、自分が悪かったと頭を下げます。「これからも啓山は俺の子だ」 そしてそのころ啓山は、名護邸の稽古場で夜遅くまで残って琉球舞踊の練習を続けていました。両腋の下に生卵を挟み、踊りの動きをする特訓です。強く挟めば卵は潰れ、挟みが甘ければ卵は落ちる。そうしてしばらくうまくいくものの、やはり卵は落下してしまいます。

 

──漂着民39名は、薩摩の手によって無事琉球に送り返されましたが、その直後、島津義久は琉球に対し、家康に「謝恩使」を出すように命じてきたのでございます。

謝恩とは、人から受けた恩に感謝の意を表すことであり、口惜しくはありますが義久の命に従って、家康に謝恩使を出すべきと名護は主張します。これに真っ向から反対したのが謝名でした。琉球が薩摩の属国であるという間違った情報を豊臣秀吉が信じたために、琉球に派兵を要請してきたのです。謝恩使を送れば“やはり島津の属国であったか”と嘲り、王国の恥を天下に知らしめることになるというのです。

尚寧は、家康に対し謝恩使を出すことにするが、琉球は数十年に一度の、明国から冊封使を迎え入れる準備に追われているため、しばらくは正式な謝恩使は出せないと、弁明の使者を出すことにします。啓泰は自分たちが伊達領に漂着してしまったがために、このようなことになったことを謝罪しますが、お前たちに落ち度はないと尚寧は優しく語り掛けます。

尚寧は、王妃真銭金(まぜにかね)を連れて王家の墓地である「玉陵(たまうどぅん)」に向かいます。ここの墓には没後、正当な後継者のみが入ることが許され、過去に争いを起こした分家の出である尚寧は、この墓に入れてもらえません。王妃は、夫婦が共に生きて老い、死んだ後も同じ墓に入る意の「偕老同穴」という言葉を出し、一緒の墓に入りたいと訴えます。

尚寧が王妃を迎えた時、尚寧26歳、王妃7歳で、兄と妹のように慕い、愛おしんできました。ただこの年齢差があって夫婦の契りを交わせなかったわけで、決して王妃を嫌って遠ざけていたわけではありません。いま、その齟齬がなくなり、尚寧と王妃は啓泰と阿紀に、イジュの花をたくさん摘んでくるように命じます。イジュの花の意味は「純潔」だと、真振が啓泰に教えます。

王妃は母に綺麗に化粧してもらい、とても美しい着物を着せてもらいます。「この世で一番美しい花嫁ですよ。今宵、あなたは御主加那志前(うしゅがなしーめー)のまことの后になるのですよ」

 

琉球が頼ってきた明国は急速に力を失い、琉球を支援する力も意思もない、と啓泰は謝名に訴えます。家康は強大な日本を作り上げ、明国や南蛮諸国との朱印船貿易を目指していると説明します。それが成立すれば、琉球は南の島に取り残された孤児同然となり、生きる道を失う危険性があるのです。理屈はそうだが、と謝名は笑います。「その通りにならないのが政というものだ」

明国から帰ってきた啓泰を、阿紀は“変わった”と評価します。明国、陸奥、そして家康……どれもこれも相手が大きすぎて、自分がみじめに思えた啓泰ですが、そんなことない! と阿紀は励まします。通りかかった奇羅波丸は2人に駆け寄り、自分と啓泰とどちらを選ぶのかと阿紀に迫ります。「マカオで孤児になってから、今日までずっとあなたのことをお兄さんのように思ってきました。今でもその気持ちに変わりはありません」

浜辺では、羽儀にもらった着物を着て啓山が無心に舞っています。それを遠くから眺めていた啓泰は、泳ぐぞ、と言って着物を脱ぎ始めます。琉球の海に身を沈め、楽し気に泳ぐ兄弟です。啓山は啓泰が堺で父と母に会ったことを知っていますが、何を話したと聞かれても啓泰は答えることができません。「啓山! お前は死ぬまで兄弟だ! 遅いぞ! ついてこい!」

 

脚本:山田 信夫
テーマ曲:谷村 新司 「階(きざはし)」
語り:北林 谷栄
音楽:長生 淳
題字:水谷 勇夫
原作:陳 舜臣
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[出演]
東山 紀之 (啓泰)
渡部 篤郎 (啓山)
原田 知世 (阿紀)
工藤 夕貴 (羽儀)
清水 宏次朗 (奇羅波丸)
小柳 ルミ子 (真鶴)
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小林 旭 (徳川家康)
橋爪 功 (名護親方)
寺田 農 (清水半蔵)
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室田 日出男 (清水義久)
富司 純子 (尚永王妃)

沢田 研二 (尚寧王)
江守 徹 (謝名親方)
萩原 健一 (楊 邦義)
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制作:音成 正人
制作著作:NHK
共同制作:NHKエンタープライズ
制作統括:高沢 裕之
制作協力:NHKアート
    :NHKテクニカルサービス
演出:榎戸 崇泰

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『琉球の風 -DRAGON SPIRIT-』
第8回「受難」

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