大河ドラマ豊臣兄弟!・(29)天下への道
【アヴァン・タイトル】
天正10年6月、本能寺の変が勃発。その時、織田家の有力家臣たちは各方面で敵と向かい合っていた。秀吉はすぐさま畿内に向けて進軍する。与一郎も初陣を果たす時がやってきた。決戦が、始まろうとしていた──。
織田信長・信忠父子を討ち果たした明智光秀は、有力諸将らを味方につけることができないまま、迫りくる織田軍を迎え撃つべく山崎に陣を構えます。中川清秀や高山右近も織田方につき、斎藤利三は長宗我部元親に織田の背後を突かせようとしますが、光秀は「もうよい」と断ります。光秀は、どんなに敵が躍起になっても信長がいないことには変わりなく、それが我らの勝ち筋と遠くを見据えます。
一方、山崎の織田信孝の陣には秀吉軍が合流していました。織田信澄は堺でさらし首にしてやったと信孝は胸を張ります。信澄は光秀の娘婿だから“明智に通じていた”のは当たり前ですが、主君信長への謀反を企てていたことは事実であり、信長の弟・信勝に続いての裏切りです。信孝は明智総攻めを号令しますが、羽柴秀吉は「不用意に攻め込むは危険」と待ったをかけます。
池田恒興は秀吉を見て、よくも平静でいられるのうと皮肉を言いますが、秀吉は恒興を睨み返します。秀吉のはらわたは煮えくり返っていて、光秀の全身を串刺しにしてやりたい思いです。……そんな織田軍の、怒りに我を忘れているであろう様子を想像する光秀は、烏合の衆は早ければ早いほど、多ければ多いほど足並みが揃わないと分析しています。
明智攻めについて黒田官兵衛が提案します。山崎の地は山と沼に囲まれて大軍で攻め込むことができないため、あえて陣形を広く取り少しずつ追い詰め、右近の手勢が寝返ったふりをして敵陣に入り、光秀を生け捕りにする。しかし指名された右近はこの策には乗れないと声を上げ、仲間割れが始まります。羽柴長秀は、最善の策を採るべきと主張し、信孝は秀吉の策を採用することにします。
そこに織田信雄からの書状が届けられます。合流するからそれまではむやみに攻撃しないようにとの内容です。丹羽長秀は織田軍はますます盤石と歓迎の意を示しますが、信孝は悠長なことを言っていては光秀を取り逃がすかもしれないと、一気に総攻めすることにします。戦場での采配は秀吉に一任し、見事に自分の期待に応えればこの先も悪いようにはしないとニヤリとします。
信孝は信雄が来る前に決着させて織田家を率いていく魂胆だし、それは信雄も同様です。このままでは織田は2つに割れると官兵衛は危惧します。羽柴勢は信雄と信孝のどちらにつけばいいのか……。秀吉は振り向き、皆に頼みがあるとポツリとつぶやきます。
三河岡崎城には、逃げ帰った徳川家康がいました。気迫がみなぎる本多忠勝は、いつでも明智討伐に参陣できると声を上げますが、家康の明智討伐は中止となりました。すでに備中から秀吉が戻り、今から駆けつけたところで何の役にも立てないという見立てです。今から徳川のすべきこと──甲斐・信濃をお守りしようということになりました。
越後上杉勢と対峙すべく越前北庄城に入っている柴田勝家軍では、上杉軍が戦場から撤退を始めたとかで、前田利家が残って備えるため、勝家に急いで京に向かうよう勧めます。そこに秀吉が備中から京に戻ってきたと知らせが入り、その急展開に利家は愕然とし、勝家は地団駄を踏みます。
6月13日、羽柴軍は山崎で明智軍と対峙します。中央最前列に右近と清秀、右翼に恒興、左翼の山に長秀と官兵衛を配置。秀吉は中央最後尾に本陣を置きます。ところが右近と清秀が攻撃を受け、号令前なのに明智軍に攻め込んでしまいます。秀吉は正面から、長秀は官兵衛と山側から回って援軍を送ることにします。長秀は伝えに来た与一郎に、このことを信孝に伝えてそのままお守りするよう命じます。
高山・中川勢は敵の策にはまり、苦戦を強いられます。すぐに後方から秀吉が援軍を送り、山側から長秀と官兵衛の兵が一気に駆け下り、さらに池田勢が淀川を上って明智勢の横腹に攻め込んで形勢は逆転。信孝は前線に出ることにします。丹羽長秀が引き止めますが、諫言も聞かずに味方を鼓舞していると、味方に紛れ込んでいた刺客たちが一斉に矢を放って大混乱に陥ります。
信孝を守るように長秀に厳命されていた与一郎ですが、初陣ゆえにおろおろとうろたえてばかりです。しかし敵兵のひとりが信孝目がけて弓を引き絞る姿が目に入ると、考えるよりも身体がサッと信孝のほうに動きます。その姿がちょうど重なった時に、与一郎は背中を射られて倒れてしまいます。企てを阻まれ、利三の勧めもあって光秀は坂本城に戻ることにします。
斎藤利三軍が最後の抵抗を見せる中、光秀は坂本城を目指します。戦いが始まったその日の夕刻、明智軍は敗れます。「逃げたか」と秀吉は冷静です。出陣前に“皆に頼みがある”と言っていたのは、なぜ信長に対して謀反を起こしたのか聞きたかったわけで、他の者に捕らえられないように逃がすしかないと官兵衛が進言していたのです。竹藪のところで石田三成らが光秀を追い詰めます。
一方、長秀のところには傷を負った与一郎が運ばれてきました。秀吉は長秀に与一郎の傷の手当てを第一とせよと命じ、自らはしなければならないことがあると行ってしまいます。与一郎は息も絶え絶えですが、信孝に褒められたことだけがモチベーションとして生きているという感じでした。長秀は与一郎に声を掛けながら、手当てを開始します。
光秀が連行されてきました。秀吉は茶を点てながら、なぜ信長を討ったのか尋ねます。一人で決め、たまたま好機が巡ったから討ったと声を荒げますが、秀吉はあと一歩で天下一統を成し遂げられたのにと悔し涙を流します。光秀も信長の目指す世を信じようと思いつつ、心の底で願っていたのは足利義昭の世なのかもしれません。……光秀の首は百姓の落ち武者狩りで秀吉に届けられたということにします。
北近江の長浜城では、与一郎のためにと寧々が里いもにいわし、干し柿など大量に食材を用意してくれました。片手で剣を振って鍛錬する与一郎ですが、まずは身体を治すよう長秀にたしなめられます。与一郎にとって干し柿は、なかなか上達しなかった弓が“柿の実の枝を狙え”という長秀の助言があったから上達し、自分にも自信が持てたとても大切な思い出の食べ物だったのです。
届けてくれた大量の薬草を煎じてくると慶(ちか)が行こうとすると、干し柿を手にしていた与一郎はポトリと干し柿を落とし、苦しみ出します。射られた背中から毒が回って、今宵が峠になりそうです。あさひが八幡宮にお札を取りに行き、なからは手を合わせて与一郎の無事を祈り続けます。しかし、与一郎は薬石効なく旅立ってしまいます。慶は与一郎の亡骸にしがみつき、名前を何度も呼びます。
長秀は自分が信孝を守るよう命じたからこうなったと自分を責め、慶は父の言うことを聞くよう言ったからだと後悔し、夫婦で涙を流します。あさひは役に立てなかったと力を落とし、なかはずっと薬研を挽いています。寧々の元に戻ってきた秀吉でしたが、ともがさんざん文句を言いかけて、いつもの秀吉でないことに気づき、追及を止めます。放心状態の秀吉は長秀のところに行くと言って向かいます。
長秀は、与一郎が好物だった干し柿を供養として泣きながら食べています。秀吉が様子を見に来て、長秀はつぶやきます。いつの間にか偉くなって、いいもの着てうまいもの食うても、“あのころ”とは何も変わっていない……。あのころとは──直の祝言の日に村を野盗たちが襲い、幼なじみの信吉を亡くしたころのことです。自分たちのことを少しも守ってくれない武士に対して怒りをあらわにしていた長秀(当時小一郎)を、秀吉(当時藤吉郎)が侍の世界に誘ったのでした。「わしらは……何のために侍になったんじゃ!」
泣きじゃくる長秀に、秀吉はそっと抱きしめます。己を責めても何も変わらない。この世は何かが間違っている。とこれは長秀が言った言葉です。「だからのう小一郎、わしが変えるわ。これはまだ、我らだけの秘め事じゃ。信雄さまでも信孝さまでもない。このわしが、上様の思いを継ぐ」
作:八津 弘幸
音楽:木村 秀彬
語り:安藤 サクラ
脚本協力:片桐 正博
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[出演]
仲野 太賀 (羽柴小一郎長秀)
池松 壮亮 (羽柴筑前守秀吉)
吉岡 里帆 (慶)
浜辺 美波 (寧々)
坂井 真紀 (なか)
宮澤 エマ (とも)
倉沢 杏菜 (あさひ)
池田 鉄洋 (丹羽長秀)
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大東 駿介 (前田利家)
松下 洸平 (徳川家康)
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要 潤 (明智光秀)
内藤 剛志 (斎藤利光)
山口 馬木也 (柴田勝家)
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制作統括:松川 博敬・堀内 裕介
プロデューサー:高橋 優香子・吉岡 和彦
演出:田中 正
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』 第30回「清須会議」
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