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2026年7月 6日 (月)

プレイバック独眼竜政宗・(36)天下分け目

【アヴァン・タイトル】

若き日の政宗は、対外的には大胆不敵な武人の印象が強かった。しかし文禄の役前後からは、中央の一流文化人と接し、伊達家伝統の教養と相まって、文人としての輝かしい才能を開花させるに至った。政宗は特に「和歌・連歌・狂歌」に非凡な才を発揮し、近衛信尋(のぶひろ)らの歌人の激賞を受けた。政宗は、喜びにつけ悲しみにつけ、舞を舞い、よく太鼓を打った。晩年の政宗が「能」に傾けた費用は年間3万石。現在でいえば、およそ1億5,000万円にも達したという。

政宗は「茶道」も究めていた。千 利休・古田織部・今井宗薫らとの熱烈な交際を、どんなに誇らしく思ったことであろうか。政宗は茶を喫するだけでなく、茶杓なども自らの手で作った。晩年、竹細工に熱中した政宗が、小十郎に竹の材料を送ってほしいと頼んだ手紙も残っている。政宗の居城のあった岩出山では、地元の人たちも趣味として竹細工を習い、政宗以来の伝統が今も引き継がれている──。


慶長4(1599)年、徳川家康は石田三成を追放して大坂城西の丸に入り、自他共に許す実力者のナンバーワンとなりました。家康は勢力増大の方法を政略結婚に求め、自分の子をこれはと思う大名の子女と縁組みさせたのです。そして六男忠輝には伊達政宗の長女五郎八(いろは)姫を選んだのでした。

政宗は五郎八姫を伴って今井宗薫とともに西の丸を訪問し、松平忠輝と対面します。家康は婚約の引き出物に珍しいからくり人形を遣わす約束をします。鼻を噛んだ忠輝は紙を五郎八姫の方へ投げつけて、家康にたしなめられます。豊臣秀頼ですが、淀君がなかなか会わせてくれません。淀君は追放した三成と密かに密使を交わし、何か企てている様子です。

政宗は三成討伐を進言しますが、家康から見て誰が敵か味方かを見定めてからでも遅くはないと考えています。政宗が同行として最も気になるのは上杉景勝ですが、上洛の返事は全くありません。家老直江兼続(かねつぐ)は気骨者だから、ここは気長に待つしかないのかもしれません。忠輝は五郎八姫にベーとやって、またも家康に叱られます。

茂庭綱元に預けた香の前が男子を出産しますが、生まれた「又次郎」は茂庭家の四男として綱元が育てることになりました。そして蔦が部屋に駆けこんできます。12月8日、31歳の愛姫はついに男子を出産します。政宗は愛姫を労わり、これまで嫡男を産めずに苦しんだ愛姫を慮ります。政宗は「虎菊丸」と命名します。顔は恐ろしくても心には慈悲を備える、そんな思いを伝えたかったのです。

とはいえ、すでに側室猫御前(飯坂局)が産んだ世継ぎの秀宗がいます。片倉小十郎は、正室愛姫が男子を産んだ以上、虎菊丸が世継ぎとなり、秀宗が廃嫡されるべきと主張しますが、政宗はまだ方針を決めてはいません。じっと考えていた政宗は、出産に安堵している愛姫に、くれぐれも秀宗を粗略には扱うなと諭します。「あとは兄弟仲良うさせることだ。骨肉の争いほど醜く切ないものはない」

猫御前は、政宗から血を受け継ぎながら秀宗が蔑ろにされることを心配しますが、補佐役山家清兵衛は、秀宗が文武両道に秀でた武将に育てば、伊達の世継ぎにふさわしい人物は秀宗と虎菊丸のいずれか、政宗は改めて思案すると思われると告げます。誰よりも強く誰よりも利発な若武者に……。「今日より母は鬼となる。鬼となってそなたを鍛え上げようぞ!」

翌朝から猫御前の特訓が始まります。腰がぐらついてまだまだ心もとない感じですが、秀宗は何とか食らいつきます。愛姫も遠巻きにその様子を見て、少し不安そうな表情を浮かべます。しばらくして秀宗は逃げ出し、追おうとする猫御前ですが、口を押さえて座り込みます。慶長5(1600)年春、猫御前は2人目の子を胎内に宿していたのです。

 

もはや景勝を謀反と見なし合戦に及ばねばならない、と家康は宣言します。政宗と最上義光を大坂城に呼び出した家康は、両人に先陣を依頼します。政宗は加勢を断りますが、米沢城に陣取る兼続は名将にして戦上手であり、政宗と義光が北から、そして江戸へ出立した家康は南から上杉を攻めるのです。義光は家康が大坂を離れれば三成一派が集結すると危惧しますが、家康はもちろん承知の上です。

6月15日、政宗は伏見を出発し義光も山形へ向かいます。家康は秀頼の名代として江戸に留まり、諸大名の動静をうかがっています。徳川の目付として宗薫が北ノ目城に送られますが、国分盛重は茶人に戦が分かるかと不満です。また出奔した伊達成実の角田城受け取りで、その妻子を殺した矢代兵衛が久しぶりに出仕し、家中にいざこざがあっては戦には勝てないと、殺された登勢の弟亘理定宗と仲直りさせます。

地の利が良くない岩出山ではなく北ノ目城を拠点とした政宗は、上杉勢の立てこもる白石城に猛攻撃を加えますが、反撃するも鋭く苦戦を余儀なくされます。綱元は、本陣から一騎の騎馬武者に目を奪われます。抜け駆けは誰だと政宗はムッとしますが、旗指物から竹に雀の馬印と聞き、それが成実であると気づきます。「全軍一気に押し出せ! 成実を殺してはならんぞ!」

成実が現れ、陣中が湧きかえります。成実はこれまでの無礼を詫び、太平の御代が去って乱世となったからにはお役に立てるであろうと、帰参を政宗に願い出ます。政宗は結果的に妻子を殺めたことを詫び、成実と酒を酌み交わします。実は上杉から5万石でと声がかかり、それを棒に振っての帰参です。「断ってよかった。危うく殿に弓矢を向けるところであった」と笑います。

京・伊達屋敷でのんびり過ごしているところに、大内定綱が急報を持ち込みます。三成が挙兵したのです。毛利・島津・小早川の軍勢はほどなく伏見へ攻め上ってくると、立ち退きを求めます。愛姫と蔦は狼狽(うろた)えますが、定綱は避難先として三本木の屋敷を提案します。政宗もいざという時には三本木の北政所を頼るようにと言っていたのです。

 

7月17日、大坂へ出た三成は反徳川勢力を結集し、毛利輝元を西軍の盟主に迎えます。夜遅くに大坂城の淀君を訪問した三成は、秀頼の名で徳川討伐の朱印状を求めますが、承引致しかねると断ります。あいにく秀頼も朝廷も家康に上杉討伐の判物を遣わしているのです。「三成の心根は身に染みてうれしい……まずは家康の首を刎ねて参れ。さすれば天下思いのままの朱印状を遣わす」

家康は三成の挙兵を下野国(栃木県)小山で知りました。家康は江戸に戻ることにし、次男結城秀康は小山に残して三男秀忠を宇都宮に置き、兄弟で上杉を食い止めるようにします。25日に白石城を落とした政宗に対し、白石に留まりみだりに兵を動かすべからずと最上家親に書状を送らせます。父義光は一向に出陣の気配がなく、裏切るまいのう? と家康に圧をかけられた家親は、父に米沢城攻撃を促すと約束します。

家康が三成の挙兵に応じるべく西へ軍勢を向けたと、政宗は白石城で知ります。対上杉戦は、結城・最上・伊達で抑え込めとのお達しで、最上の危うさを心配する声が上がります。成実はひとまず上杉と和睦をしないと、愛姫ら伏見にいる人たちが危ないと警鐘を鳴らします。家康と三成のどちらが勝つかじっくり模様を見るのが得策です。「世は再び乱れ群雄割拠となれば、天下をうかがう隙も……伊達政宗ほどの者が、家康にむざむざ利用されてはなりませぬ」

西に向かった家康は、しばらく江戸城に腰を据えて諸大名の動きを監視していました。8月半ば、上杉との和睦をほのめかす政宗からの書状が家康の元に届きます。足元を見て脅すつもりだと笑う家康は、上杉を奥州にくぎづけにすれば十分だと、政宗の主張を放っておくことにします。柳生宗矩は、伊達が裏切り上杉につく危険性を訴えますが、アメを舐めさせろと見据えます。「政宗が欲しがるものは何か、よう考えてみい」

家康の返書は9月初め、白石城に届けられます。伊達の本領7か所(刈田・伊達・信夫(しのぶ)・二本松・塩松・田村・長井)を返還すると家康は約束しているそうで、合わせて495,800石、祖先墳墓の地を奪還できるだけではなく、現所領58万石を加えると100万石を超えます。ただ家康が三成に負ければ空証文になるため、和睦した上杉の動きを封じて家康に勝たせることに政宗は力を入れます。

政宗の決断は最上に思わぬ結果をもたらします。兼続が軍勢を率いて米沢と庄内から最上領になだれ込んだのです。山形城は落城寸前となり、窮地に陥った義光の子・最上義康は政宗に援軍を求めます。義光に借りはないと政宗は断りますが、義康が持参した保春院(お東)の書状に目を通した政宗は、一転して留守政景に援軍の大将を命じ山形へ向かわせます。「義光どのを助けるのではない。そなたを助けるのだ」

慶長5年9月15日、折しも天下分け目の関ケ原の戦いが始まろうとしていました。

脚本:ジエームス 三木
原作:山岡 荘八「伊達政宗」
音楽:池辺 晋一郎
タイトル刻字:長 揚石
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[出演]
渡辺 謙 (伊達政宗)
三浦 友和 (伊達成実)
西郷 輝彦 (片倉小十郎)
桜田 淳子 (愛姫)
音無 美紀子 (蔦)
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奥田 瑛二 (石田三成)
樋口 可南子 (淀君)
谷 啓 (今井宗薫)
石橋 蓮司 (柳生宗矩)
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語り:葛西 聖司 アナウンサー
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原田 芳雄 (最上義光)
秋吉 久美子 (猫御前)
津川 雅彦 (徳川家康)
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制作:中村 克史
演出:西村 与志木

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『独眼竜政宗』
第37回「幻の百万石」

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