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2026年8月30日 (日)

大河ドラマ豊臣兄弟!・(33)北庄(きたのしょうじょう)城の別れ

天正11(1583)年4月、羽柴秀吉と柴田勝家は賤ヶ岳周辺で決戦に臨みます。兵力で圧倒する羽柴軍の前に柴田勢はなすすべもなく、勝家は北庄城へと敗走します。しかし秀吉は、勝家はまだ生きていると北庄城攻撃を命じ、羽柴長秀が降伏を促すよう進言するのも聞かず、前田利家に北庄城攻撃の先鋒を依頼します。利家はムッとしつつ、承知、と小声で返答します。

北庄城に戻ってきた勝家ですが、お市に城を離れるよう促しますが、「おなかは減っておりませぬか」と拍子抜けする一言です。膳が用意されますが、侍女たちはすでに逃がしているため、なんとお市お手製です。このようなことをしている場合ではありませんが、せっかく作ったのにとお市がふくれてしまうので、渋々箸をとる勝家です。「おいしゅうござる」「相変わらず嘘が下手じゃなあ」

膳はすべて平らげ、改めて逃げるようお市に勧めますが、お市が浅井長政に嫁いだ日のことを振り返ります。いっそお前と一緒になるほうがマシであった、とざれ言を言い、勝家がドギマギする様子が昨日のことのようです。「でも今はざれ言ではありませぬ。長政どのもあなたさまも、私にはもったいないお人でした。私はよい夫に恵まれました。もう十分でございます。私もともに逝きます」

数か月前まで与力だった利家軍が北庄城を取り囲みます。準備もでき、秀吉の号令待ちですが、お市の娘たちが城を落ちるまで総攻撃は控えます。蜂須賀正勝は、姫たちだけでよいのか(お市は助けなくてもいいのか)と再確認し、そこは長秀もとても気になるところですが、秀吉は陣の壁をドンドンと殴り「是非もないこと」と頷きます。

茶々、初、江がお市の前に並びます。美しくなったなぁとお市は目を細めます。初は一緒に城を落ちることを進言しますが、断られます。逆に城に残ると茶々が食い下がっても、それはならぬと見据えます。お市は織田信長からもらった守り刀を茶々に与え、「守り刀は己の身を守るためのもの、秀吉と刺し違えようなどとゆめゆめ思うてはならぬぞ」と、妹たちを守るよう諭します。

初と江はやはりお市と離れたくないと泣きじゃくりますが、茶々は凛として泣くなと叱ります。妹たちを守ってゆく、その覚悟を固めた茶々は、自分たちのことは何も心配いらないとお市を安心させ、あの世に行ったら信長と浅井長政に「織田と浅井の血は我らが決して絶やさぬ」と伝えてほしいと見つめます。それでこそ我が娘じゃとお市は涙を浮かべます。

城門から出てきた三姉妹を黒田官兵衛と石田三成が出迎え、秀吉は北庄城に総攻撃を下知します。丸太で門扉を打ち破り、利家を先頭に羽柴軍が城内に突進していきます。

勝家とお市の最期の時です。もう嫁いだ者の最期を見るのはたくさんと、お市が先に自害しようとしますが、のど元につきつけた短刀を勝家が握り、自害を止めます。動揺し、大粒の涙を流すお市を、勝家は見据えます。「いま一度抗いましょうぞ。この勝家が最後までお守りいたしまする」と、お市の手を取って歩き出します。

北庄城近くの秀吉の陣では、副将として留め置かれた長秀がどうすることもできず震えていますが、秀吉はうつむいて涙を流しています。「行くでない!」と秀吉は長秀に命じます。それは、心の奥底ではお市を何とかして助けたいと切望しながら、お市を自分の最大の敵であるとみなした秀吉の、情と理の狭間で苦しみ抜く男の姿でした。しかし長秀は、自分の気持ちには耐えられず城に向かいます。

ずんずん歩いていく勝家とお市ですが、城内に攻め込んだ兵たちが容赦なく斬りかかってきます。勝家は右手で敵を斬り倒しながら、左手ではしっかりとお市の手を握っていました。階段を駆け上がり、斬りかかる兵たちを倒しつつ天守に上がった二人は、藤堂高虎ら羽柴軍の兵たちを前に「よう見ておけ」と天守から身投げします。ギリギリ駆けつけた長秀でしたが、その衝撃的な場面を目撃してしまいます。

 

夕方になり、北庄城には火の手が上がり、眼を見開く秀吉は静かに勝鬨(かちどき)を上げるよう命じます。利家が立ち上がり、ひとり勝鬨を上げ、秀吉がそれに続き、軍全体が勝鬨を上げますが、これまでの戦でのものとは違い、利家も秀吉も、号泣しながらの勝鬨です。城の焼け跡にひとりたたずむ長秀も、2匹の蝶が連れ添って飛んでいくのを見て、感情をあらわにして突っ伏し、雄叫びをあげます。

一方、織田信雄は、捕縛されて連行された織田信孝を軽蔑した眼差しで見ています。お前が勝ったのではないといきり立つ信孝ですが、岐阜から尾張国内海へと送られ、自害させられます。秀吉は三法師を自らの庇護下に置き、信雄の補佐役となって播磨姫路城で戦後処理を行います。利家に討ち取られた中川清秀の嫡男・秀政には優しい言葉をかけて秀吉の家臣とします。

秀吉は三姉妹を寧々のもとに案内します。途中、守り刀を抜いて秀吉に斬りつけようと試みる茶々ですが、目の前を蝶が舞い、そっと秀吉の肩に乗って羽休めをします。その蝶にお市の姿を重ねた茶々は刀を収めます。対面した寧々は、無言を貫く茶々に「名を名乗りなさい」と命じ、取りなす秀吉を差し置いて、よからぬ振る舞いはお市の名を汚すことになると礼儀について諭します。

長秀ですが、大徳寺に籠ってお市の菩提を弔う日日で、今回ばかりは戻って来ないかもしれません。廊下を雑巾がけしていると、ひとりの茶人とぶつかってしまい、その茶人は国1つ分の勝ちがある茶器を落とし割ってしまいます。恐縮して謝り倒す長秀ですが、茶人はニッコリと微笑んで「おもろいなぁ」とつぶやきます。茶人は千 宗易、後の千 利休です。

壊してしまったと愕然とする長秀を横目に宗易は茶器を修復し、前よりずっとええわ、と高く掲げて満足げです。宗易はその修復した茶器で長秀に茶を点てます。おいしくいただく長秀ですが、わしもと自ら点てた茶を飲んだ宗易は、あまりに苦くてしかめっ面です。実は茶が苦手な宗易は、懐から取り出した甘い菓子(黒砂糖?)をほおばります。

「この先、こんなええもんが待ってると思うたら、割れた茶碗直すのも苦い茶すするんも、楽しいやないか?」と、宗易は甘い菓子を1つ長秀の口の中に放り込みます。その味を楽しんだ長秀は自然と笑みがこぼれ、皆にも食べさせてやりたいと至福です。その笑顔に見とれる宗易ですが、慌てて甘い菓子が入った巾着袋を懐にしまいます。

大徳寺の鐘の音に、まだ若い時分に秀吉、小一郎(長秀)、直の3人で「願いの鐘じゃー、いざ参ろうぞ!!」と尾張中村を飛び出していったころのことを思い出した長秀は、フッと笑って立ち直ります。慶(ちか)は、長秀が思い詰めて命を絶つかもしれないと大徳寺に駆けつけ、恐る恐る長秀に近づきますが、その必要はなくなったようです。「次からは……苦しむなら私の前で苦しんでください。もっと私を頼ってちょ」

 

姫路城に戻った長秀は、長期間の不在を秀吉に詫びます。励まそうと言葉を選ぶ秀吉に、天下一統への覚悟を打ち明けてからの秀吉は笑っていても心で泣いていると長秀は指摘します。容易い道でもなく手を血に染めることもある中で、その先にみんな笑って暮らせる世があるならば、天下一統も楽しい道のりだと笑います。そもそも自分が励ますつもりが逆に励まされ、秀吉は戸惑います。

ただ、どうせならみんなで笑うとするかと、秀吉は家族や家臣たちを集めて宴を開くことにします。準備段階でかなり待たされる家臣たちですが、秀吉は長秀とともに総髪から月代を剃り上げた姿に変身して登場します。「上さまの後を継げるのは、わしのほかにはおらぬ。わしが天下人になる」 百姓だった自分が天下人になれば、みんな夢を持って生きられる世の中を作りたい……。


作:八津 弘幸
音楽:木村 秀彬
語り:安藤 サクラ
脚本協力:片桐 正博
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[出演]
仲野 太賀 (羽柴美濃守長秀)
池松 壮亮 (羽柴筑前守秀吉)
吉岡 里帆 (慶)
浜辺 美波 (寧々)
坂井 真紀 (なか)
宮澤 エマ (とも)
倉沢 杏菜 (あさひ)
井上 和 (茶々)
池田 鉄洋 (丹羽長秀)
高橋 努 (蜂須賀正勝)
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吉岡 秀隆 (千 宗易)
大東 駿介 (前田利家)
山口 馬木也 (柴田勝家)
宮﨑 あおい (市)
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制作統括:松川 博敬・堀内 裕介
プロデューサー:高橋 優香子・国友 茜
演出:渡邊 良雄

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』 第34回「最強のライバル」

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