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2026年8月16日 (日)

大河ドラマ豊臣兄弟!・(31)これで、お別れにございます

【アヴァン・タイトル】

清須会議の結果。名代は据えず、織田家の当主・三法師を秀吉たち家老衆が補佐をするという体制になった。また領国の配分も取り決められた。中でも秀吉は、織田家家中で最も大きな所領を持つに至り、山城の地に山崎城を築いた。こうして織田政権が再び動き出す矢先のこと──。


天正10(1582)年8月、越前北庄城に戻った柴田勝家は朝餉を取りますが、どこかぎこちない姿で食事もなかなかのどを通りません。何でも目の前にかねてより憧れていたお市が、妻として座しているからです。お市の方から“私を娶れ”と命じた以上、勝家も主君に仕える感覚で平身低頭ですが、お市にはそれが窮屈そうです。勝家もそのたびに“しまった……”という表情を浮かべ、冷や汗をかいています。

蜂須賀正勝は、あのお市が鬼柴田と!? と納得のいかない様子ですが、そもそもは羽柴秀吉がお市に再婚を勧めていたことでもあります。黒田官兵衛は、もし勝家が何かをしだしたら、秀吉や長秀と仲の良いお市が間に立って勝家を諫めてくれるという真の狙いを指摘します。長秀は身内で争っている場合ではないと秀吉に忠告します。「無論じゃ。柴田どのと争うつもりなどない、わしはの」

安土から、織田信孝が三法師を岐阜に連れていったまま手放さないと訴える書状が届きます。安土城は前の戦で焼け落ち、現在修繕中であり、そのようなところに織田家当主たる三法師に住まわせるわけにもいかないと、自分が預かってお守りするというのが信孝の言い分です。このままでは信孝が三法師を手懐け、織田家を思うがままに操る可能性もあり、暴挙は見過ごせぬと秀吉は信孝を諫めるつもりです。

よき大義名分が出来たと官兵衛はニヤリとしますが、仮にこじつけであっても安土城を修繕している間としている以上、それを力でねじ伏せて三法師を奪い返したとあっては、こちらが筋を曲げたと周囲に取られかねず、危機感を抱いた長秀は安土城修繕を担う丹羽長秀に修繕を急いでもらい、三法師を留め置く筋が通らないようにしなければなりません。官兵衛は、これが信孝の一存かと疑問に感じ始めます。

さっそく北庄城のお市の元に、秀吉から書状が届きます。信孝が三法師を手放さないということは明らかに清須会議での取り決めに反することであり、取り決めを守るようお市からも口添えを依頼する内容です。もし勝家が関わっているようであれば諫めてほしい……。それを聞いた勝家は、勝手な真似を先にやり始めたのは秀吉の方だと怒りに震えます。「それゆえに私はここにいるのです」

勝家に“私を娶れ”と命じたのは、秀吉の暴挙を止めなければならないという心理が働いたからです。秀吉は信長が目指した世を自らの手で為そうとしているのです。そのためなら織田をも滅ぼす覚悟が、お市には見えたのかもしれません。信長の妹である自分を旗頭に逆臣を討つ。そのために力を貸してほしいと勝家にお願いしていたのです。あやつが兄上の代わりなど、と吐き捨てるお市は、怒りに任せて書状を切り裂きます。感情をあらわにするお市を見たのは勝家は初めてで、圧倒されます。

 

長秀は坂本城に赴き、丹羽長秀にあと10日ほどで修繕を完了させてほしいと願い出ます。半月ほどでは? と長秀は譲歩しますが、丹羽長秀はあと1日と真顔で答えます。「約束したところで、それを守らねばよいのじゃろ?」 清須会議で約束したことを反故にして、秀吉だけが筆頭家老として三法師を支える構図にしたことを根に持っているのです。もはやともに三法師を支えられないと、関係を断ち切られます。

帰りに前田利家とすれ違った長秀ですが、利家の自分を見る目が敵を見るかのようで、同じ織田家のお仲間であり、3ヶ月前まで一緒に戦っていた同志だと訴えます。利家は、人のことをとやかく言う前に己の振る舞いを顧みろと長秀を冷たく見放します。「明智を討ったからといって図に乗るでない! とサルに伝えよ」

城に戻った長秀は危機感を秀吉に訴えますが、秀吉は笑っています。この様子ではやはり勝家は裏で信孝と通じているかもしれません。丹羽長秀が怒っていた、自分たちに相談なく諸将の所領を勝手に決めていた件も秀吉は否定をせず、長秀は兄は自分を騙したのかと怒りがふつふつと沸いてきました。秀吉に恩を感じて通じてくる者も多い一方、丹羽長秀や池田恒興の信を失っては元も子もないと爆発させます。

長秀は、秀吉が信長の葬儀を執り行えばいいのだとひらめきます。喪主を三法師にすれば、三法師を預かったままの信孝も連れて来ないわけにもいきません。そうしてみなが再び集まった時に話し合えばいいわけです。さっそく葬儀を執り行う旨は、お市や丹羽長秀、信雄や信孝の元にも送られますが、申し合わせたようにお断りの返事です。

すでに信長の法要はお市を喪主に妙心寺で行われていて、そちらに参列したとのことです。秀吉は参列していませんが、「呼ばれておらぬからのう」と他人事です。ただ1つだけはっきりしたことがあります。自分たちが相手にすべきは信孝や勝家だけではなく、お市も敵であると秀吉はみなし始めます。葬儀は、信長五男である羽柴秀勝を喪主にして行い、誰にも文句は言わせません。

 

10月、京の大徳寺で秀吉によって信長の葬儀が執り行われます。執行にあたっては今井宗久の協力を仰いだ秀長ですが、実はこの寺でできたのは宗久ではなく、千 宗易の力が大きかったわけです。そこに藤堂高虎が駆け込んできて、長秀は慌てて行ってしまいました。「相変わらずせわしないなぁ、はははは」と宗久は笑います。

大きな葬儀のような人の出入りが慌ただしい中に紛れて、秀吉を討とうとした刺客を3人捕らえたのです。刺客の腰には苦無のような武器が並び、それを見た長秀は「伊勢か……滝川どのの手の者じゃな」と断定し、他にいないか探索を命じます。葬儀は中止にすることもできず、秀吉の身は自分たちで守るしかないと長秀は見据えます。

最後に秀吉は信長が愛した舞『敦盛』を舞い、喪主秀勝に代わって挨拶をします。命を懸けて三法師を助け、信長が目指した新しい世にしてみせると宣言した秀吉は、自分を狙った刺客たちを、名代を立てた丹羽長秀や恒興のように、滝川一益の名代とみなして解放します。その様子を裏から見ている利家です。秀吉は懐から信長の草履を取り出し、位牌の前にそっと供えます。「これでお別れにございます」

やはり行くべきであったかの、と名代からの報告を聞いた丹羽長秀は腕組みをして考えていますが、こうやって騙されてしまうと首を横に振って煩悩を消し去ります。名代は太い巻物を丹羽長秀に渡します。ずっしりと重い巻物です。

信孝の元には再三にわたってお市からの使者が来ますが、信孝は無下にも追い返します。その横には一益がいて、秀吉を狙わせた刺客たちは秀吉に寝返ったと報告します。戻ってくれば命はないと悟ったのでしょう。「死ぬと分かっていておめおめ戻るバカはおらぬ、あまり悠長に構えていては敵が増えるばかりだ。見せしめねばなるまい」と口を真一文字に結びます。

 

信孝はどうあってもお市・勝家側に三法師を渡さないようです。むしろ秀吉が力づくで三法師を奪いにくれば、信孝と一益とで取り囲み一網打尽にできますが、今の秀吉は行動を控えていてそれもできません。利家は秀吉への怒りを爆発させ、秀吉のことになると熱くなりすぎると勝家にたしなめられますが、秀吉の名代として長秀が来たと知るややっぱり怒鳴り声をあげ、お市や利家は勝家を冷めた目で見ます。「あ……いや」と舌打ちです。

お市がこれほど遠くに行ってしまったと痛感した長秀は、袂を分かつ前までの引き返しを求めますが、戻れぬとお市は長秀を見つめます。織田を敬い共に生きるとはこういうことだと、お市は羽柴の所領を播磨以外すべて柴田に譲り、身内を3人人質に出せと要求します。織田の誇りを守りたいお市ですが、秀吉が新しい世を作るなら織田を滅ぼすしかないと分かった上で、短刀を長秀の前に置きます。

「私を殺してみよ。織田家を滅ぼすとはそういうことじゃ。それができぬなら、お前らに勝ち目はない。新しき世を作るなど到底成し得ぬ。兄上の志は私が受け継ぐ。お前らなどには渡さぬ。話はこれまでじゃ。……そなたらを止めることが、いま一度、生きる力となった。礼を申す」 長秀はそれでも食い下がり、秀吉とまた参りますと頭を下げ、しぶといと呆れられます。

丹羽長秀が秀吉側につく決心を固めます。利家は必死に翻意を促しますが、秀吉に託された起請文が長秀を動かしたと言っても過言ではありません。秀吉につくことを誓い起請文を交わした織田家諸将の名がずらずらと並んでいます。秀吉よりも高みにいたはずが、いつの間にか秀吉を見上げています。「口車に乗ったわけでも情にほだされたわけでもない。わしは……羽柴秀吉に屈服したのじゃ」

信孝はあたかも自分が三法師の名代であるように振る舞い、さんざんお諫めするも聞く耳を持たず、美濃にいる秀吉に味方する者たちも信孝に討たれようとしています。たとえ織田家の人物であっても容赦はしないと秀吉は宣言します。しかし現に三法師は信孝の手の内にあり、うかつに攻めれば秀吉側が逆臣となり得ますが、そこは信雄が秀吉の後ろ盾になることで避ける方向です。「これより岐阜へ向けて出陣いたす」


作:八津 弘幸
音楽:木村 秀彬
語り:安藤 サクラ
脚本協力:片桐 正博
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[出演]
仲野 太賀 (羽柴小一郎長秀)

池松 壮亮 (羽柴筑前守秀吉)
池田 鉄洋 (丹羽長秀)
高橋 努 (蜂須賀正勝)
渋谷 謙人 (前野長康)
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大東 駿介 (前田利家)
山口 馬木也 (柴田勝家)
宮﨑 あおい (市)
小栗 旬 (織田信長(回想))
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制作統括:松川 博敬・堀内 裕介
プロデューサー:高橋 優香子・舟橋 哲夫
演出:廻田 博思

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』 第32回「賤ヶ岳の決闘」

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