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2026年8月 3日 (月)

プレイバック琉球の風 -DRAGON SPIRIT-・(08)受難

慶長11(1606)年1月。6月に来る明国の冊封使の陣容が明らかになります。総勢500名、滞在日数150日、正使夏子陽、副使王士禎。夏子陽は謝名親方が南京国子監(こくしかん)で学んだ際の恩師であり、王士禎はその時一緒に学んだ学友の子息です。ともに人柄も良く明国有数の逸材です。尚寧王は、冊封使迎え入れの行事は琉球の政最大の重要事と位置づけ、心して準備に取り掛かるよう命じます。

琉球民護送の件(4年前の陸奥国・3年前の平戸)について、徳川家康に対して謝恩使を出せと薩摩からの矢の催促です。冊封使迎え入れの準備で忙殺されていると弁明したはずですが、家康は納得していないのです。名護親方と城間親方はすぐに謝恩使をと進言し、浦添親方と謝名は反対の立場をとります。家康の目論見は琉球を幕府に従属させ、明貿易の仲介役を務めさせるためなのです。

尚寧は、謝名を三司官に昇格させ、冊封使の接待と琉球の厳しい状況に対処させたいと考えていますが、謝名の出身地久米村の者が三司官になるという前例がなく、王府の中に不満があるようです。尚永王妃は、王族の尚 朝仲が謝名の娘を後添えに望み、尚寧がこれを認めれば、謝名は王族の身内となり誰も反対できないと助言します。

謝名は娘の思乙金(うみとぅがね)を呼び、朝仲の前妻の娘・真宇志金(まうしかね)が、5歳で難しい年ごろというのを考えて、朝仲の後添えに入ることに悔いはないのかと尋ねます。ただ花嫁修業のつもりで朝仲に仕えさせた数年があり、朝仲の性格も知っているし、真宇志金も母のように慕ってくれていると笑顔を見せます。謝名は娘を見つめます。

結果、尚永王妃の助言通り、謝名が三司官に昇格することになりました。昇格祝いでみんな踊り狂っている中、思乙金は父の世話を軍陀利にお願いすることにします。思乙金の必死の説得に軍陀利は快く引き受け、久米村出身の謝名に恥をかかせないように頑張るつもりです。

啓泰は謝恩使を家康に送るべきと謝名に訴えます。しかし謝名は、謝恩使を送れば薩摩が琉球を属国扱いするし、薩摩を介さずに家康と直接やり取りできれば謝恩使を送るが、それを薩摩が許すはずがないと従来の主張を繰り返します。京に行って家康を説得したいという啓泰ですが、謝名は聞き入れません。「お前はまだ見えてないことがある。薩摩の背後にあって薩摩を操っているのは家康どのだ」

──そのころ、薩摩では琉球の領土である奄美大島への、武力侵略の計画が密かに進行しておりました。しかし義久はその談合には加わらなかったのでございます。島津義久は、謝名が三司官に昇格し強気の政を行うことで、琉球はいよいよ逃げ場を失うとつぶやきます。弟島津義弘と甥の島津忠恒は奄美大島入りの許しを家康に求めていますが、馬鹿者めが! と義久はこれを非難します。

家康が薩摩の武力を使って琉球を征服した後、明貿易の利益は家康が独り占めするつもりと義久はみています。清水半蔵を大坂城に派遣して豊臣秀頼と淀に対面させることにします。2人を味方にしておけば、家康にとっての“目の上のたんこぶ”である豊臣に恩顧を受けた大名は、薩摩の意のままに動かせると考えているのです。

そして楊 邦義、富、娘の美矢、その許婚(いいなずけ)である松之助の4人で琉球に行き、「家康に謝恩使を送ること」、「琉球に朝鮮出兵の分担金を支払うこと」の2点について謝名を説得するよう命じます。もしこれらを謝名が承諾すれば、義弘らの大島出兵への口実がなくなってしまうのです。謝名に人の命の尊さを説け、何物にも代えがたいものだと……。

 

──このころ、家康は将軍職を秀忠に譲り、大御所としてのより大きな実権を握っておりました。

京都・茶屋四郎次郎の別邸。二代目茶屋四郎次郎である兄清忠の急逝で名跡を継いだ又四郎は、三代目となり茶屋四郎次郎清次と名乗っています。咳き込む家康に、清次は南蛮から取り寄せたオットセイの肉を粉にした薬を進呈します。これが噂の“長寿の薬”と聞いて、家康は指につけて舐めてみますが、まずいのう としかめ面をします。

忠恒が奄美大島入りを願い出たと家康は話題にします。琉球入りが目的であろうに奄美大島とは、勝手元が苦しいのだろうと清次は推測します。薩摩ほどの大国が落ちぶれたものだと家康はつぶやきますが、そう仕向けたのは家康自身です。ただ家康は「わしゃ何もしとらんぞ」と笑います。

その別邸には、琉球から啓泰が来ていました。部屋に駆け込んできた羽儀に、奇羅波丸が役人になり王府で働くことになったと報告し、羽儀は驚きます。啓山は“かぎやで風(かじゃでふう=格式高い琉球舞踊)”を踊ることになったと聞き、羽儀は見たい気持ちで満たされます。いずれは啓山を京に呼び、出雲阿国の女歌舞伎を見せてやりたいと夢を語ります。

真鶴は家康に、啓泰がお目通りを願い出ていると仲介します。4年前、陸奥国に漂着した啓泰がこの屋敷に寄った際に家康に親しく声をかけてもらったことを告げますが、最近物覚えが悪くなって、啓泰という者は覚えていないと家康は返答します。啓泰は琉球の危機と必死に懇願しますが、真鶴はうつむくばかりです。予想外の展開に啓泰は夜も眠れません。

そして眠れないのはもう一人、羽儀です。俺の女になれ、と清次に迫られているのです。心に決めた啓山がいると打ち明け、逃げ惑う羽儀ですが、あっという間に清次に捕まり、趣味悪いピンク色の光に照らされた西洋式ベッドに押し倒されます。「私は茶屋四郎次郎の三代目だ……私に逆らえるものなら逆らってみろ」と羽儀の口を押さえ、二人の身体が重なります。

厠に立った啓泰は、羽儀がうずくまっているのを見て駆け寄ります。羽儀が“清次を殺して……”とつぶやくところから、およそ起こったことが想像でき、真鶴に止められるのを振り払って、先ほどの趣味悪い寝所に向かいます。清次は満足そうに酒をあおっていました。啓泰は武術で倒そうと清次に迫りますが、清次の“私は羽儀に惚れている”という言葉に、啓泰は手を引きます。

清次は別に啓泰と話がしたいと願っていました。“私を利用すれば大御所さまを動かせるかもしれない”との言葉に、つい立ち止まってしまいます。清次は、琉球と手を携えて南海王国を造りたいと言い出します。南海王国!? と驚く啓泰は、謝 汝烈が全く同じことを言っていたことを思い出します。啓泰は清次を睨みつけ、出ていきます。

真鶴は羽儀に寄り添い、なぐさめます。羽儀はちっとも変わっていない と、その出来事を忘れるように諭します。「神様に誓います。明日から私は生まれ変わります。もう二度と泣きません。どんなことがあっ……ても……二度と……」と号泣する羽儀を、真鶴は強く抱きしめます。そこに戻ってきた啓泰は、複雑そうな表情を浮かべます。

そのころ啓山は名護の稽古場で、浦添百千代が奏でる三線を元に真剣に“かぎやで風”の練習中です。途中で三線の弦が切れてしまいますが、啓山は踊り続けます。

 

──琉球王国には、神々に仕える信女たちがおり、その頂点に立つのが、王族から選ばれた「聞得大君」でございますが、その聞得大君が亡くなられたのでございます。

その白羽の矢が尚寧王妃(真銭金)に立ちますが、王妃は断固として断ります。尚寧と会いたいときは私が取り計らうと母の尚永王妃(真満金)が取りなしますが、もともと王妃は尚寧と仲がいい母に対し嫉妬心があったため、火に油を注ぐ形になります。そこで王妃の妹である思乙金(うみうとぅがね)が「では私が聞得大君をお引き受けいたします」と言い出します。王妃は一日も早く元気なお子をお産みください、と。

さっそく琉球入りした邦義は、啓泰と啓山、美矢、婿の松之助と、4人の子どもたちに囲まれて、謝名は邦義を“幸せな男”だなとつぶやきます。謝名は松之助に琉球をくまなく見てもらおうと、啓泰と啓山に案内させることにします。お互いに良く知り合えば無駄な争いごとはなくなるはずなのです。「謝名親方、ここには琉球だとか薩摩だとかややこしい国境はございません。政も、このようにありたいものです」

巴知羅の店にいる富は、初めて見る甘藷に目を白黒させます。一口食べた富は「あら、おいしい」と笑みがこぼれます。軍陀利によれば、大根と同じで植物の根で台風に飛ばされることがないため、琉球の人たちは、台風が来ても食べ物に困ることがなくなったそうです。食べ物があればここは天国と甘藷をほおばる軍陀利に、薩摩が攻めて来ぇへんかったら天国や と巴知羅が言いかけ、軍陀利に小突かれます。

謝名は邦義に、謝恩使の件、軍資金分担の件、どちらも断ると義久に伝えるよう求めます。薩摩では江戸城増築などで金をむしり取られ、貧乏に陥って爆発寸前です。家康が奄美大島入りを許せば明日にも攻めてくると邦義は警鐘を鳴らしますが、半年間滞在する冊封使に手出しすれば、明貿易への道は永遠に立たれると厳しい書簡も送っています。楊 邦義に政は分からぬと謝名は邦義に言い放ちますが、邦義は謝名を見据えます。「琉球人10万人の命は誰が守るのですか」

ウシの店で、松之助を囲んで琉球の若者たちが酒を飲んでいます。松之助は、薩摩が琉球の品と大和の品を一手に引き受け、明国に斡旋している現状を説明し、薩摩は琉球がなくても生きていけるが、琉球は薩摩抜きでは生きていけないから、琉球は薩摩に従うべきと持論を展開します。啓泰は、薩摩が琉球を拒めば家康と直接取引をするまでだと反論し、琉球などひと思いに潰してやる! と松之助が暴論を吐いたことから、場は乱闘寸前の大荒れになります。ちなみにその間も、啓山は名護の下で稽古真っただ中です。

伏見城では、呼び出した忠恒に諱を与え「家久」と名乗らせます。その家久が願い出ていた奄美大島入りですが、望みが小さいと、家康は琉球入りを認めます。ただし、冊封使が来訪している間は除くという条件付きです。「改めて時を待て。わしは戦は好まぬでの」とニヤリとします。

──1606年6月、第7代琉球王・尚寧の即位式を行うため、明国の皇帝が冊封使を遣わされたのでありました。

 

脚本:山田 信夫
テーマ曲:谷村 新司 「階(きざはし)」
語り:北林 谷栄
音楽:長生 淳
題字:水谷 勇夫
原作:陳 舜臣
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[出演]
東山 紀之 (啓泰)
渡部 篤郎 (啓山)
原田 知世 (阿紀)
工藤 夕貴 (羽儀)
清水 宏次朗 (奇羅波丸)
小柳 ルミ子 (真鶴)
間 寛平 (巴知羅)
毬谷 友子 (軍陀利)
坂本 スミ子 (ウシ)
永島 暎子 (清水 富)
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小林 旭 (徳川家康)
橋爪 功 (名護親方)
津嘉山 正種 (浦添親方)
寺田 農 (清水半蔵)
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室田 日出男 (清水義久)
富司 純子 (尚永王妃)

沢田 研二 (尚寧王)
江守 徹 (謝名親方)
萩原 健一 (楊 邦義)
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制作:音成 正人
制作著作:NHK
共同制作:NHKエンタープライズ
制作統括:高沢 裕之
制作協力:NHKアート
    :NHKテクニカルサービス
演出:榎戸 崇泰

 

◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『琉球の風 -DRAGON SPIRIT-』
第9回「冊封使の季節」

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