2013年12月24日 (火)

プレイバック獅子の時代・(51)獅子の叫び [終]

今年放映の大河ドラマ『八重の桜』関連ということで、
幕末から明治期を時代設定とした2作品『新選組!』『獅子の時代』を
プレイバックシリーズとしてお届けして参りました。

今回、その『獅子の時代』がついに最終回となりました。
拙文をご覧いただき、ありがとうございましたm(_ _)m

──────────

明治17(1884)年11月1日 午後8時。

目印の白木綿をつけた農民たちは、
吉田村 椋神社境内に集合。

農民たちの間にも、いよいよだという緊張が伝わっています。

秩父困民党の「軍律」です。
第一条 私ニ金品ヲ掠奪スル者ハ斬
第二条 女色ヲ犯ス者ハ斬
第三条 酒宴ヲ為シタル者ハ斬
第四条 私ノ遺恨ヲ以テ放火其他乱暴ヲ為シタル者ハ斬
第五条 指揮官ノ命令二違背シ私ニ事ヲ為シタル者ハ斬
(wikipedia「秩父事件」より引用)

蜂起とともに、3人が
大宮郷の警察と郡役所へ請願書を届けることになっています。

それを聞き届けてくれるかどうかは分かりませんが、
やれるところまでやる、というのが今の目標です。
総理の田代栄助は、みなを見渡しながらつぶやきます。
「みな、命さ大事にな」

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2013年12月20日 (金)

プレイバック獅子の時代・(50)自由自治元年

苅谷嘉顕邸に、自由民権論者の青年たちが押しかけてきます。
嘉顕たちが作ろうと考えている憲法は、
自由民権とは反対の独裁憲法だとさんざんに言われますが、

伊藤博文に釘を刺された通り、
政府内の政策方針は他への秘密事項に当たるので
嘉顕はその一切を語りません。

秘密は口にしてはならないと言ってある、と
伊藤は気にも留めませんが、

日ごろから嘉顕を快く思っていなかった大槻信春は
反逆して口にすることがないとは言えないと信用しません。
「目に余るようなら、苅谷君も一網打尽ということを」

グイッと睨みつける伊藤です。

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2013年12月17日 (火)

プレイバック獅子の時代・(49)燃え上がる炎

ビスマルクが支配する統一ドイツ帝国を
憲法の起草運用の調査に出かけた伊藤博文は
約1年の真剣な学問勉強を経て
明治16(1883)年の夏に帰国。

ちょうどその時期、後年 文明開化の象徴とされた
国の迎賓館『鹿鳴館』が完成しています。
総工費18万円をかけたレンガ作りの西洋館であります。
(目安として、前年の伊藤の給料が月約500円)

2台連なって走る馬車。
そのうちの1台の中に、伊藤が目をつぶって乗っています。
そしてもう1台には、苅谷嘉顕と大槻信春が
どちらも緊張した面持ちで乗っています。

完成したばかりの鹿鳴館を視察した伊藤は
日本ではないようだ、と評価しながら
一方で、真似れば真似るほど茶番に見えると辛口です。

実は内心ではそう思っている伊藤でも、
今は猿真似でも何でもやって
力をつけていかなければならないと分かっています。

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2013年12月13日 (金)

プレイバック獅子の時代・(48)生まれ来るもの

もんが、亡くなりました。

世が世であれば、藩重役の娘として名のある家に嫁ぎ
苦労せずに暮らせたのでしょうが、
父の錠一が濡れ衣を着せられてお家を守るために切腹したときから
もんの人生が転落し始めたわけです。

小此木家の墓に線香を上げる平沼銑次ですが
もんの遺骨は会津に持って行こうと考えています。
そりゃあいい、と高松凌雲も賛同してくれました。

凌雲は、銑次が会津に帰って
福島県令(県知事)と自由党の争いに巻き込まれることを心配し
無茶するなよ、命は捨てるなよ、と忠告しておきます。

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2013年12月10日 (火)

プレイバック獅子の時代・(47)別離

高松凌雲の建てた鶯渓病院が、9月13日の台風によって倒壊したことを
秩父にいる平沼銑次と松本英吉が知ったのは、それから8日後。

英吉が秩父から運んで来て凌雲に看てもらっていた村人ですが、
一旦避難させた後上野の病院に託そうとします。
しかしその病院が預かりを断って来て、困惑しているわけです。
銑次は、病人の家族と英吉とともに上野へ向かいます。


もんは、浅草の瑞穂屋に預けてあります。

もんには、起き上がる余力すらありませんが
銑次はわざと明るく振る舞って、元気づけます。
嬉しさのあまり、泣き出すもん。

銑次は凌雲に、もんの病状について真っ正面から聞いてみます。

凌雲によれば、病気は見事に快方に向かいつつあったのですが
先日の台風でひどく濡れ、一気に悪化してしまったとのこと。
大金をはたいて買えるような薬も、存在しないそうです。

凌雲は、できるだけもんのそばについているように伝えます。
手をついて、もんを頼む銑次です。

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2013年12月 6日 (金)

プレイバック獅子の時代・(46)秩父路を行く

明治15(1882)年7月・秩父──。

山奥の松本英吉の家を訪れる平沼銑次。
赤子を背負った無愛想な女に気づかれると
名乗る前に英吉を大声で呼んでいます。

英吉の妻・ムツです。

ムツは、やることはしっかりやっているのですが
何ぶん口がとても悪く、初めて会ったものは必ず驚くというほど。
思ったことをストレートに言うような感じです。

ムツは少しの間を惜しんで畑仕事に忙しいわけですが
夫の英吉が人様のため、とブラブラしているものだから
そりゃ文句の一つも言いたくなります。
でも、英吉の親分肌を一番気に入っているのは、このムツです。

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2013年12月 3日 (火)

プレイバック獅子の時代・(45)絆(きずな)

明治15(1882)年6月。
軽やかなピアノの音色に合わせて
華やかなドレスを身にまとった日本人女性たちが
軽いステップを踏みながらのダンスの練習です。

ちなみにココは東京・永田町界隈──。

ココは日本かしらと見まがうほど
西洋風俗に溢れていたそうです。

日比谷には『鹿鳴館』という
ルネッサンス調のレンガ作りの迎賓館が建築中で、
ヨーロッパを模倣しようという情熱が
政府高官に最も高まっていた時期でした。

それは、西洋への憧れがそうさせたのではなく
徳川幕府が結んだ不平等条約を何とか改正しようという
外務卿・井上 馨らの努力だったわけです。
日本は、諸外国からの輸入品に自ら関税をかけることはできず
犯罪を犯した外国人を裁く権利もありませんでした。

ちなみに、伊藤博文がドイツへ
憲法の調査のために赴いたのもこの年の2月のことです。

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2013年11月29日 (金)

プレイバック獅子の時代・(44)小樽事件

北海道余市に入植した会津藩士たちの苦労は
十数年を経てようやく実り始めていました。
道内で民間によるりんごの栽培に成功しつつあることが
人々の気持ちを励まします。

会津武士たちが投票によって
総取締を選ぶ自治組織を作るまでになっていたのが
着目すべき点なのかもしれません。

周囲を気にしながらではありますが、
平沼保子にりんご園を案内してもらう平沼銑次。
そこへ、函館から小樽へ来た苅谷千代と
小樽で合流した甚助がやって来ます。

もんは小樽でお留守番(^ ^)
……というとかわいげがありますが、
身体を壊して咳き込んでいるので、
行くというのを無理に引き止めたわけです。

ともかく、黒川屋主人の菊子が
銑次ともんの二人を匿ってくれるというので
まずは黒川屋へ戻ることにします。

その後は、なるだけ樺戸集治監から離れた方が良かろうと
横浜ゆきの船にもぐりこんでもらう算段です。

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2013年11月26日 (火)

プレイバック獅子の時代・(43)逃避行

脱走を図った囚人たち26名。

しかし緑ばかりの原生林の中で
赤ともオレンジとも言える非常に目立つ色の囚人服では
逃げていてもすぐに見つけられますし、

走り続ける囚人たちも、冬の極寒を越えたばかりで
看守たちにくらべれば体力的にも弱っているはずで、
後ろから鉄砲で撃たれ、あるいは斬り殺されてしまいます。

26名のうち、逃亡を諦めて自首した者が6人、
捕らえられて殺された者が11人。
残り9人が現在も逃亡中であります。

看守たちも必死です。
24時間以内に全員を捕らえなければ、
罰として彼らが投獄されるきまりだったのです。

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2013年11月22日 (金)

プレイパック獅子の時代・(42)大脱走

もんが、樺戸集治監のある村を離れたのは10月末。

平沼銑次を慕って東京からここまで来ましたが、
痛くもない腹を探られて
銑次を苦しめることにもなるためです。

また、ここに居続けても銑次に会える確証はなく
もんはここを離れる他なかったわけです。


「諸君、寒さはますます厳しくなる!」
「諸君、本当に寒くなるぞ!」
入浴時も行進時も、住田の主張は続き
そのたびに看守たちの折檻が入ります。

どういうわけか、銑次の元にやすりがあるわけですが(^ ^;;)
恐らく、甚助の尽力で岡浦看守経由で
銑次の元に行ったものと推察しますが、
銑次のいる部屋の囚人たちで、代わりばんこに
房の木をやすりで削っていきます。

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