2024年4月19日 (金)

プレイバック風と雲と虹と・(32)裁(さば)きの春

平 将門と鹿島玄明は武蔵の家に向かいます。小次郎と玄明は東山の道をゆく。この先の以前武蔵が住んでいた家に、京に潜入した純友が待っているはずであった。なぜ藤原純友は海賊の首領になったのか、将門はその答えを本人の口から聞きたいのです。純友の志が分からないわけでもないのですが、賊の手でこの国が変えられるかという疑問も正直あります。

「何なのかなぁ、賊とは」と玄明はつぶやきます。将門は“人を害し奪う者”を賊と定義しますが、だとすると公も賊だと言えそうです。純友が“内裏にすくうシロアリども”とよく口にしていましたが、中央の高官や公卿たちから地方の役人に至るまで、冷酷に人を害し無慈悲に奪うわけです。将門は、玄明が純友と同じ考えをするようになったのかと笑います。「さあ、急ぎましょう」

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2024年4月16日 (火)

プレイバック風と雲と虹と・(31)龍と虎と

重なる不幸についに遊女の身となった貴子と、小次郎は出会った。みじめな再会である。 どうしてこんなことに……と将門はやるせない思いですが、貴子は泣いて答えません。「私は坂東で太郎に言いました。あなたを不幸にしてくれるなと」 貴子はいたたまれず、部屋を飛び出します。廊で泣き崩れる貴子を、酒を運ぶ召使の婆は貴子を無言で見下ろし、通り過ぎていきます。

貴子の脳裏に、荒れ屋敷で宿をとる貴子たちが山賊に襲われたときのことが鮮明によみがえります。抵抗した乳母が斬り殺され、貴子がなぶりものにされたのでした。将門はそれを婆から聞き、怒りに震えます。貴子は山賊に拉致され、5日後に山賊から人買いに売られて京に戻り、都で遊び女宿に売られたというわけです。小次郎はすべてを知った。声を上げて泣きたい思いだった。

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2024年4月12日 (金)

プレイバック風と雲と虹と・(30)遊女姫みこ

平 将門は、良子や平 将頼らの見送りを受けて京に向けて出立します。承平6(936)年の秋も闌(た)けた10月、小次郎は再び都へ向かう。前年2月、源家一族および平 国香と合戦闘諍(とうじょう)に及んだ件について、太政官が裁きのため都へ呼び寄せたのである。

その道中を、季重が草むらに身を潜めて見守っていました。鹿島玄道は、季重がまだ将門を仇と付け狙うのかと笑います。将門が晴れ晴れとした明るい顔で都に向かったとつぶやきますが、それは季重も同意見です。明るいというか、さわやかというか……。「あれだけの男に討たれたと知ったら成仏するかもしれぬ。俺の弟も」

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2024年4月 9日 (火)

プレイバック風と雲と虹と・(29)脅(おび)える都(みやこ)

小次郎は三たび勝った。上総の良兼勢、水守(みもり)の良正勢、そして彼らが下野の豪族たちからかき集めた兵を合わせて、総勢2,300。その中には太郎貞盛の姿もあった。だが小次郎はその20分の1の兵力をもって、見事に打ち破ったのである。そしてその夜──。下野国府に赴いた平 将門は、戦で騒がせた詫びと経緯について説明に来たと、下野守・大中臣全行への面会を求めます。

なだめあしらう平 良兼とは違い、将門はとても丁重な接しぶりで、全行は権威を示すため政庁で対面することにします。下野守・大中臣全行(またゆき)、この春に赴任してきたばかりである。全行の前に進み出ようとした将門に、直答はならないと役人は注意します。小次郎は突然ばかばかしくなった。あの、いやな都の生活を思い出したのである。

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2024年4月 5日 (金)

プレイバック風と雲と虹と・(28)坂東震撼(しんかん)す

田原藤太は、武蔵が平 将門のことを知っていることに興味を示します。下野の豪族・田原藤太の館に、かつて坂東へ向かうといったきり消息を絶っていた武蔵の姿がある。藤太は山道に倒れていた武蔵を救って館に連れてきたのです。いつもでもいてくれていいと言いつつ、去りたいときに去れと武蔵に任せます。「が、どうやら戦が起きるような。それが落ち着いてからにせい」

同じく坂東の武蔵国、消息を絶った主の姿を求めて季重が来ていた。山賊たちが京から来たいい女にはもう出会えねえと鼻の下を伸ばしています。季重は山賊たちの前に現れ、殴りつけます。彼は山賊たちの話題の主がもしや武蔵ではないかと思ったのである。山賊のひとりが婆から貴子姫と呼ばれていたと思い出し、季重は思い出します。

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2024年4月 2日 (火)

プレイバック風と雲と虹と・(27)折れた矢

承平6(936)年6月、平 良兼は1,000騎を動員し、小次郎将門を討つため兵を起こした。上総を出た良兼は、良正の済む水守(みもり)へとその軍勢を進めていた。平 良正は凛々しい姿の兄 良兼に大喜びです。案の定、平 貞盛はここにはいないわけですが、良兼は蓮沼五郎に常陸府中の貞盛のところへ書状を持って向かわせます。

良兼には、一門の統制を乱す者として平 将門を討つという目的がありますが、貞盛には“考えるところがあって”合戦には加わらないと断言します。五郎は、貞盛が参陣しない場合は首に縄をかけてでも連れて来いと良兼の言葉を伝えますが、自分の屋敷でそれができるかと貞盛はニヤリとします。五郎は「またこうも申されました。一門の長たるわしの命に背けば兵を送って討つ」と伝え、帰っていきます。

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2024年3月29日 (金)

プレイバック風と雲と虹と・(26)海賊大将軍

京の貴子の屋敷が失火から炎上した。承平6(936)年春のまだ浅いころであった。その時から貴子は雨露をしのぐ影もない身の上になった。すでに太郎貞盛が都を去ってから1年近く、生活の助けも途絶えて久しかった。行くところは、あの火雷(からい)天神しかなかった。貞盛の京屋敷に召使の婆が赴いてみますが、貞盛は言うに及ばず郎党家人に至るまでみな関東に帰ったそうです。

貞盛に貴子を思う気持ちが少しでもあればとつぶやく婆を、乳母はたしなめます。火雷天神にすがるより他にないと、貴子とともに手を合わせていますが、乳母は今でも火雷天神にお祈りすれば貴子の運は開けると信じて疑いません。かつてこの社の巫女・多治比の文子(あやこ)が「貴子の運は東の男によって開ける」と託宣した。今の貴子は、もうそれを信じられなかった。

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2024年3月26日 (火)

プレイバック風と雲と虹と・(25)風の決意

承平5(935)年10月21日、世にいう「川曲(かわわ)の戦い」で再び小次郎は勝った。馬上のまま両手を広げ、自分目がけて突進する平 将門に、恐怖に襲われた平 良正は身を翻して敗走。水守の館に逃げ込みます。平 将頼らは土地を得るため水守館を焼き払えと兄を唆しますが、もうよい、と将門は館を睨みつけます。「この坂東で土地を増やしたいなら、額に汗して開墾すればよいのだ」

将門勝利の報を佗田真樹から聞いた平 貞盛は、良正叔父でも叶わなかったかと大笑いします。睨みつける真樹は、貞盛が良正に加勢していれば勝てたなどと言うつもりはなく、そもそも貞盛が父・平 国香の仇討ちをしなければならないのは、それが坂東武者の道だからだと説得します。貞盛は庭を眺めて息をつきます。「やれやれ。いずれにせよ当分都へは帰れぬのだな」

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2024年3月22日 (金)

プレイバック風と雲と虹と・(24)川曲の戦い

太郎貞盛は坂東へ帰って来た。坂東の人々は、彼が小次郎将門を父の仇として弔い合戦を挑むものと期待していた。いや、そう信じて疑わなかった。坂東での最初の宿を相模国の府中でとった貞盛一行は、翌日の夕方には下総に入った。今夜は下総の府中で泊まり、明日に常陸の府中に向かうと思われます。

常陸の府中には、石田(しだ)から落ちた源家の残党や平 国香の家族がいて、水守(みもり)の平 良正も出入りしているようです。平 将頼は、下総から常陸に向かう貞盛を討たせてほしいと願い出ますが、将門はそれを認めません。貞盛は平 繁盛や佗田真樹ら少人数で下総入りしたということは、将門を信じている証なのです。「戦う用意のない敵を不意打ちなどはしない。男としてその信頼を裏切ることが出来るか?」

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2024年3月19日 (火)

プレイバック風と雲と虹と・(23)あだ桜

戦う? 俺と小次郎が──。平 貞盛の問いに弟の繁盛が力強く頷きます。彼らの父・平 国香を小次郎将門が討った。貞盛の弟・繁盛の知らせはそこまでであった。急いで屋敷に戻る貞盛に、貴子姫は自分のせいだと不安げに打ち明けますが、貞盛は姫には関わりないことだと伝えます。「バカな。あなたを巡っての恋争いに敗れたからといって、それで父を殺すような小次郎ではありません」

屋敷に戻って来た貞盛と繁盛に、佗田真樹は自分が付き従えばよかったと詫びます。貞盛には父の非業の死を悲しむ心も、小次郎を憎む気持ちもまだ湧かなかった。あるのはただ困惑だけであった。国香が背中に矢を受け落命したと聞いて、まずいな、と貞盛はつぶやきます。東人は額に矢を立てても背中には立てるなという考えがあり、そうした死にざまに国香の評判は悪いだろうと考えたのです。

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