プレイバック花へんろ -風の昭和日記- (連続七回)・第三回
──昭和とは どんな眺めぞ 花遍路──
──日本は 一等國ぞ 春おぼろ──
春。富屋勧商場は夜と言えども大賑わいです。1階では勝二が忙しく動き回る中、お得意様の女性客にはウメ自ら接客をし、その横で源太郎がお茶を客に差し出します。店内にはレコードがかかり、多数の買い物客の一方で、一部の女性客は3階にまで上がって勧商場から見える海に歓声を上げていました。フサ子はサザエを静子の部屋に持ち込み、ふたりで波の音を楽しみます。
そこに来たのは花井靴院長です。沖の相島遊郭で“おじょろ(女郎)”をしていたおこうを、ひょんなことで引き取ることができ、その挨拶に来たわけです。身請けの金はウメが支払ってくれたようで、月々少しずつ返済していくことになりました。世の中は不景気で、日本はまだまだ貧しかったのです。
──日本は 三等国ぞ 春さむし──
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