2025年7月13日 (日)

大河ドラマべらぼう -蔦重栄華乃夢噺-・(27)願わくば花の下にて春死なん ~意知、佐野、誰袖~

田沼意次が企んでいる蝦夷の上知について、松前道廣は意次に近いであろう一橋治済に中止を要請します。島津重豪は、密かに手に入れた『赤蝦夷風説考』の写しを渡し、道廣の桜の会も意次が自分たちを探りに来た……と補足する中で、おもしろくないのう、と治済はふくれてみせます。「わしは桜が好きであるのに、心より楽しめぬようになってしまったではないか」

松前廣年は誰袖宛てに、琥珀の取引を続けたければ道廣に直に便りをよこせと書状を送りつけてきました。米についても目途がつき、「米穀売買勝手次第」……諸国から集めた米により、誰でも米を売ってよいという触れも出せそうな状況です。そうなれば米の値はドーンと下がり、誰袖はいよいよ身請けかと目を輝かせます。膝枕をしてもらう田沼意知は、誰袖の笑顔を見上げて幸せそうです。

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2025年7月 6日 (日)

大河ドラマべらぼう -蔦重栄華乃夢噺-・(26)三人の女

米がない! と松本秀持は老中らに報告します。浅間山の大噴火(浅間焼け)による灰と夏の寒さで著しい不作となっているのです。大坂堂島で米の値が吊り上がり、米問屋や仲買人、札差らが売り惜しみ、百文で六合という倍の相場になっています。水野忠友は、来年豊作になれば米の値は戻ると楽観視しすぎますが、田沼意次は米問屋らに米の値を下げさせ、仕入れ値で売り渡せと命じさせます。

この上は
 なほたぬまるる 度毎(たびごと)に
  めった取込む とのも家来も

という狂歌が出回り、三浦庄司は笑い、田沼意知は「一理あるな」と頷きます。
田に沼を
 変へる手妻で 六合の
  米を得させて 消ゆる百文

に至っては、さすが狂歌が流行しているだけあって、実に秀逸と笑い続ける庄司ですが、その手からその紙を取り上げ、笑っている場合か! と意次は激怒します。「天下のご政道が揶揄されておるのだぞ! ここを乗り切らねば……わしはもう終わりじゃ!」

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2025年6月29日 (日)

大河ドラマべらぼう -蔦重栄華乃夢噺-・(25)灰の雨降る日本橋

丸屋買い取りの場にいた柏原屋が突然耕書堂を訪れ、「ウチからあの店買いまへんか」と言い出します。もともと鶴屋からの依頼で買い取ったわけですが、そこまで乗り気でなく執着していないということと、今年の江戸は冷夏で米の値がとても上がるのではないかという話から、ならばと蔦屋重三郎(蔦重)に話を持ってきたわけです。無論蔦重にも異論はなく話を受けますが、吉原者が……ということが気がかりです。

かつて松前家が躍起になって探していた「抜け荷の絵図」ですが、騒ぎになった時に須原屋市兵衛が所有者から譲り受けていて、市兵衛はそれを田沼意知に提供します。買い受けよう! という意知に、お代は結構と断る市兵衛ですが、その代わり、仲立ちした蔦重が日本橋に出店するので助けてもらいたいと条件を出します。安永時代の例のお達しの事情を聞いた意知は、取り計らいを約束します。

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2025年6月22日 (日)

大河ドラマべらぼう -蔦重栄華乃夢噺-・(24)げにつれなきは日本橋

扇屋の宇右衛門は、“俺たちの奥の手”として亀屋の若旦那を連れてきます。日本橋のお店を亀屋の名前で買い取ってしまい、蔦屋重三郎(蔦重)が亀屋から借りる形で商いを始めるという方法です。扇屋で作ったツケを帳消しにするという条件に、一同納得です。ばれませんか? と心配になる蔦重ですが、買い手がついてからでは遅いと、まずはとにかく買ってしまうことが大事だと押し切られます。

一橋治済(はるさだ)は、アイヌ民族の伝統楽器・ムックリを手に、ビョンビョンと鳴らして遊んでいます。田沼意次は、松前道廣による今年のお花見はまだと聞いて、残念がります。治済は、意次が蝦夷に関心を持っていることを面白がりますが、意次は企てを悟られてはならないと言葉を濁します。

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2025年6月15日 (日)

大河ドラマべらぼう -蔦重栄華乃夢噺-・(23)我こそは江戸一利者なり

田沼意次・意知親子らによる蝦夷地の上知について、仲間に加わるよう意知に勧められた蔦屋重三郎(蔦重)ですが、少し考えた後、自分のことで手いっぱいだと断ります。意知は無理に引き込むようなことはせず、花魁のためにも他言無用で頼むと言いおくことを忘れません。花魁のため──? 意知の敵娼(あいかた)は花魁誰袖(たがそで)で、蔦重は誰袖に抜け荷のことを聞いてきた理由を問いただします。

しかし誰袖はとぼけて答えてくれません。睨みつけた蔦重は大文字屋の二代目市兵衛に伝えようとしますが、市兵衛は「“ぬクけケにキ”のからくり」のことで頭がいっぱいです。ぬクけケにキ……ぬ け に! 蔦重はきな臭い話だと市兵衛に言い寄りますが、市兵衛は誰袖が花雲助(はなのくもすけ=意知)に身請けされればどれだけ金が入って、どれだけ名が上がるかと、あくまで経営者としてしか考えていない様子です。

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2025年6月 8日 (日)

大河ドラマべらぼう -蔦重栄華乃夢噺-・(22)小生、酒上不埒(さけのうえのふらち)にて

田沼意知を吉原に呼び出した花魁誰袖(たがそで)は、松前家が抜け荷(密貿易)をしている証拠探しの手助けをする代わりに、自分を身請けしてほしいと見据えます。間者のようなことは危ない役目だけにやめておくよう伝える意知ですが、誰袖はあの日座敷で聞いたことを、松前家側に伝えることもできると脅しますが、花魁の吉原の格を落とすような振る舞いに意知は構わず出ていきます。

意知は、田沼意次の家臣・土山宗次郎に誰袖の行為を報告しておきます。抜け荷の証となる絵図は、湊 源左衛門によれば上方で騒ぎになっています。蝦夷と取引する商人は近江者が多いようで、宗次郎は、絵図とともに松前家の抜け荷を訴え出てくれる者も合わせて平秩東作に探させるつもりです。意知は『赤蝦夷風説考』を著した仙台藩江戸詰め藩医・工藤平助と対面し、源左衛門の訴えをどう考えるかと問いかけます。

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2025年6月 1日 (日)

大河ドラマべらぼう -蔦重栄華乃夢噺-・(21)蝦夷桜上野屁音(えぞのさくら うえののへおと)

三浦庄司は田沼意次に“蝦夷に興味はないか”と話を持ち掛けます。蝦夷地とはざっくり言えば北海道のことで、そこを天領(幕府領)にしないかという話です。築地の梁山泊と噂される伊達家家老の工藤平助屋敷を訪ね、『赤蝦夷風説考』を読んだのです。赤蝦夷とはざっくりロシアのことで、庄司は城を築いて日本に攻め込むのかと驚愕しますが、ロシアは単に交易をしたいだけと平助は笑って否定します。

ロシアが交易を!? と意次は身を乗り出します。蝦夷は松前家の領地ですが、津軽から海を隔てたすぐ、蝦夷の南側にポツンとあり、隣には蝦夷の民が住む蝦夷地が広がっているそうです。そこには数多(あまた)の金銀銅山が眠っているとニヤリとする庄司に、平賀源内もそんなことを言っていたと意次は思い出します。庄司は松前から蝦夷地を召し上げて天領とし、長崎のように港を開いて交易で大儲けすることを提案します。

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2025年5月25日 (日)

大河ドラマべらぼう -蔦重栄華乃夢噺-・(20)寝惚(ぼ)けて候

蔦屋重三郎(蔦重)は次郎兵衛とりつから、大田南畝が書いた『菊寿草』という本を受け取ります。それは今年出た青本の番付で、そこには『極上上吉 見徳一炊夢 蔦や座』とあり、つまり蔦重が出した『見徳一炊夢』が第一位、“極上上吉”との評価なのです。ずいぶんと褒めてくれてるねえ、と作者の朋誠堂喜三二は笑いが止まらず、恋川春町も冷静に分析します。「次はいよいよ耕書堂の天下、というようにも読めるな」

しかしこの評価が面白くないのは地本問屋たちであり、ほかに板元がいないみたいだと不満を唱える者もいれば、まぐれ当たりと気にしない者もいます。酔っぱらった西村屋与八は「この上は私が、錦絵で一矢報いてやるからさ」と大口を叩き、細見も大事にしてくださいと喜右衛門に諭されます。とはいえ、客からの問い合わせの多い『見徳一炊夢』を市中の本屋で取り扱えないことに、本屋から愚痴が出ます。

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2025年5月18日 (日)

大河ドラマべらぼう -蔦重栄華乃夢噺-・(19)鱗(うろこ)の置き土産

将軍徳川家治と田沼意次が対面し、和気あいあいと会話しているところへ、側室知保の方が西の丸で毒をあおったと知らせが飛び込みます。京から亡き御台所に瓜二つの中臈(ちゅうろう)を迎えたこともあり、仮にお世継ぎが生まれたとしても養育に携わることはもうなく、自分は徳川には無用の者と先行きを悲観しての服毒でした。

大奥総取締の高岳(たかおか)の元には、田安徳川家初代の正室・宝蓮院と、白河松平家を相続した松平定信から書状が届いていました。家基の御台所となるはずだった種姫の処遇はどうなるのかという問い合わせです。その手際の良さと、知保の方の回復の早さに、高岳は女たちが仕組んだ狂言ではないかと疑います。

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2025年5月11日 (日)

大河ドラマべらぼう -蔦重栄華乃夢噺-・(18)歌麿よ、見徳(みるがとく)は一炊夢(いっすいのゆめ) ~いよいよ歌麿登場~

蔦屋重三郎(蔦重)は、たくさんの女郎絵を、勝川春章風、礒田湖龍斎風などに描き分ける“北川豊章”という絵師のことが気になり、うーんと腕組みする蔦重は、豊章とは唐丸のことだと気がつきます。パッと明るい表情になる蔦重です。さっそく賭場の豊章に会いに来た蔦重ですが、眼光鋭いその表情からは唐丸の面影は少しも感じられません。見込み違いだったか、と大きくため息をつきます。

蔦重を訪ねた朋誠堂喜三二に、蔦重は次の青本の新作を十作出したいと依頼します。一人で十作なんて無理よ! と断る喜三二は、三作ぐらいなら書けそうです。そこで蔦重は“居続け”という条件を出します。居続けとは女郎屋から帰らず連泊することです。これは限られた上客にだけ許された特別サービスで、蔦重はさらに一作書くごとに女郎屋を変えられると話を持ち掛けます。「まあさん……十作書けます!」

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