妹が見し あふちの花は 散りぬべし 吾が泣く涙 いまだ乾なくに
(筑前守 山上憶良)

長男家持(やかもち)の母であり、最愛の妻でもある大伴郎女(おおとものいらつめ)を亡くして悲みにくれる大宰帥大伴旅人の心中をおもんばかって憶良が旅人に代って弔問として奉った日本挽歌の反歌の中の一首である。
生前に妻が見た唐せんだんの花は散ってしまうようだ、わが泣く涙はまだ乾きもしないのにという意。

<説明プレートより>