銀も 金も玉も なにせむに まされる宝 子にしかめやも
(筑前守 山上憶良)

非常に子煩悩であった憶良の子等を思う歌の反歌である。世に最高の宝といわれる銀(しろがね)も、金(こがね)も、玉も一体何にしようか。どんなにすばらしい宝でも子に勝る宝はないという意。当時、庶民の口には入らぬ舶来の瓜やおいしい栗を食べてはこれを子に食べさせたいと思い、亡くした子を思う親心は今も変ることはない。

<説明プレートより>