春の野に 霧立ちわたり 降る雪と 人の見るまで 梅の花散る
(筑前目 田氏眞上)

天平二年正月十三日(太陽暦の二月八日)、大宰帥旅人(だざいのそち たびと)の館に壱岐、対馬の離島、薩摩、大隅の守(かみ)から目(さかん)まで集まり梅花の宴が催された。長官以下三十二名がそれぞれ一首を詠んだ。その時の地元筑前目田氏眞上(ちくぜんのさかん でんしのまかみ)の作である。
春の野に霧が一面にたちこめており、降ってくる雪と人が見まがうぐらい梅の花が散っているという意。

<説明プレートより>